万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

正直な政治家が財政を救う?

2009年10月16日 12時21分50秒 | 日本政治
税収、40兆円割れへ 国債追加発行は不可避(朝日新聞) - goo ニュース
 来年度の予算の概算要求は総額90兆円を越え、ついに、戦後はじめて税収よりも借金の額が上回るそうです。この事態、昨年のリーマンショック以来の金融危機の発生から、選挙前に十分に予測できたのではないかと思うのです。

 何故ならば、景気が後退すれば、消費が低迷するとともに(消費税や物品税の減少)、企業の経営も悪化します(法人税の減少)。さらに、企業の業績悪化は、給料の減額も招きます(所得税の減少)。景気と税収が連動する市場経済では、景気の後退は、およそ全ての税項目での税収の落ち込みを意味するのです。また、失業者が増加すれば、雇用対策の予算も増額しなければなりません。つまり、歳入減と歳出増が同時に発生するのです。もっとも、不景気にあっては、国民は預金を増やしますので、増加した預金は、銀行を通して国債購入に流れるかもしれません。しかしながら、莫大な借金をしてまで”ばらまく”のはナンセンスですし、マネーの国債への集中は、民間企業の資金繰りをさらに悪化させる可能性もあります。結局、不況と財政悪化の悪循環に陥りそうなのです。しかも、デフレであれば、政府の財政赤字の重みも増してゆきます。

 この現象は、誰から見ても明らかですので、各政党とも、歳入不足を見込んだ上で、マニフェストを作成すべきであったのではないでしょうか。最低限必要な政策を実施するための予算を確保したうえで、なお、国庫に余裕がある場合にのみ、新たな政策を実施予定とすべきではなかったかと思うのです。マイナスの予測を隠して、国民にプラスの面ばかりを強調した政策を提示することは、政治家として、不誠実なように思われるのです。

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英雄が存在しないノーベル平和賞の世界

2009年10月15日 17時22分51秒 | アメリカ
米大統領ノーベル賞授賞 “身内”から批判噴出(産経新聞) - goo ニュース
 オバマ大統領のノーベル平和賞受賞については、アメリカ民主党の身内からも批判が噴出しているそうです。その理由として、チベットのダライ・ラマ14世との面会を中国に媚で回避したり、アフガニスタンの民主化を放棄しそうなことが、平和賞の受賞者として相応しくない、といった点が挙げられていました。

 この記事から見えてくる批判の焦点とは、横暴な大国に支配されている国や普遍的な価値を犠牲にした妥協は、平和賞には値しないということにあるようです。英雄とは、得てして如何なる困難にも挫けずに悪と闘い、不条理な立場に置かれている者を助け、この世に正義の秩序をもたらすものと、一般的には観念されています。しかしながら、ノーベル平和賞の基準では、悪しきと対峙して闘う者よりも安易に妥協する者を、平和への貢献者として高く評価しているようなのです。

 ノーベル平和賞をめぐる議論は、現代の国際社会が抱える平和の持つ二面性の相克と欺瞞をも映し出しています。正当な権利を奪う行為を咎めず、民主主義や自由の旗印を降ろした平和は、”奴隷の平和”となるかもしれません。

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”核なき世界”で原爆投下の見解は変わる?

2009年10月14日 15時30分27秒 | アメリカ
核廃絶は世界の平和を破壊する(ニューズウィーク日本版) - goo ニュース
 オバマ大統領は、11月12日と13日の予定で、大統領としては初めて訪日されると報じられています。”核なき世界”を主張してノーベル平和賞を受賞したことから、被爆地である日本国の訪問に際しても、何らかのアクションがあるかもしれません。

 ところで、今後、アメリカが”核なき世界”の理想を追及するとなりますと、広島と長崎における原爆投下に対するアメリカ側の見解も、変化する可能性はあるのでしょうか。これまで、アメリカ政府および世論は、核の先制攻撃を正当化する理由として、戦争を早期に終結し、本土決戦による双方の犠牲を最小限にする効果があったことを挙げてきました。もし、核が存在しない状況が望ましいとするならば、この理由もなくなってしまいます。

 ”核なき世界”を目指す一方で、過去の原爆投下を肯定することは、至難の業となります。オバマ大統領が、この矛盾にどのようにして折り合いをつけ、解決してゆくのか、注目されるところなのです。

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即位の奉祝は古式ゆかしく

2009年10月13日 15時11分31秒 | 日本政治
来月12日に「国民祭典」=天皇陛下の即位20年祝い(時事通信) - goo ニュース
 天皇陛下の即位20年を記念して、”国民祭典”なる催しが予定されていると伝わります。式典の出演者は、ミュージシャン、芸能人、あるいは、スポーツ選手などのようですが、何か、この企画には違和感を感じるのです。

 おそらく、この違和感とは、伝統と歴史の継承者としての天皇の存在と式典の内容のミスマッチに起因しているように思われます。式典に出席する出演者の多くは、テレビなどを通して国民が日常において目にすることができる方々です。つまり、特別のはずの式典は、国民にとりましては日常の延長にあり、伝統や歴史の延長には位置づけられていないのです。現代という時代に拘った演出では、日本国の歴史を感じることはできません。しかも、”国民祭典”という表現には、全体主義のニュアンスさえあります。

 もし、即位20年をお祝いするならば、古くより伝わる宮中の古式ゆかしい儀式を再現したり、雅楽を演奏する方が、相応しいとも言えます。また、国民にとりましても、皇室が支えてきた伝統の重みを感じることができる、よい機会になるかもしれません。即位20年の式典が、軽々しいイベントとなるのは、あまりにもったいないと思うのです。

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ウイグル問題―民族自治権行使という方法

2009年10月12日 15時32分54秒 | アジア
騒乱招いたウイグル族襲撃、主犯格の漢族に死刑(朝日新聞) - goo ニュース
 ウイグル族襲撃事件の主犯格とされる漢族に対して、中国では、死刑の判決が下されたようです。漢族に対して厳しい判決となった理由は、ウイグル人の不満を抑えるためと説明されていますが、小手先の懐柔策では、民族問題は解決しないのではないかと思うのです。

 東トルキスタンの歴史とは、シルクロード沿いに居住する西域の諸民族と東西通商の大動脈を押さえたい中国王朝との抗争の歴史でもありました。言い換えますと、常に西域の人々は、中国からの圧力と植民地主義に悩まされてきたと言えます。現在でもこの状況は続いており、中国による支配の頚木から逃れることは、この地域の人々の偽らざる願いであることは想像に難くありません。頚木からの離脱には様々な方法がありますが、その試みの一つとして挙げられるのが、民族自治区の権限の行使です。中華人民共和国憲法の第116条は、民族自治区の人民代表大会に対して、自治条例と単行条例を制定する権限を認めております。また、地域財政管理権や公安部隊を組織する権限も与えています。条例については、全国人民代表大会の常務委員会への報告と承認、公安部隊組織には国務院の承認を要しますが、当局の厳しい取り締まりの中で沈黙するよりも、合法的な手段を用いて不満や要望を中央に伝えた方が建設的ではあります。

 もちろん、民族自治区の人民代表大会が共産党組織を介して中央にコントロールされているかもしれませんし、漢人の代表や中央の承認機関によって阻止されるかもしれません。しかしながら、中国政府が、世界ウイグル会議のラビア・カーディル女史との交渉を頑として拒否している現状に鑑みますと、内部から合法的に自治要求を中央に上げることで、中央の反応を引き出すことはできます。少なくとも、中国政府が、ウイグル代表との交渉を拒否している間、この方法を試してみてはどうかと思うのです。

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「湾岸100万都市構想」は夢のまた夢?

2009年10月11日 14時13分01秒 | 日本経済
爆発的に経済成長する法:大前研一(ビジネス・ブレークスルー代表取締役)(1)(Voice) - goo ニュース
 ケインズ主義やマネタリストの古典的な手法が、経済のグローバル化という現実を前にして効果は期待できないことは、確かにその通りかもしれません。しかしながら、「湾岸100万都市構想」が日本経済の爆発的な経済成長を約束するのか、と申しますと、そうとばかりは言えないようです。

(1)ゴ―ストタウン化
 如何なる都市開発も、それが経済活動の実質を伴わない限り”箱もの”となり、ゴーストタウン化する可能性があります。日本経済が真の強さを回復するか、あるいは、アジア経済が安定した成長を続かない限り、アジアの拠点としての東京の価値は評価されないかもしれません。都心の高層ビルでも空きオフィスがある現状では、心もとありません。

(2)区民の負担増
 この構想では、区の発行した区債によって資金を調達するとしています。3000兆円のホームレス・マネーを引き寄せることはできるかもしれませんが、債権を発行すれば、何れ、償還と利払い(年利4%)をせねばなりません。その費用は、区民にかかってきますので、将来的な増税も大いにあり得ることです。

(3)他の地域の地盤沈下
 ”100万都市”が湾岸地域に出現し、しかも、市価よりも低価格で高級住宅が提供されるとなりますと、他の地域では不動産の価格破壊を招くかもしれません。また、相当数の人口が湾岸地区に移動するとなりますと、他の地域の経済は衰退してしまいます。

(4)住民の選別
 もし、便利で快適な高級住宅に”ただ”同然で住めるとしますと、希望者は殺到するはずです。キャパシティーには限界がありますので、誰もが納得する入居条件を定めることは、簡単なことではありません。公的な事業ですので、住める人と住めない人との間で著しい不公平が生じることは問題となりそうです。それとも、アジア市場の拠点を想定するならば、外国人専用となるのでしょうか?

 以上に問題点を挙げてみましたが、いざ具体化しようとしますと、この「湾岸100万都市構想」には、さらなる問題が続出しそうです。むしろ、氏が指摘するように、日本企業の技術が宝の持ち腐れであるならば、それを生かす道を探ったり、政府の余計な規制があるならば、それを緩和する方が、経済効果は高そうです。まずは、未来都市構想を描くよりも、経済活動の活性化に努めるべきと思うのです。
 
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ノーベル平和賞―戦争と平和のトートロジー

2009年10月10日 15時48分21秒 | 国際政治
ノーベル平和賞 オバマ大統領、重い十字架背負う 「理想」「国益」両立なるか(産経新聞) - goo ニュース
 もしも、平和を実現するためにやむを得ず武力行使を行う場合、この行為は、正義に適うのか。オバマ大統領のノーベル平和賞の報に接し、ふと頭に浮かんだのが、この古くて新しい戦争と平和のトートロジーです。

 オバマ大統領のノーベル平和賞の授賞理由は、核廃絶を訴え、対話による核問題解決の道を開いたということのようです。それには、あくまでも、”平和的な手段”が透けて見え、選考した側の基本的なスタンスが読み取れます。しかしながら、実際の国際社会にあって、密かに核を保有するに至った国が出現した場合、オバマ大統領は、どのような判断を下すのでしょうか。もし、”平和”を尊んで何もしないとなりますと、核廃絶の訴えは無意味となります。また、保有された核兵器は、周辺諸国に深刻な脅威を与えることになりましょう。その一方で、不正な核保有を防ぐために武力行使に踏み切りますと、”平和”というイメージからは遠ざかりますが、核兵器の廃絶という目的には適います。

 ”平和”の意味するところが、目的なのか、状況なのか、その定義が曖昧のままにしますと、ノーベル平和賞は、政治家の判断を曇らせ、国際社会をトートロジーに陥いらせることになります。”平和”が脅威の排除をも含むのならば、戦争、あるいは、武力行使もまた、平和への貢献として評価されることもあり得るのですから。
 
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中韓の国民に客観的な世界史を

2009年10月09日 13時09分55秒 | 国際政治
「共通の歴史教科書」を評価…韓国外相(読売新聞) - goo ニュース
 中国や韓国は、日本国に対して、自らの主観的な歴史観を押し付けようとしてきたことはよく知られています。ところで、もし、”共通の歴史教科書”なるものを作るとしたならば、それは、客観的な事実を記した世界史あるいはアジア史しかあり得ないのではないか、と思うのです。

 一国の歴史を記述する場合、どの国も、自国の立場に立って記述しますし、自国の歴史観の延長線上において、共通の教科書を作ろうとすれば、相互に主観的な歴史観の押し付け合いとなります。教科書作成の過程で政治力学が働けば、特定の国の歴史観が”公認”の歴史となり、事実が歪められてしまいます。その一方で、世界史やアジア史を対象とするとなりますと、より客観的な記述に落ち着かざるを得なくなります。何故ならば、どの国も、人類の歴史の流れや国際体制の中で、自国と周辺諸国との関係を見つめなければならなくなるからです。この視点に立ては、中国は、常に被害者ではありませんし、韓国もまた、日韓併合のみならず、中国の冊封体制とも向き合わなければならなくなります。

 しばしば、中国や韓国では、世界史が疎かにされている、と指摘されることがあります。この指摘は、自国の視点や特定のイデオロギーからしか歴史を見ない、という、事実に対する不誠実な両国の態度への非難でもあります。共通の歴史教科書造りは、各国の歴史観の衝突によって頓挫するかもしれませんが、あるいは、中国や韓国が事実としての歴史に目覚めるチャンスとなるかもしれません。

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マニフェストは叩き台

2009年10月08日 16時03分27秒 | 日本政治
首相 普天間合意、容認も 政権公約「時間で変化」(産経新聞) - goo ニュース
 マニフェストを、政権成立後に変えることに対しては、”国民との約束を破った”とする非難の声もあるようです。しかしながら、以下の諸点から、マニフェストは、変えてもよいように思うのです。

(1)議会制民主主義に反する
 マニフェストを”国民との約束”と定義しますと、国会が不要になるという問題点があります。何故ならば、国会での審議・修正を経ずして、政権のマニフェストがそのまま政策となるからです。実際に、臨時国会が開かれる前に、民主党政権は、マニフェストを盾にして矢継ぎ早に政策を決定しているようです。これでは、日本国の国会は、社会・共産主義国のように、単なる承認機関になってしまいます。マニフェストの絶対化は、一見、約束を守る誠実な姿勢に見えるのですが、実のところ、議会制民主主義を定めた憲法に違反することになりかねないのです。

(2)事情の変化
 鳩山首相は、マニフェストは時間とともに変化すると述べたと伝わりますが、選挙の時点と政策を実施に決定する時点とでは、政治や経済の状況も違っていることは当然のことです。また、政権与党となることで、これまで把握していなかった現場の情報や個別の事情に触れることもあるかもしれません。

(3)野党の存在
 衆議院選挙では、自民党をはじめとした野党議員を選んだ国民も少なくありません。野党議員も国民の代表ですので、もし、与党のマニフェストを絶対化するとしますと、これらの国民の代表の声が、国政に届かなくなります。

(4)一括選択方式
 マニフェスト方式には、個別の政策を選べないという、一括選択の問題点もあります。

(5)党内力学
 党内におけるマニフェストの政策過程は、国民には見えません。党内力学が働いているとしますと、国民の利益が尊重されているのか、不安な面もあります。

 以上の諸点を考慮しますと、マニフェストは、与党が国会に提出する”叩き台”と捉えるのが妥当なのではないかと思われるのです。”叩き台”であれば、国会での野党との議論や事情の変化、あるいは、世論に合わせて修正したり、どうしても無理な場合には断念することもできます。政治が硬直化することもまた悲劇をもたらす原因なのですから、民主党政権には、柔軟性を備えていただきたいと思うのです。

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グローバル化で先進国は貧乏に?

2009年10月07日 15時22分49秒 | 国際政治
もう、お金には振り回されない 正規雇用労働者にも忍び寄る“貧困” (日経ビジネスオンライン) - goo ニュース
 つい最近まで、WTOの総会やG7などが開催される度に、グローバル化に対する過激な反対運動が起きたものです。反対派のスローガンは、グローバル化は、先進国と後進国との間の経済格差を拡大する、というものでしたが、果たして、この主張は的を射ているのでしょうか。

 実のところ、グローバル化で窮地に追い込まれるのは、先進国なのではないかと思うのです。何故ならば、後進各国が工場の誘致を歓迎することで、多国籍化した企業は、人件費や不動産価格が最も安価な国で製造を行えるようになったからです。経済合理性に従えば、当然、先進国の雇用は後進国へと流出し、失業問題が発生すると同時に、後進国で生産された安価な製品が国内市場に流れ込みますので、国内に製造拠点を持つ企業も経営が苦しくなります。つまり、先進国では、国民の雇用機会は減少し、企業も国内シェアの低下の危機に直面してしまうのです。

 この側面から見えてくるグローバル化の行く先とは、先進国と後進国との間の経済レベルの収斂であり、先進国における経済レベルの低下と後進国の向上です。後進国の経済発展そのものは、望ましいことでもありますので、要は、先進国が、一定の雇用を確保し、また、新たな産業分野の育成に如何に取り組むのか、という戦略が問題となります(この観点から見ますと、移民受け入れ政策や人口増加政策は時代に逆行している・・・)。フロント・ランナーとしての役割を断念したとき、先進国は、グローバル化の波に飲まれてしまうことになるのではないでしょうか。

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人体実験をしようとした北朝鮮

2009年10月06日 15時42分42秒 | アジア
北核実験前「試薬送れ」、不正輸出の会社社長へメール(読売新聞) - goo ニュース
 核実験に先立って、北朝鮮が、放射線が人体に与える影響を調べるための試薬品を日本国から輸入しようとしたというニュースが報じられています。もし、この報道が事実であるとしますと、北朝鮮は、人体実験をしようとしたことになります。

 核実験を行うこと自体が言語道断の行為なのですが、北朝鮮は、さらに許されない罪を重ねているようです。通常の国家であるならば、国民の人体に悪影響を及ぼすような実験を行う場合には、国民の生命と身体を保護することを第一に考え、避難措置や防御措置を講じるものです。ところが、北朝鮮は、国民を守るどころか、国民をモルモットにしようとしたというのですから、道徳観念が狂っているとしか言いようがありません。国民の生命と身体を守るという、国家の基本的な役割を忘れているのです。

 最近、北朝鮮は、先軍主義のスローガンの下で軍国主義への傾斜を強め、国防委員会を国家の主導的な機関と位置づけるよう、憲法改正が行われたとも言います。先軍主義とは、軍事的な目的のために国民が犠牲になることを正当化する思想に他ならず、その実態は、”先軍後民”ということになります。国民を踏み台にするような非人道的な行為を繰り返しますと、北朝鮮は、やがて内部から起こる”先民主義”によって崩壊するのではないでしょうか。

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虫のいい中国の経済戦略

2009年10月05日 15時22分59秒 | 国際経済
中国・人民元の国際化加速、円の地位低下懸念も(読売新聞) - goo ニュース
 最近の通貨政策の方針から見えてくる中国の態度は、あまりに”虫がいい”ということです。中国が狙っている経済戦略のシナリオとは、以下のように描けるのではないでしょうか。

(1)元安政策
 当面の間は元安政策を維持し、国内の人件費も低く抑える一方で、莫大な外貨を保有し、それを原資にして、外国債や対外投資を増加させことで、世界経済に対する影響力を拡大する。その間、国内の資本市場は自由化せず、通貨安のデメリットを極力抑制する。またこれと並行して、産業インフラの整備を進める。

(2)元の国際化
 元安政策と並行して、貿易における元決済を増やしたり、元建国債を発行することで、元の国際通貨化を図る(歳入が十分であれば、国債を発行をする必要がないので、中国政府の国債発行は、元の国際化の一環と考えられる・・・)。さらに、軍事力を強化して、近隣諸国への発言力を高める。

 現在は、(1)と(2)の段階ですが、次の展開を予測してみますと・・・

(3)元高政策
 充分に自国の産業インフラが整い、経済的な基盤が確立されたと判断した時点で、元高政策に切り替える。元高に移行した後は、強い元を背景に、技術力を持った外国の企業を買収したり、合併することで、技術立国の地位をも狙う。この状況に至れば、資本市場を開放しても、中国企業が買い取られるリスクも低減する。

 かくして、もし、シナリオ(3)まで進みますと、アジアでは元の通貨圏が形成され、世界最強の経済大国が出現することになるのですが、はたして、国際社会は、中国のこの”虫のいいシナリオ”を許すのでしょうか。中国が急激に経済成長することによって、危険な超大国となるよりも、幅広い国々に投資を分散させることで、より穏やかでバランスのとれた世界経済全体の成長を促した方がよいと思うのです。
 
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迷えるアイルランド

2009年10月04日 15時33分30秒 | ヨーロッパ
アイルランド、EU新条約批准へ 金融危機が流れを変えた(産経新聞) - goo ニュース
 アイルランドで実施された二度目の国民投票により、リスボン条約は、発効に向けて一歩踏み出したようです。その一方で、アイルランドの国民にとりましては、この投票は、なかなか苦しい判断であったとも思うのです。

 アイルランドは、EU加盟国の中では中規模の国であり、影響力を意味する理事会での票数や欧州議会における議席数も、それぞれ7票と12議席に過ぎません(最大のドイツは29票と99議席・・・)。EUレベルでの政策や立法過程において、自国が埋没する懸念がある一方で、加盟国が拡大すれば、投資が新規加盟国へと移動し、経済や雇用にもマイナス影響を与える可能性もあります。EUの枠組みは、金融危機の大嵐には頼るべき傘になるものの、実際のところ、景気回復や経済成長に対してどれだけのメリットがあるのか、未知数の状況にあるのです。

 アイルランドの置かれている苦しい立場を考えますと、国民投票に際して、国民の心が揺れた理由が分かります。中小の加盟国の不安を払拭するためにも、EUおよび加盟国は、リスボン条約後の経済戦略を練る必要があるのかもしれません。

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地震救援―時間との闘い

2009年10月03日 14時53分37秒 | アジア
スマトラ地震、自衛隊派遣へ調査チーム派遣(朝日新聞) - goo ニュース
 太平洋地域で相次いで地震が発生してから、はや3日を過ぎようとしています。地震被害の最大の特徴は、”生き埋め”であることを考えますと、自衛隊の救助隊派遣は、地震発生と同時に準備すべきではなかったかと思うのです。

 生き埋めになった人々の救出となりますと、これは、時間との闘いになります。人間は、一定時間以上、体を圧迫され、手足を動かさせない状況に置かれますと、生存が危うくなると指摘されています。生存者を救出するためには、素早く救出活動に取り掛からなければならず、これから自衛隊派遣に向けて調査チームを派遣するようでは、助かる命も助からず、手遅れになります。

 自衛隊の救助隊が、地震の被害者を一人でも多く救出することができましたならば、日本国に対する信頼も高まります。現地政府の要請を受けた時点で、即、救助隊を派遣できるよう、体制を整えておくべきであったと思うのです。

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ヒトラーの頭蓋骨―ロシアだけが証明できる?

2009年10月02日 13時16分11秒 | 国際政治
ヒトラーの頭蓋骨は女性のものだった?――ひまだね英語(gooニュース・ひまだね英語) - goo ニュース
 もし、報じられているように、ヒトラーの頭蓋骨が女性のものであったならば、いくつかの仮説が浮かび上がってきます。

(1)ヒトラーは女性であった
 文字通り、ヒトラーが女性であったという可能性もあります。しかしながら、従軍経験のあるヒトラーが女性と言うことはあり得ませんので、この仮説には無理があるようです。

(2)エヴァ・ブラウンの遺骨であった
 最も可能性が高い仮説は、この遺骨は、エヴァ・ブラウンのものであるというものです。ただし、この仮説は、さらに以下の複数の仮説に分化します。

1)ソ連兵が間違えた
 第一に推測できる仮説は、何れかの時点で、ソ連兵が、ヒトラーとエヴァ・ブラウンの遺骨を取り違えたということです。もし、取り違え説が正しいならば、展示されている頭蓋骨以外の遺骨にヒトラーの遺骨が混じっているかもしれません。

2)ナチス側近が破壊した
 第二に、ナチス側近が、ヒトラーの遺骨をソ連軍に渡さないために、遺骨を完全に粉砕してしまったという仮説も成り立ちます。エヴァ・ブラウンの遺骨のみが形を留めていたため、現場に到着したソ連軍によって収拾された可能性があります。

3)ヒトラーは逃亡した
 第三の仮説とは、もちろん、ヒトラーは、ソ連軍のベルリン入城の前に、密かに海外に逃げたというものです。ヒトラー以外の歴史上の人物でも、実は生きていた、という実話がありますので、あながち否定できないところがこの仮説が消えない理由なのかもしれません。

 以上に仮説を挙げてみましたが、これらの他にも、このニュース自体が陰謀であるとする説もあるようです。様々な推理が交錯していますが、少なくとも、遺骨を保存しているのはロシアなのですから、ロシアが公開かつ第三者機関に委託して、DNA鑑定を行えば事実が明らかになります。もし、ロシア側がこれを拒否するとなりますと、いよいよ怪しいということになるのではないでしょうか。 

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