久し振りのCDネタです。 以前ほどではないですが、現代モノもぼちぼちとチェックしています。 新旧織り交ぜていいものが見つかりました。
■ Avishai Cohen / Into The Silence ( 独 ECM 2482 4759435 )
売れているそうである。 ECMだからなのか、アヴィシャイ・コーエンだからなのか。 誰も声高に騒がないけれど、こういう音盤が出ると黙って買って
帰って、家で静かに愛聴してるファンが実は大勢いるんだなあ、という現代のジャズ愛好家の好ましい実像が見えるような気がしました。
マイルスの第2期黄金カルテットを念頭に置いていることは明らかですが、それでも完璧にECMのコンセプトに沿ったECMらしい作品です。 現在のこの
レーベルにありがちな抽象的で退屈な曖昧さはなく、はっきりと現代のジャズを土台にした上で、今の時代においては見えにくくなった「静寂」を探して
歩くような趣きのある、静かで澄んだ音楽。 冒頭の "Into The Silence" のミュート・トランペットが物悲しく静寂を求めてさまよう様に心が揺すぶられる。
これは文句なしの必聴盤。 傑作です。
■ Stan Getz / Moments In Time ( Resonance Records HCD-2020 )
とにかくうれしい未発表音源の発掘、1976年キーストーン・コーナーでのライヴ。 ジョアン・ブラッキーンのピアノトリオを従えたワンホーンです。
スタン・ゲッツのこういう発掘はどんどんやって貰いたい。 録音も十分な音質です。(但し、最後の曲はテープが痛んでいたようでダメ)
クラブでの演奏なので力のこもったものになっていますが、ゲッツはいつもと変わらない懐かしいあの音とプレイで、ただもうそれだけでうれしい。
選曲もとてもよく、冒頭の "Summer Night" の叙情味にこの時の演奏の素晴らしさが集約されています。 もうこれ以上の哀感は表現できないのでは、
と思わせるメロディアスな主題のラインにうっとり。 ああ、スタン・ゲッツは本当に素晴らしい、と胸に込み上げてくるものがあります。
これはしみじみと聴き入ってしまいます。
■ Jacob Garchik / Ye Olde ( Yestereve Records 05 )
サン・フランシスコ生まれで現在はブルックリンを拠点に活動するトロンボーンをメインにしたマルチ奏者で作曲も精力的にする若手のアルバム。
3本のギター、ドラムに自身のトロンボーンという異色の編成による非常に意欲的な音楽で出来もよく、驚きました。
リー・コニッツのノネットに参加したり、クロノス・カルテットやブラックストンらとも活動を共にするなど、東海岸の先鋭的な音楽シーンで活動して
いるようです。 そういうこともあって、このアルバムもフリー/アヴァンギャルドのコーナーに分類されていましたが、内容はそういうジャンルにも
当てはまることはないもので、ギターにはディストーションがギンギンにかけられているのでハード・メタルっぽい雰囲気がベースになっていて、
そこにトロンボーンのくすんだ音が乗っかって展開していく、これがちょっとカッコいい音楽になっています。
TVのCMやサスペンス・ドラマの背景に流れると話題になりそうなイカした曲もあり、これはなかなか聴かせます。 ロックのフィーリングがとても上手く
取り込まれているのにロックともジャズとも違う独自に質感を持ったところにほとばしる才能を感じます。 ちょっと注目していこうと思いました。
Denny Zeitlin / Cathexis ( Columbia CL 2182 )
コメント欄で薦めていただいたデニー・ザイトリン、まずは初リーダー作を聴いてみたかったので新品廉価CDを求めてDUに行くも、在庫切れ。 中古も出て
おらず、人気があるんだなあと驚きながら中古レコードを探してみると、ちゃんと在庫がありました。 急に聴きたくなったものがロスタイムなく買える、
DUはこういうところが凄い。
調べてみると単に私が知らなかっただけで、昔から誰もが認める鉄板人気アーティストだったんですね。 どうやって発掘されたのかはよくわからない
けれど、いきなり最大手のコロンビアからデビュー作が出るんだから、当時はアンファン・テリブルとしてさぞ騒がれたんだろうと思います。
聴いてみるといきなり1曲目でガツンとやられて、なるほどなるほど、こりゃあみんなやられるわけだ、と思いました。 知的で力強くクリアなタッチ、
劇的な展開を持つオリジナル曲、優れた録音、中だるみしそうになると "Round Midnight" で幻惑したり、と緩急も自在。 私は "Blue Phoenix" が
気に入りました。 セシル・マクビーのベースもよく効いていて、サウンド面の快楽度も高い。 コロンビアが喜びそうなわかりやすさで全体が上手く
まとめられています。 残りのコロンビア3作も順次聴いていこうと思います。
■ Avishai Cohen / Into The Silence ( 独 ECM 2482 4759435 )
売れているそうである。 ECMだからなのか、アヴィシャイ・コーエンだからなのか。 誰も声高に騒がないけれど、こういう音盤が出ると黙って買って
帰って、家で静かに愛聴してるファンが実は大勢いるんだなあ、という現代のジャズ愛好家の好ましい実像が見えるような気がしました。
マイルスの第2期黄金カルテットを念頭に置いていることは明らかですが、それでも完璧にECMのコンセプトに沿ったECMらしい作品です。 現在のこの
レーベルにありがちな抽象的で退屈な曖昧さはなく、はっきりと現代のジャズを土台にした上で、今の時代においては見えにくくなった「静寂」を探して
歩くような趣きのある、静かで澄んだ音楽。 冒頭の "Into The Silence" のミュート・トランペットが物悲しく静寂を求めてさまよう様に心が揺すぶられる。
これは文句なしの必聴盤。 傑作です。
■ Stan Getz / Moments In Time ( Resonance Records HCD-2020 )
とにかくうれしい未発表音源の発掘、1976年キーストーン・コーナーでのライヴ。 ジョアン・ブラッキーンのピアノトリオを従えたワンホーンです。
スタン・ゲッツのこういう発掘はどんどんやって貰いたい。 録音も十分な音質です。(但し、最後の曲はテープが痛んでいたようでダメ)
クラブでの演奏なので力のこもったものになっていますが、ゲッツはいつもと変わらない懐かしいあの音とプレイで、ただもうそれだけでうれしい。
選曲もとてもよく、冒頭の "Summer Night" の叙情味にこの時の演奏の素晴らしさが集約されています。 もうこれ以上の哀感は表現できないのでは、
と思わせるメロディアスな主題のラインにうっとり。 ああ、スタン・ゲッツは本当に素晴らしい、と胸に込み上げてくるものがあります。
これはしみじみと聴き入ってしまいます。
■ Jacob Garchik / Ye Olde ( Yestereve Records 05 )
サン・フランシスコ生まれで現在はブルックリンを拠点に活動するトロンボーンをメインにしたマルチ奏者で作曲も精力的にする若手のアルバム。
3本のギター、ドラムに自身のトロンボーンという異色の編成による非常に意欲的な音楽で出来もよく、驚きました。
リー・コニッツのノネットに参加したり、クロノス・カルテットやブラックストンらとも活動を共にするなど、東海岸の先鋭的な音楽シーンで活動して
いるようです。 そういうこともあって、このアルバムもフリー/アヴァンギャルドのコーナーに分類されていましたが、内容はそういうジャンルにも
当てはまることはないもので、ギターにはディストーションがギンギンにかけられているのでハード・メタルっぽい雰囲気がベースになっていて、
そこにトロンボーンのくすんだ音が乗っかって展開していく、これがちょっとカッコいい音楽になっています。
TVのCMやサスペンス・ドラマの背景に流れると話題になりそうなイカした曲もあり、これはなかなか聴かせます。 ロックのフィーリングがとても上手く
取り込まれているのにロックともジャズとも違う独自に質感を持ったところにほとばしる才能を感じます。 ちょっと注目していこうと思いました。
Denny Zeitlin / Cathexis ( Columbia CL 2182 )
コメント欄で薦めていただいたデニー・ザイトリン、まずは初リーダー作を聴いてみたかったので新品廉価CDを求めてDUに行くも、在庫切れ。 中古も出て
おらず、人気があるんだなあと驚きながら中古レコードを探してみると、ちゃんと在庫がありました。 急に聴きたくなったものがロスタイムなく買える、
DUはこういうところが凄い。
調べてみると単に私が知らなかっただけで、昔から誰もが認める鉄板人気アーティストだったんですね。 どうやって発掘されたのかはよくわからない
けれど、いきなり最大手のコロンビアからデビュー作が出るんだから、当時はアンファン・テリブルとしてさぞ騒がれたんだろうと思います。
聴いてみるといきなり1曲目でガツンとやられて、なるほどなるほど、こりゃあみんなやられるわけだ、と思いました。 知的で力強くクリアなタッチ、
劇的な展開を持つオリジナル曲、優れた録音、中だるみしそうになると "Round Midnight" で幻惑したり、と緩急も自在。 私は "Blue Phoenix" が
気に入りました。 セシル・マクビーのベースもよく効いていて、サウンド面の快楽度も高い。 コロンビアが喜びそうなわかりやすさで全体が上手く
まとめられています。 残りのコロンビア3作も順次聴いていこうと思います。
かなり現代的なピアノですよね、これ。 ずいぶん時代を先取りしていたような気がします。
私もアットザトライデントは4作の中では格落ちの感を持っておりましたので。
カーニバル、ザイトガストも思索的なBlue Phoenixを気に入られるならば聴きどころはあると思います。
リピート、ストウンヘンジ、そして表題の乗りの良いスウィンギーな曲についつい気取られますが、聴くべきはラストのこの曲にこそある!と言い切る記述が20年程前に読んだ冊子にありました。
Summer Nightも好物曲なのでゲッツ物でもあるしいずれ入手したいと思います。
従来のしがらみにとらわれない新しい感覚で、多くの歓迎を受けたのが納得できる1枚でした。
ゲッツのサマーナイトは、アップテンポにアレンジされた演奏ですので、念のため。