万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

共産主義国家中国の正義とは

2007年10月17日 19時40分34秒 | アジア
米大統領がチベット仏教の指導者ダライ・ラマと会談、中国の反発押し切る(ロイター) - goo ニュース

 チベット自治区の共産党書記長が述べた「ダライ・ラマがそんな勲章を与えられるなら、世界に正義や善人は存在しななくなる」という言葉ほど、中国の価値観が、如何に自己中心的であるかを物語るものはありません。

 独自の国家を築いてきたチベットを一方的に軍事力で占領し、中国支配に反対するチベットの人々を虐殺し、大量の中国人をチベットに送り込み、かつ、チベットの天然資源を奪う行為の、どこに正義や善があると言うのでしょうか。これらの行為は、国際法にも、民族自決の原則にも、人道にも、反しています。

 共産主義が唯一絶対の思想である限り、中国は、自らの価値観の転倒に気付くことはないでしょう。この意味において、中国は、真の正義や善を探究しようとしない無法国家であるとも言えるのです。

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国連を人質にとる中国

2007年10月16日 21時49分23秒 | 国際政治
ダライ・ラマ勲章授与に中国が反発、イラン核問題会合延期(読売新聞) - goo ニュース

 7世紀には、既に独自の文化を持つ吐蕃を形成していたチベットは、ここ50年以上にわたり中国の占領下にあります。この占領は、明白な侵略行為でありながら、中国は、安保理の常任理事国の地位に胡坐をかいて、チベットを支配し続けているのです。

 今月16日のダライ・ラマとブッシュ大統領との会談と17日に予定されている議会によるダライ・ラマへの勲章授与は、チベットの立場を支持するという意味において、占領下にあるチベットの人々を勇気づけたことでしょう。しかしながら、その一方で、中国は、またも国連を利用して、国際社会に圧力をかけようとしているのです。チベット政策を変えないと、国連を麻痺させると・・・。

 これでは、まるで、中国が、自国の主張への同調を要求して、国連を人質に取っているようなものです。もし、国際社会が、こうした中国の振る舞いを許すとしますと、脅しの場と化した国連は、その存在意義を失うことになるのではないでしょうか。

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玉虫色の中国の「科学的発展観」

2007年10月15日 18時25分57秒 | アジア
中国共産党大会が開幕 真の「胡錦濤時代」幕開けか(朝日新聞) - goo ニュース

 共産主義と科学との結びつきを、計画経済下における科学的管理主義に求めることができます。そうして、科学という言葉は、共産主義の先進性を誇示するための非科学的なスローガンでもあったのです。

 それでは、「科学的発展観」を掲げた中国政府は、どのような経済を築こうとしているのでしょうか。貧富の格差を解消し、環境問題にも取り組むような”持続可能な成長”を目指すならば、恐らく、富裕層や都市部への課税強化+貧困層や農村部への再分配政策のセットと、環境規制の強化が柱になるものと予測されます。これらは、ほとんど野放し状態にあった分野ですので、共産主義国家としては、当然と言えば当然な政策なのかもしれません。

 しかしながら、その一方で、これらの政策が実施されますと、経済成長にはブレーキがかかりることになります。そうなれば、一人当たりGDP4倍計画や自主開発による軍事力強化といった他の目標の達成は容易ではなくなることになりましょう。活動報告では、幾つもの目標を列挙していますが、如何に”科学”を駆使しても、すべてを同時に達成することは困難なのです。

 このように考えますと、どの目標に優先順位を付けるかによって、中国の将来は、180度違ってくるとも言えましょう。
コメント (1)
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温暖化ガス吸収政策へのシフトを

2007年10月14日 18時45分13秒 | アメリカ
ノーベル平和賞はアル・ゴア氏と国連パネルに 温暖化への取り組みに(gooニュース) - goo ニュース

 地球温暖化対策と言いますと、何故にか、温暖化ガスの削減のみが注目され、排出量規制政策の問題と化しています。しかしながら、環境と経済との逆比例な関係を考えますと、産業における排出量の削減よりも、それらを効果的に吸収する方法を検討する方が、経済の負担にはならないのではないか、と思うのです。

 第一に、自然を利用して効果的に二酸化炭素を吸収できる方法は、植林事業です。空気中の二酸化炭素濃度が上昇すると、植物の酸素供給量も増加するという実験結果がありますので、広域的な植林事業を展開することによって、相当量の二酸化炭素が吸収できるはずです。特に、砂漠地帯で緑化事業を行えば、地球環境にとりましては一石二鳥以上の効果が期待できるかもしれません。

 第二に、二酸化炭素より23倍も温暖化効果の高いメタンガスを吸収する技術の開発が挙げられます。湿原や温泉地などでは放置されているようですが、これを吸収することができれば効果は絶大ですし、エネルギー資源として利用できればこれもまた一石二鳥となりましょう。

 これらの他にもさまざまな技術が考えられますが、企業にペナルティーや排出権取引のコストを求めるぐらいなら、植林事業や技術開発への投資や参加を促す方が、はるかに理にかなっています。環境問題に取り組んでいる方々は、ぜひ、吸収面の政策をも訴えていただきたいと思うのです。

 

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ノーベル平和賞とは何か?

2007年10月13日 18時38分59秒 | アメリカ
クリントン、オバマ両議員らがただちに祝意 ゴア氏平和賞受賞に(gooニュース) - goo ニュース

 ノーベル平和賞とは、世界平和に貢献した個人や集団に与えられる名誉ある賞であると広く理解されてきました。しかしながら、平和賞や文学賞といった新たに設けられた”文系”のジャンルの賞には、伝統的な”理系”の分野にはない問題点があるのです。

 例えば、平和賞については、1)平和の定義自体が曖昧であること(奴隷の平和もあり得る…)、2)現在ではなく将来において評価が定まること、3)選考者の個人的な価値観や政治思想が反映されること、4)平和賞自体が政治的意味を持つ可能性があること、といった問題点があります。物理学賞や科学省のように実験によって効果を確認することができませんので、将来における歴史の評価を待つしかなく、過去の受賞者が、平和の構築に貢献できなかった事例も少なくありません。

 今回のゴア氏の受賞に関しては、環境と平和との関連性が間接的であるために、環境問題に関心を集めたい選考者の政治的な意図が見え過ぎてしまったようです。仮に、環境問題への取り組みを評価したいならば、新たに、環境賞を設ける方が適切であるかもしれません。

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制裁するもしないも結果が同じなら

2007年10月12日 20時42分35秒 | アジア
ビルマ問題は制裁では解決しない――フィナンシャル・タイムズ(フィナンシャル・タイムズ) - goo ニュース

 このフィナンシャル・タイムズの記事によりますと、ビルマの軍政は、国際社会が制裁を課しても民主化への変化は期待できないということのようです。このことは、結局、制裁を科しても科さなくても結果は同じ、つまり、軍政はしぶとく生き残ることを意味しています。

 もし、結果が同じであれば、制裁を科す方が、軍政を経済的に支援するよりは、はるかにましなように思えます。ビルマへの投資は、軍の幹部といった特権階級の懐しか温めないでしょうし、あるいは、利権化して軍部の権力をさらに強めることにしかならないでしょう。また、弾圧を行っても、国際社会が軍政下のビルマに変わらず投資を継続するとなれば、軍は、再び国民に牙をむくことになるかもしれません。

 国際社会は、ビルマの国民に対して将来のヴィジョンを助言しつつ(多民族国家型の民主主義体制)、民主化活動こそ、支援すべきではないかと思うのです。

 

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中国の「反国家分裂法」は宣戦布告予告に等しい

2007年10月11日 18時13分50秒 | アジア
 昨日、台湾で開催された「双十節」の記念式典において、16年ぶりに軍事パレードが復活しました。日本国政府は、この軍事パレードについて中国を刺激するとして否定的な見解を示したようですが、台湾の立場からしますと、相当の理由があったように思うのです。

 その理由とは、2005年の3月に、中国全国人民代表会議において、台湾の独立に際して武力行使をも容認する「反国家分裂法」が制定されたことです。この国内法である法律は、国際法上の独立国家である台湾に対して武力に訴えることを定めているのですから、いわば、台湾に対する宣戦布告の予告に等しい内容を持ちます。

 国際社会における独立的な立場の強化を目指す台湾が、この時期に、自国が充分な自衛力と攻撃力を備えていることを示しておくとが中国に対する有効な抑止力となると考えることには、道理があるように思うのです。この軍事パレードは、もしかしますと、中国の武力行使を思いとどまらせるかもしれないのですから。

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集団的自衛権は全ての国家に必要

2007年10月10日 18時55分09秒 | 日本政治
 集団的自衛権については、これまで日本国の内閣法制局は、”持っているけれども使えない”という極めて不自然な解釈を示してきました。近年、阿倍内閣の下でこの解釈の見直しが検討されてきましたが、福田首相は、行使の容認には慎重な態度と伝えられています(日経10月10日付朝刊)。

 ところで、集団的自衛権とは、国家が同盟政策を行う上で不可欠となる権限です。広くは、国連の安全保障の仕組みもまた、加盟国の集団的自衛権に依拠しており、国際社会が否定した権限ではないのです。かりにこの権限を行使できないとなりますと、すべての国が、自国のみで防衛戦争を戦うことを余儀なくされましょう。

 このように考えますと、日本国が、集団的自衛権の行使を認める方が、自衛や国際社会の秩序維持の目的に適っているように思われます。日米安保条約の第5条にも条件が付されているように、集団的自衛権の行使は必ずしも無制限ではありませんから、相互の領域に対する攻撃に関しては義務的とし(アメリカに向けられたミサイルは日本国が撃ち落とすなど…)、域外の紛争については、任意とするのも一案と言えそうです。
 
 

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自らが貧困の元凶であることに気付かない軍政

2007年10月09日 18時36分51秒 | アジア
国民を貧しくする元凶=ミャンマー軍政、デモ参加者を非難(時事通信) - goo ニュース

 ミャンマーの軍政は、デモの発生に付随して生じた損害を挙げて、デモへの参加を国民の貧困の元凶として非難していると言います。しかしながら、ミャンマーの国民を貧しくしている根本的な原因は、軍政という国家体制そのものにあると思うのです。

 ミャンマーでは、軍部が経済全般を統制しており、国民が自由に経済活動を行うことができる市場経済ではありません。このため、社会・共産主義国と同様に、資源利権が一部の特権階級に集中する一方で、国民は、自らの生活を豊かにし、生活水準を向上させる手段を持てないのです。さらに、非民主的な体制であることは、国民が、国家予算の配分に口を挿めないことを意味しています。これでは、いつまでたっても国民は貧しいままです。しかも、軍政への批判により、国際社会からの経済支援も滞るのですから、軍政こそが、貧困の元凶と言えましょう。

 国家の統治者が、自己の利益のみを追求する場合、やがて、それは国民の反発と言う形で跳ね返ってきます。無責任で国民を慈しむことのできない政権は、潔くその座を去ることこそが、唯一の国民に対する償いとなりましょう。

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台湾との外交関係強化は戦争を防ぐ

2007年10月08日 18時19分43秒 | アジア
 中国が唱える「一つの中国」政策の影響もあって、これまで日本国を含めた諸外国は、台湾との関係については、国連の対応に窺えるように、極めて消極的な態度を示してきました。しかしながら、中国が「反国家分裂法」を制定し、台湾の「独立宣言」に対して武力行使を示唆するに至って、この中国寄りの政策は、見なおすべきではないかと思うのです。

 仮に、このままスケジュール通りに台湾が「独立宣言」を行うとしますと、2008年には、中台間において武力衝突が発生し、それは、アメリカおよび日本国をも巻き込む大規模な戦争に発展する可能性が予測されます(この時、日本国は、台湾防衛の選択を迫れる・・・)。この予測される中国の暴挙を抑止するための最大の外交努力とは、国際社会が、台湾との関係を強化し、一独立国家として扱うことではないかと考えるのです。

 例えば、日本国は、1972年に失効した日華平和条約にかわって、新たに台湾との間に基本条約を締結することも一案となりましょう。当然、中国が強く反発することになりますが、諸外国の政策転換によって戦争を防止できるならば、その機会を逃してはならないと思うのです。

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日本国政府の法的立場の確認を

2007年10月07日 19時20分22秒 | 日本政治
A級戦犯分祀の必要性を強調 自民・古賀氏(産経新聞) - goo ニュース

 8月15日の靖国神社への公式参拝については、これまで、中国などから強い抗議を寄せられたこともあり、国際問題として議論が積み重ねられてきました。この問題は、A級戦犯の分祀により解決すべきとの意見もありますが、その判断に先立って、まずは、法的な立場を確認しておく必要があるように思うのです。

 第1に、厳密な法律問題として見てみますと、中国や韓国には、日本国に対して靖国神社参拝に関し、何らかの要求を行う法的な権利はありません。平和条約や基本条約を締結した後で、相手国に対して先の戦争を理由に請求を行うことの方が、むしろ、国際法のルール違反となります。

 第2に、サンフランシスコ講和条約には、靖国神社に対する規定は設けられておらず、A級戦犯については、主権回復後は、日本国政府の判断に任せられています。なお、中国との講和条約は、あくまで、日中平和友好条約であって、サンフランシスコ講和条約ではありません。

 第3に、サンフランシスコ講和条約の第11条には、戦犯の赦免や減刑の権限を日本国政府に認めています。

 純粋に法的な側面から見ますと、A級戦犯の合祀が、国際法に触れるということはありません。日本国政府は、この法的な立場を確認し、A級戦犯(ドイツのようなホロコーストは行っていない…)について、中国や韓国に対しては充分な説明を行う必要があると思うのです。最終的な判断は、その後でも遅くはないでしょう。

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「環境税」の経済に対するマイナス影響

2007年10月06日 20時03分10秒 | 日本政治
「環境税」導入賛成が上回る 地球温暖化で内閣府調査(共同通信) - goo ニュース

 環境問題への関心が高まる中で、「環境税」の導入の如何が議論されていますが、決定に先立って重要なことは、新税の政策効果をプラス・マイナスの両面から熟慮することではないか、と思うのです。

 環境対策と言いましても、政策手法によっては様々な影響が発生します。例えば、今回議論されている「環境税」の対象が、二酸化炭素の排出量ということになりますと、企業にとりましては、過酷な事態が発生します。何故なら、仮に排出権取引を利用するとしますと、企業は、排出権購入コスト+環境税+削減コストの三重苦を負うことになるからです。また、石油や石炭などの燃料を課税対象としますと、結果的には、あらゆる製品の価格が上昇するとともに、経済活動全般が抑制されることになりましょう。

 課税段階での影響の他にも、新税の使途についても充分な検討が必要となります。少なくとも、「環境税」の導入が、失業問題を引き起こすほど経済活動に影響を与える場合には、別の方法(技術開発プロジェクトや植林事業…)を考案した方が賢明なように思うのです。

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法の支配ならぬ人の支配の恐怖

2007年10月05日 21時20分08秒 | アジア
南北会談、金総書記ペース 予測不能な言動、急に愛敬も(朝日新聞) - goo ニュース

 近代以降、多くの国々で定着してきた統治の原則に、”法の支配”というものがあります。それは、統治者の気まぐれに左右される”人”による支配を脱し、統治権力を”法”の下に置こうとする原則です。この原則によって、統治者は、法による抑制を受けるとともに(立憲主義)、ルール自体が秩序や制度を支える領域も出現するようにもなりました。

 しかしながら、北朝鮮を観察してみますと、人類が卒業したはずの”人”による支配がまだ続いているようです。否、主体思想を持つかの国は、”人”の支配をさらに極限まで推し進めた擬人国家でさえあるのです。そうして、一人の人間の人格を具現化する国家は、その人格の悪意や虚栄心までも忠実に映し出しているのです。

 現代とは、過去のものとなったはずの”人”による支配が、再び、当事国のみならず、国際社会に脅威を与える時代であることに思い至るとき、法が支配する国家に生きる私達は、何をなすべきかを真剣に考えなければならないのです。

 

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南北の経済共同体の実像とは

2007年10月04日 18時33分45秒 | アジア
 朝鮮半島における南北のトップ会談において、両国は、平和体制確立に加えて、”経済共同体”の構築を目指すことで合意したと伝えられています(日経10月4日付朝刊)。ところで、この”経済共同体”、ヨーロッパで設立された経済共同体とは、全くの別物となりそうなのです。

 その理由は、ヨーロッパにおける経済共同体は、加盟国が相互に経済自由化政策(関税や非関税障壁の撤廃、市場開放、流通の自由化…)を進めることによって構築されたてきたからです。一方、南北の場合には、北朝鮮は、未だに市場経済を採用しておらず、自由化とは、即、経済部門における自由主義体制への移行と直結してしまいます。北朝鮮の独裁体制が、経済の統制と利権の独占の上に成り立っていることを考えますと、かの国が、自由化を容認するとは思えないのです。南北の経済共同体とは、結局は名ばかりとなり、韓国が、北朝鮮の特別区の工業団地に投資を行うという形となりましょう。

 南北の”経済共同体”とは、韓国は北朝鮮の安い労働力を利用し、北朝鮮は自国民を安価な労働力として提供することにより外貨を獲得するという、いわば、打算の共同体と言えそうです。

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イラクにはテロリストはいない?

2007年10月03日 19時43分10秒 | 日本政治
政府、補給艦への給油中止を検討 新法骨子案(朝日新聞) - goo ニュース

 インド洋での自衛隊による給油活動の継続について、対イラク作戦に従事している艦隊への間接給油が問題として浮上しているようです。しかしながら、テロ対策特別措置法の本来の主旨からみますと、アフガニスタンとイラクとを区別する根拠は薄いように思えるのです。

 テロ対策特別措置法は、2001年9月に発生したアメリカの同時多発テロ発生直後に、国際的なテロリズムの防止を目的に制定されたものです。このため、本文には、活動をアフガニスタンに対象を限定するという文言は含まれていません。2003年には、イラクに対する人道復興支援活動などに関する法律も制定されているのですが、テロ特別措置法は、より広い対象をカバーできるのです。

 アフガニスタンと同様に、イラクもまた、依然として治安が安定せず、テロリストによる破壊活動に人々が怯える状況にあることを考慮しますと、イラクにおける活動をあたかも”不正行為”のように捉えることが適切であるか疑問なところです。国際ネットワークを持つテロとの闘いは、アフガニスタンでもイラクでも続いているのですから。

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