廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

OJCのビル・エヴァンス(2)

2020年12月13日 | Jazz LP (Riverside)

Bill Evans / How My Heart Sings !  ( 米 OJC-369 )


このタイトルも1989年、2009年にプレス・発売されているが、手持ちの盤は89年のもの。OJCのレコードは裏ジャケットに
バーコードがあればその番号で、もしくはマトリクス番号から何年ものかを判定する。

A面 OJC 369 A1 G1 (P) 手書き
B面 OJC 369 B1 G1 (P) 手書き

3つの楽器のバランスはよく、それぞれの音がしっかりと聴き取れる。特にベースの音圧が高く、ピアノ・トリオとしての快楽度が高い。
ピアノの音は若干固めで艶やかさに欠ける。人工プラスチックっぽいと言うか、そういう感じがする。ブラシの音も音圧は高いが
音が若干潰れ気味で、ブラシ音が束になっていてうまくほぐれていない。バランスはいいが、各楽器の音色があまり自然とは言えない。

次にオリジナルのステレオ・プレスを聴いてみると、ピアノの音に潤いと艶やかさがあり、ホッとする。ベースは一音一音に残響感があり、
音色に深みがある。音圧もあり、よく聴こえる。ドラムもよく聴こえる。3つの楽器の分離はよく、音がよく立っている。
各楽器の存在が独立しながらもアンサンブルとしてしっかりと結束している様子が上手く録れている。

もう1度OJCに戻って聴いてみると、やはり楽器の音色の質感が落ちているところが全体の足を引っ張っているような印象だ。
ただ、このアルバムは元々の録音がさほどいい訳ではないので、リマスタリングの成果が出し辛かったのではないだろうか。




オリジナルの方は、モノラルとステレオの音場感の差異があまりない。どちらで聴いても、似たような印象である。
正確に言うと、モノラル・プレスの音場感がかなりステレオ感に寄った感じで作られているのだ。そのせいで、似た印象になる。

このアルバムはRIAAカーヴではまったくダメで、ffrrカーヴで聴かないと音楽の輪郭がよくわからない。
カーヴ補正せずに聴くと、このアルバムはつまらない内容に聴こえるだろう。そのくらい大きなギャップがある。

アルバムタイトルにもなっている "How My Heart Sings !" は繊細で可憐なワルツで、このレーベルに収録された中では1、2位を争う
名曲である。また、"In Your Own Sweet Way" などプログラム内容が魅力的で、世評は芳しくないようだが、私は好きなアルバムだ。
評判が良くないのは、海外盤の再生の難しさにも一因があるのかもしれない。

以前、日本ビクターの紙ジャケCDを持っていたが、それがとても繊細な感じのいい音だった。このアルバムはもしかしたら国内盤で
聴く方がいいのかもしれない。いずれ機会があれば確認してみたい。


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