Freidrich Gulda / Ineffable ( 米 Columbia CS 9146 )
値段が安かった、というだけの理由で拾ったのが2年前。すぐに飽きるかなと思っていたが、予想に反して結構気に入って、今も聴いている。
居場所の無さが創り上げた世界 - 廃盤蒐集をやめるための甘美な方法
そんな中、更に安いステレオ盤が転がっていたので拾ってみたが、案の定、音がいい。楽器の音のクリアさ、各楽器の配置、音場の拡がり、
どれをとっても申し分ない。モノラルも悪くないけど、やはりステレオプレスのほうが自然な音である。
この音場感で聴いていると、やはりピアノの上手さの違いがはっきりとわかる。特に弱音で弾いてる時の音の粒立ちの良さが他のジャズの
ピアニストだちとはまったく違う。如何にもクラシックで鍛えられた豪腕だが、不思議とジャズとの親和性が高い。クラシック臭さがなく、
しっかりとジャズ・ピアノになっている。「スイングしなければ~」というような話の次元はとっくに超えている。
ジャズやクラシックなどのジャンルを問わず、ピアノを聴く音楽にはピアニストの腕前を聴く音楽と元々の楽曲を愉しむ音楽の
2種類に分かれるような気がするけど、このアルバムは言うまでもなく前者のタイプ。そして、その方がもちろん面白い。