Kenny Dorham / Quiet Kenny ( 日本ビクター SMJ-7380 )
ペラジャケが900円で転がっていたので拾ってみた。ホコリを被ってケニー・ドーハムのコーナーに刺さっていた。今まであまり意識したことはなかった
けれどよく見ると結構転がっていて、他にも何枚か拾っておいた。特に思い入れもなく高額なオリジナルを買う必要のないものは、品質のいい国内盤で
十分である。何の不満もなく、楽しく聴くことができる。
このアルバムは第2版以降はどの国のプレスもすべてステレオ盤としてリリースされている。国内盤も最初のトップランクだけがモノラルで、以降は
すべてステレオプレスだ。私が聴いていたのはVIJ規格の一番ポピュラーな国内盤だったけれど、それを聴いていた時もこのペラジャケを今回聴いた
際にも思ったのは、このアルバムは元々の録音はステレオ録音だったんじゃないか、ということだった。
他にもOJCのCDも聴いたけれど、それらのどの規格で聴いてもステレオ再生の音場感は非常にナチュラルで心地いいサウンドだ。疑似ステレオのような
不自然さはまったくなく、たぶんステレオ録音だったことは間違いないと思う。じゃなきゃ、こんなきれいなステレオ再生になるわけがない。
オリジナルが発売された59年はまだ一般家庭の再生環境はモノラルが普通だったから、モノラルプレスにミックスダウンされたのだろう。だから、
このレコードのオリジナル盤の音は凡庸で冴えないんだろうと思う。アート・テイラーのシンバルの音も、トミフラのピアノの音も、楽器が本来
持っている綺麗な音で鳴っている。
サウンド面はこれらステレオ再生がベストチョイスということでいいとして、問題は内容ということになる。ワンホーンで、トミフラのトリオがいて、
ブルースとスタンダードのバラードがミックスされていて、と名盤の方程式を満たしているせいか昔から名盤としての評価は揺るぎないけれど、本当に
そうなんだろうか。このまったりとしてユルい演奏はそれ自体はこういう演奏もあるということでいいと思うけれど、それ以上の話ではないと思う。
このレコードをいわゆる名盤だと思わされて20万円のオリジナル盤を買ってしまうと、音質への不満が募るし、ハジけない演奏に内心合点がいかない、
ということになってくるのが本音じゃないだろうか。このアルバムは40年近く前から聴いてきたけれど、私の認識ではジャズにはよくある一介の
地味なマイナー盤の1つに過ぎない。ドーハムが一流プレイヤーであるのは間違いなく、彼にはもっといい演奏が他にいくらでもある。
このレコードは(こういう言い方は嫌いだけれど)いわゆるB級盤だ、という認識に立つと、その割には丁寧な演奏でよく出来ているじゃないか、
という感想に変わってくる。そして、千円前後のステレオ盤で聴けば音質への不満が出てくることもなく、ドーハムの貴重なワンホーンの作品として
そのありのままの音楽を愉しむことができるようになると思う。
オリジナル盤を探して買うのは楽しい趣味だ。ただ、このレコードに関しては、もっと別の選択肢があると思う。
長年ジャズを聴いてきて、たくさんのオリジナル盤にも塗れてきて、ようやくそのことが理解できるようになった。
方が良いと思いました(QUIET KENNYのオリ
を所有していた時)
でもこの2枚、前者は2-3万で後者はせいぜい1.5万
ですよね。ところがQUIET KENNYは本日の新宿のセールで35万。なんともはや、、、、。
私、とてもじゃないですがQUIET KENNYに
35万も出す気にはなれません。
いやはやレコードの価値は何で決まるだろうと
考えさせられる今日この頃です。
新宿、行かれたんですね。 そうか、35万だったんですね。 買った人がいるんですね、そんな値段でも。
おかしなことになってますねえ。
状況に流されるのではなく、自分の頭で考えることが大事になってきますね、こうなると。
私の経験からすると、そういう買い方をしていると後で取り返しのつかないことになるように思います。
怖い世界なので、近づかない方がいいです。