本日の報道によりますと、ウクライナにおけるロシア軍の士気低下は著しく、ロシア軍兵士の中には命令を拒否する者も現れたそうです。同情報は、双方による激しい情報戦が繰り広げられる中にあって、英国の情報機関の一つである政府通信本部(GCHQ)のフレミング長官からもたらされており、必ずしも‘事実’であるとは限らないかもしれません。しかしながら、仮に同情報が正しいとすれば、どのような理由からロシア軍の士気が落ちてしまったのでしょうか。ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ侵攻に際してロシア系住民に対する虐殺行為を挙げ、ロシア人の愛国心を煽っています。ロシア・メディアも、同大統領の戦争政策に沿って戦意高揚のためのプロパガンダを積極的に行っておりますので、本来であれば、兵士による命令拒否といった事態は起きないはずです。
そこで、第一に推測される理由とは、ロシア軍兵士にあって士気が低下しているのは外国人の傭兵である、というものです。ロシアは、同戦争に際してシリアなどから兵士をリクルートしていますので、もとよりロシアに対する忠誠心や愛国心があるわけではありません(『君主論』では、傭兵に対して否定的な見解が示されていますので、プーチン大統領は、少なくとも軍隊の組織構成についてはマキャベリの指南には従わなかった…)。あるいは、そもそも、ロシア人の多くがその内心にあってウクライナ侵攻に対して批判的であったため、外国人傭兵を雇わざるを得なかったのかもしれません。そして、さらに想像を逞しくすれば、外国人傭兵の中には、ロシア軍を内部から弱体化させるための’工作員’が送り込まれていた可能性もありましょう。
もちろん、外国人傭兵のみならず、ロシア人将兵にあっても、プーチン大統領に対する不満が高まっているのかもしれません。第二の推測は、ロシア軍内の反プーチン感情の広がりなのですが、同大統領に対する忠誠心の低下に関しても、幾つかの理由が考えられます。軍事力においてウクライナを圧倒しながら、現実には戦局は思わしくなく、ロシア軍将兵の死亡者数も増加傾向にあります。このため、前線で戦う現場の将兵たちが、同大統領の軍を統率するトップとしての能力や資質に疑問を抱き、見限り始めているとも考えられます。
そして、もう一つ、あり得る理由があるとすれば、それは、ロシア軍は、’わざと’負けさせられているのではないか、という疑いが兵士の間に広がっているというものです。先日、ネット上にあって、戦闘の最中にあって軍の半数を失ったロシア軍の部隊が、指揮官に対して制裁を加えたとするニュースが報じられていました(本日、同記事を探したのですが、見つかりません…)。ロシア軍については、ソ連邦時代から継承した強大な軍事力を誇示しながら制空権さえ奪えない現状があり、不自然なほどの’弱さ’を見せています。’勝てるはずの戦争に勝てない’状況に直面したロシア軍将兵たちが、プーチン大統領の真の意図を疑うようになったとする推測も成り立ち得ましょう(もっとも、そのプーチン大統領も、外部の何者かに操られているか、騙されているか、あるいは、踊らされいる可能性も…)。
今般のウクライナ危機を見ますと、双方譲らずの膠着状態となるように、どこか巧みにコントロールされている感があります(1日凡そ3兆円もの戦費を要し、兵力をも失いつつあるロシア軍が、北方領土近海で示威的行動をとる余裕があるとも思えない…)。仮に、同危機が外部からコントロールされているとすれば、ロシア軍の想定外の苦戦もこの文脈から説明されましょう。そして、真偽不明ながら、ウクライナ軍が自国民にも被害を与えているとする情報も気になるところなのです。仮に、これらの情報が事実であれば、同戦争の実像は、ロシアのプーチン大統領がロシア人の、ウクライナのゼレンスキー大統領がウクライナ人の命をそれぞれ奪っているという、奇想天外な様相を呈しても来るのです。今後、ロシア軍、並びに、ウクライナ軍の双方が瓦解する展開があり得るとすれば、それは、双方の将兵、並びに、国民が上部から操る勢力による’偽旗作戦’に気が付いた時ということになりましょう。
情報の真偽が正確に確認できない現状にあっては、何れの推測も、あり得るシナリオの一つに過ぎません。特に最後の推測については、陰謀否定論者から、即、’馬鹿馬鹿しい陰謀’というレッテルを貼られることでしょう。しかしながら、人類の大半が双方の情報戦に巻き込まれている現状において、ウクライナで実際に何が起きたのか、そして、その背景には何があるのか、事実が確認されていないことだけは紛れもない事実です(極々少数の人々を除いて…)。
得てして、真偽不明のままに物事を決めますと、後々、禍根を残すものです。裁判にありましても、証拠に基づく事実認定は最も重要な手続きですので、ウクライナ危機についても、先ずは検察機能を担う中立・公正な調査機関を設けるべきなのではないでしょうか。同提案に対しては、正当防衛としての人道的介入を主張するロシアも拒否はできないはずです(被告はロシアとは限らない…)。そして、事実が厳密に検証されたとき、人類は、小説より奇なる事実に驚愕するかもしれません。