らびおがゆく Vol.3

山形県を中心とした演奏活動等

雪道

2009年03月06日 23時25分21秒 | お気に入りのCD
 山形の冬の時期、朝起きたら毎日同じ行動をとる。もちろん暖房に火を入れる事が一番最初の行動だが、その事ではなく道路に積もった雪の状態を窓から眺めるのだ。仕事に行くために車の運転にしろ徒歩にしろ道路にどれくらい雪が積もったかいち早くリサーチするためだ。積雪が多ければ急いで支度して、早めに家を出るし、道路にあまり積雪が無いようならゆっくりと珈琲を入れる。

 皆さんは~もちろん山形にお住まいの方々は経験があるだろうが、誰も通った後のない雪道を歩いたことがあるだろうか?夜に積もった雪のせいで車道と歩道の境目さえなく、車が来なければどのように歩いても自由だ。自分が歩いた後には足跡が出来て、通勤や通学の人達もその足跡が続いている後を普通は歩く。通勤時間が過ぎればそこには足跡による歩道が出来上がっているわけだ。

 一度出来た歩道から外れて歩く人がいるとするならば、それは雪が降ってうれしくてしょうがない子供達や散歩をしている犬くらいなもので、普通は他人が歩いて作ってくれた道を歩いたほうが、自分の足もとが汚れなくて良い。

 大人の人が歩道以外の場所を歩くのを見たら、少しおかしい人という印象になるかもしれない。よほど変わっている人か?新しい長靴を買って気分的にチャレンジ精神がわき起こったのか? 常識を持ってしまった大人のやる行為ではないのだ。

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 歴史的にはもっと古い団体はあるものの、巌本真理弦楽四重奏団は日本の演奏史上~世界的レベルに達した最初のクァルテット団体であった事は誰もが認めている。まさに誰も歩いていない状態の雪道を自らが切り開く力のあった団体と言える。誰も歩いていない雪道を歩くのは、自由が約束されている。何の制約もないし、真っ直ぐ歩こうが曲がって歩こうが全て自由なのだ。

 ただし、後から歩いてくる人達に対して責任があるとも言える。あまりにも回り道だったり、車道に近い危険な場所だったりでは、誰にも支持されない。奇をてらっても無駄な事で結局、歩きやすいように歩道の位置は段々変化していってしまうものだ。

 その巌本真理氏が亡くなって今年で30年になる。巌本真理氏が亡くなったことによって、このクァルテットは解散してしまったのだが、彼女達には膨大な録音が残されている。当時を知る人以外にもファンを獲得しているのは名盤と言われる録音のおかげであるかもしれない。ほとんどが廃盤なので手に入れることが難しいのだが、タワーレコードでその中の1枚が再販された。
    
   

 【曲目】
シェーンベルク:
1. 弦楽六重奏曲 作品4《浄夜》
2. 弦楽四重奏曲 第2番 嬰へ短調 作品10

【演奏】
巖本真理弦楽四重奏団
〔巖本真理(第1ヴァイオリン)、友田啓明(第2ヴァイオリン)、菅沼準二(ヴィオラ)、黒沼俊夫(チェロ)〕
江戸純子(第2ヴィオラ)(1)・藤田隆雄(第2チェロ)(1)・長野羊奈子(ソプラノ)(2)

【録音】
1972年2月21-23日 世田谷区民会館 *歌詞対訳付

 
 このCDを聴いてまず感じたのが、誰も歩いていない雪道を後から来る人にも支持されるように歩いたと言うことだ。もの凄い情熱でこの官能的音楽を弾ききっている。後から歩いてきた人は影響を受けずにはいられない。その熱で足跡どころか、雪はすべて溶けてはっきりとした道をつくってしまった印象だ。


 もう1セットタワーレコードから出ている。ヘリテージ・コレクション”(ビクターレコード音源)Vol.6の中の1セット(2枚組)だ。

   

『日本の室内楽』(初CD化)

DISC-1  48'53"
1. ラプソディー No.1 "Rhapsody" for Violin and Piano(林光)  9'43"
2. ラプソディー No.2 "Winter on the 72nd Street"(林光)  7'18"
演奏:黒沼ユリ子(Vn)、林光(Pf)
(1970.2発売 SJV-2005-B(SJX-1024-B or KVX-5508-A)
3. セレナーデ(間宮芳生)  17'16"
4. 九人の奏者のための協奏曲(間宮芳生)  14'36"
演奏:1)徳永二男(Vn)、江戸純子(Vc)、岩崎淑(Pf)、提久美子(Vn)、西内荘一(Vc)、平田恭子(Sop)、
 2)秋山和慶指揮 東京ゾリスデン
(1973年.2発売 VX-127)
録音:1,2)1968.12.3 イイノホール 3)1972.4.11-12 青山タワーホール 4)1972.7.21 世田谷区民会館

DISC-2  53'30"
1. 弦楽四重奏曲(矢代秋雄)  6'05"+2'39"+11'23"
演奏:巖本真理弦楽四重奏団
(1972.7発売 SJX-1001-B(KVX-5507-A))
2. 弦楽四重奏曲 作品11(バーバー)  8'20"+8'30"
3. 弦楽四重奏曲 第6番(スカルソープ)  4'10"+5'07"+7'16"
演奏:巖本真理弦楽四重奏団
(1972.2発売 VX-79-A-2,B-1,2)
録音:1)1968.4.13 ビクター第1スタジオ 2,3)1971 川口市民会館


 Disc-2に巌本真理弦楽四重奏団の演奏が収録されている。バーバーやスカルソープなどの珍しい曲も収録されているので大変興味深く聴かせていただいた。バーバーは有名な第2楽章以外がこんなに良い曲なんだと初めて教えてもらった。

 以前に紹介したロータスQのCDにも矢代秋雄 弦楽四重奏曲が入っているので、何回か彼女たちの演奏を聴き比べてみた。両者とも甲乙つけがたい(あたりまえだ!)のだが、私は巌本真理弦楽四重奏団により感動を受けてしまった。

 ロータスQの方が譜面を清く正しく美しく音楽にしているのである。今の時代に演奏しているのだから時代の影響を受けないわけないので、当たり前といえば当たり前!ロータスQの個性かもしれないし。その辺は無責任だがわからない。

 人を感動させること~音楽をすると言うことは、ずれなかった!音程があった!ではないということ。そこに何が関係してくるのかをはっきりと答えられるのなら音楽なんてやってて面白くも何ともないでしょう?

 音楽~特にクァルテットミュージックの奥深さを感じさせてくれるCDだった。

 **ロータスQのCDは2日に1回は聴く私のお気に入りCDであることを断っておく。

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 巌本真理弦楽四重奏団は、山形にも確実に足跡を残している。さてどう歩こうか?

 人が歩いた後の雪道を歩くには、実は気温が関係してくる。気温が高くて雪道がベチョベチョなら少しでも人が歩いて、雪が少ない道を歩いた方が被害が少ない。気温が低くて前の人が歩いた道が固く凍結している場合、長靴を履いていれば周りの道を歩いた方が滑らなくて良いのだ。

 もちろんどう歩いても目的地にはつけると思うけど・・・・・。

 
コメント (2)
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