廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

歌って歌って、歌いまくる

2015年04月05日 | Jazz LP (Verve)

Charlie Parker / South Of The Border  ( Mercury MGC-513 )


パーカーが歌って歌って、どこまでも歌いまくる。 とにかく、歌う、という言葉でしか表現のしようがありません。

パーカー以外の演奏者の演奏なんて一切耳に入ってこないです。 だから、バックの演奏の出来不出来なんてどうでもいい。
パーカーのメロディーはいつも通り非常に理性的で、やり過ぎるところが一切ない。 ぴったりと一寸の狂いもなく音楽の中に納まっています。

感情過多でフレーズが小節をはみ出したりすることが全くない。 どうでもいいフレーズも1つもない。 
すべてが元々そこに埋め込まれていたかのように、これ以外のリズムはないという間で、一分の隙間もなく小節の中に納まっています。 
それはまるでナノメートル単位で測られて裁断されたかようなのに、他の誰よりも音楽的に聴こえる。 
これがパーカーの一番凄いところだと思うのです。

私はラテン音楽が好きなので、バックで鳴る残響豊かなコンガの音が嬉しい。 夏の夜を思わせる蒸し暑いムードがとてもいい。
そんな中を、パーカーはこれでもか、というくらい歌いまくります。 ヘタなラテン音楽のレコードなんかより、こちらのほうが遥かにいい。

録音曲数が少ないのが残念です。 SP録音なので、1曲あたりの時間も短すぎます。 もっとたくさん録音して欲しかった。 
アルバム最後の曲 "Estrellita" が哀感たっぷりに鳴り響いて終わると、なんとも切ない気持ちになります。




コメント
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