中小企業診断士 地域活性化伝道師のブログ

地域活性化を目指すプロフェッショナル人材をリンクさせイノベーションを目指す中小企業診断士、地域活性化伝道師です。 

借入金が多いと経営がルーズなのか??

2016年12月27日 04時41分26秒 | 中小企業白書(2016年版)
おはようございます。株式会社リンクアンドイノベーション 中小企業診断士 地域活性化伝道師の長岡力(ながおかつとむ)です。

昨日は中小企業白書(2016年版)287ページ「第 2-5-12 図 借入金が増加している企業と減少している企業の割合の推移」をみましたが、今日は288ページ「第 2-5-13 図 借入金の変化状況別に見た経常利益率平均」をみます。

下図から、借借入金の変化状況別に見た経常利益率平均の推移を見ていくと、中小企業・大企業共に借入金が増加している企業に比べて、減少している企業の方が、収益力が高いことが分かります。

この結果について白書は、収益力が高い企業ほど、内部留保の蓄積が進み、借入金の返済が進んでいるということが考えられる。

また、借入れが減少している企業は、中小企業・大企業共に経常利益率が同じ水準であり、利益率が高く借入れを減少させている企業は企業規模が変わってもその収益水準は変わらないことがいえる。

借入れが増加している企業と減少している企業の利益率の差を見ると、中小企業は大企業に比べ高い水準にある。

また、規模別にその推移を見ると、大企業は80年代初頭の2%から80年代後半にかけて1%前半まで低下し、その後バブル期には2%台に上昇するが、以降は2000年代後半まで緩やかに低下していく。

2008年のリーマン・ショック時に再び2%台まで上昇するが、以降は再び低下しており、足下では1%台半ばとなっている。

このような動きは中小企業でも同様に見られるが、中小企業においてはほぼ全ての景気後退期にこの差が拡大していることがいえる。

こうした借入れを増加させている企業と減少させている企業の利益率の差は金融機関のリスク許容度合いを示す指標になると考えられる。

つまり、借入れを減少させている利益率の高い企業よりも、相対的に利益率が低い企業に対して貸出しを増加させるとその利益率の差は拡大するため、この差が拡大することは金融機関がリスクを許容した結果であると推測できるからである。

この考えをもとに再び第 2-5-13図を見ると、中小企業においては、景気後退期には企業の支援をすべく金融機関のリスク許容度合いが上昇しているものの、景気拡張期にはリスク許容度合いが弱まっており、長期的には90年代半ばの2%強から足下の1%強まで弱まっているといえる。

ただし、直近では上昇傾向にあり、再びリスクの許容度合が上昇する兆しが見られる、とあります。

私の中小企業のクライアント様を見ても、積極的に借り入れする企業とそうでない企業には利益率の差はない、つまり、借入が多いと経営がルーズと感じるのは大きな誤解ということですね!

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