Mundell Lowe / Guitar Moods ( 米 Riverside RLP 12-208 )
ジョニー・スミスの "Moonlight In Vermont" が入ったルースト盤は当時よく売れたようで、10インチがすぐに12インチでも切り直されて発売されている。
スタン・ゲッツが入っているからジャズ愛好家も1度は聴くけれど、大抵はムード音楽としての退屈さにがっかりさせられてレコードは棚の肥やしになる。
リヴァーサイドがマンデル・ロウを使ってこういう作品を作ったのは、まだまだ経営が苦しかったレーベル立ち上げ間もない時期にジョニー・スミスのヒットの後釜を
狙ったんじゃないかと思う。 このレーベルに残した3枚はそれぞれ少しずつ楽器編成が違っていて、一応は各々に個別の狙いが定められている。
このアルバムはコード・ワークによるギター・ソロを中心に、オーボエやイングリッシュ・ホルンが軽いオブリガートをつける室内楽の要素を持った内容で、
ジャズとしてのスリルには無縁ながらジョニー・スミス的退屈さには陥ることなく、アルバム全体を通して飽くことなく聴くことができる。
マンデル・ロウは手堅い演奏をしており、コードワークも自然で素直な流れで、嫌味のない好感を持てる内容だ。 管楽器も音数少なく控えめで、ギターを
邪魔しない程度の参加で、これも悪くない。 耳当たりのいいスタンダードが中心で、BGMとしては重宝するだろう。
他の2枚は以前聴いていたが、このアルバムだけは状態のいい初版が全然見つからずにこれまで聴く機会がなかったが、ここにきてようやく安くて綺麗なものに
ぶつかった。 リヴァーサイド3部作の中では、これが一番いいと思う。
このレコードもモンクのレコードと同様、ハッケンサックのルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオで録音されたが、本人はカッティングをしていない。
音の質感はモンクの2枚と似ていて、楽器の音が自然な雰囲気で鳴る。 音がいいと騒ぐ感じではないが、この音場感は割と気に入っている。