廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

Pat Martino の最高傑作 その2

2015年04月30日 | Jazz LP (70年代)

Pat Martino / We'll Be Together Again  ( Muse MR 5090 )


傑作が連なるMuse時代の中でも、先の "The Visit" と並ぶ2つめの最高峰がこれ。 ギル・ゴールドスタインのエレピとの至高のデュオ。

ギターとピアノのデュオといえばアンダーカレントですが、あちらがピアノが主導権を握るのに対して、こちらはパットのギターが主役。
それをエレピの切ない音が控えめに、そしてメランコリックに包み込んでいきます。 

全体を通してとにかく静かな音楽にも関わらず、パットはどちらかといえばかなりアグレッシヴにフレーズを紡いでいきます。
ただ、この人のトレブルを大きく絞ったギタートーンがうるさい要素を排除していて、まるでバラードを弾いているかのように聴こえるのです。

ウルトラへヴィーゲージを使って大理石から削り出したピックで弾いているというのは有名な話ですが、そのおかげでどんなに速くて複雑な
フレーズを弾いても、どんなにトーンを絞っても、どの音も粒立ちが良く濁ることもなく、くっきりと聴こえる。 これがこの人の真骨頂です。

夜、部屋の灯りを落として静かに聴く音楽です。 そうすると、誰もいない深夜の街に一人で佇んでいる光景が目の前に浮かんでくる。
エレピの音は、ぽつりぽつりと灯る街灯の淡い光のよう。 

こんなに素晴らしい音楽は、そうそう見つからないと思います。




コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする