廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

今週の拾い物

2017年03月04日 | Jazz LP (安レコ)


今週の拾い物たち。 他にも何枚かあったけれど、いくら安レコとは言え、無節操に買うようなことはしない。 欲しいと思った物の半分を上限にして拾う。
これからも継続して猟盤を愉しむためにも、そのほうがいい。 こういうのは釣り人の心境に近いかもしれない。 漁場を守るのだ。



Bill Evans / Conception  ( 米 Milestone M-47063 )

最近はエヴァンスの未発表録音ものをよく買っているような気がする。 特に意識して探している訳でもないんだけど、よく目に付くからかもしれない。

彼の死後に集中的に発売されたこれらはアウトテイクだからと軽んじられる傾向があるだろうけど、実は内容はどれも素晴らしいのだ、ということが実際に
聴くようになってわかった。 エヴァンスの場合、演奏の出来が悪いからお蔵入りした訳ではなく、当時のレコードという器に盛れる容量には限りがあり、
更にエヴァンス自身がリリースOKを出す基準が厳し過ぎただけなのだ。 

ここに収録されたソロ演奏の数々はどれも素晴らしく、ヴァーヴの"Alone"なんかと比較しても全く引けを取らない演奏なんじゃないかと思う。
音質も良好だし、何一つケチの付けようがない。 "Like Someone In Love" の幻想的でシルクのような手触りは絶品だ。 ジャケットも最高だし。



Steve Kuhn / Mostly Ballads  ( 日本ポリドール 28MJ3546 )

学生時代からの愛聴盤だが、最初からCDで聴いてきたのでレコードだとどんな感じかなとずっと興味があった。 ハーヴィー・シュワルツのベースがより大きく
深く鳴っていて、とてもいい。 

それまではどちらかと言えばカルト的な位置付けだったけれど、この作品は日本や欧米で好意的に迎えられて、以降はたくさん録音を残すようになった。
ちょうどキースのスタンダーズがジャズ界を席巻して頃でもあり、受け入れやすい状況だったこともあったのだろう。 私の一番のお気に入りのアルバム。



The Modern Jazz Quartet / Pyramid  ( 米 Atlantic 1325 )

MJQなんてもう誰も聴かないんだろう、完オリなのに安レコ化している。 そう言えば、「騎士団長殺し」にもこのアルバムが出てきてたなあ。

グループとしての一体感がピークだったのがアトランティック時代で、プレスティッジ時代よりも演奏に生命感が溢れている。 クラシックとの融合、
なんてここには存在しない。 ミルトのヴィブラフォンが全体を支配しながらも、パーシー・ヒースとコニー・ケイが大胆な演奏を展開しているのが意外だ。
この2人の演奏を追いかけて聴くと、とても楽しい。 "Undercurrent" でも取り上げられた "Romaine" が聴けるのが嬉しいアルバム。


エヴァンスのリヴァーサイド作品の日本ビクター盤を聴いてみたくなって在庫があるかな、と仕切りを覗くと、驚くことに1枚もない。 しかも、そういう
状態が何週間も続いている。 どんなフォーマットであれ、人気があるんだなあ、と今更ながらに感心する。 そういうのも含めて、安レコ漁りは愉しい。

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする