報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“ユタと愉快な仲間たち” 番外編 「卒業旅行 The 3名様」 7

2015-02-09 19:46:05 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
 ※なんか、普通に番外編がシリーズ化しているような……?気のせいか。

[3月26日07:30.札幌市・すすきののビジネスホテル 稲生ユウタ&マリアンナ・スカーレット]

「あ、マリアさん、おはようございます」
「おはよ……」
 朝食会場に行く前に、ユタは隣のマリア達の部屋に行った。
 出て来たのは眠そうな顔をするマリアだけ。
 ユタの予想通り、イリーナは出てこなかった。
 取りあえず、エレベーターまで一緒に行く。
「あの、聞かなくても分かりますが一応……イリーナさんは?」
「言わなくても分かると思うが、師匠は『あと5分』を1時間以上繰り返していたので放っておいた」
「やっぱり……」
「もはや、ベタな法則だな」
「ええ……」

 ピンポーン♪
〔下に参ります〕

「取りあえず、朝食はバイキングのようです」
「だろうな」

 エレベーターで1階に下り、レストランに向かう。
「朝食券をお預かりします」
「はーい」
 入口でチェック・インの時にもらった朝食券を店員に渡した。
「イリーナさん、このまま起きて来ないと朝食券無駄になっちゃいますね」
「なに、いつものことだ」
「はあ……」
 こういうホテルのバイキングに行くと、ユタはかつて自分を“獲物”にしていた妖狐の威吹を思い出すのだ。
 大食漢の妖狐は皿に山盛りの料理を乗せると、一心不乱に食べるのだった。
「今日は旭川に行く。師匠はその先まで行くとは言っていたけども、恐らく市外には出ないと思う」
「へえ……」
「まあ、予測不能の師匠の言動・行動だから、絶対とは言えないけどね」
「そうですね。電車の時間までは、まだ時間がありますよ」
「10時ちょうど発だっけ?」
「はい。しかし、マリアさんも強いですね」
「え?」
「時刻表でイリーナさんを引っ叩くなんて、凄いですよ」
「……そんなことしてないぞ?覚えてない。知らない。身に覚えが無い」
「いや、僕がこの目で見ましたが?」
「……師匠には内緒ね。多分、肝心の師匠も覚えてないから」
「はあ……。(そうなのか?)」

 ユタ達が食べ終わって、部屋に戻ろうとした時、二日酔い状態のイリーナが降りて来た。
 ので、朝食券は無駄にはならなかったようである。

[同日09:15.札幌市地下鉄南北線すすきの駅 ユタ、マリア、イリーナ・レヴィア・ブリジッド]

 朝ラッシュもそろそろ終わる頃の時間帯ではあるが、それでもまだ繁華街の駅は混んでいた。

〔まもなく2番ホームに、麻生(あさぶ)行きが到着します。ホームドアより下がって、お待ちください〕

「イリーナさん、二日酔いは大丈夫なんですか?」
「こういう時の為に、ちゃんと薬は用意してるからね。大丈夫だよ」
 確かに、今のイリーナはいつもの調子である。
「悪酔い防止の薬は無いのかなぁ……」
「何か言った、マリア?」
「いえ、別に。電車の風切り音じゃないですかぁ」
「んん?」

 電車がやってくる。

〔降りる方の為に、ドアの前を広く開けてお待ちください〕


「ま、まあまあ。5分で着きますから、早く乗っちゃいましょう」
「そうね」
 3人は電車に乗り込んだ。

〔2番ホームから、麻生行きが発車します。ご注意ください〕

(意外とマリアさんも、はっきり言う人なんだなぁ……)
 と、ユタは吊り革に掴まりながら思った。
 グググッと体が持って行かれる加速度で、電車が走り出した。
 さすがのマリアも、空いた手すりに掴まって、体が持って行かれないようにしている。

〔次は大通、大通。お出口は、左側です。東西線、東豊線はお乗り換えです。ホーム中央の連絡階段をご利用願います〕

「今度会うヒーラーさんと、お約束は?」
「もちろん取り付けてるよ。上手い事、在庫があるといいんだけどねぇ……」
「ええっ?」
「まあ、新品の方がいいか」
「???」

[同日09:45.JR札幌駅・プラットホーム 上記メンバー]

 乗車予定の“スーパーカムイ”11号は、まだ入線していなかった。
 折り返し先頭車となる1号車が来る乗車位置で待つ。
 北海道一のターミナル駅だが、大宮駅よりも喧しいのは、気動車の発着が多いからだろう。
 事実、それが停車している最中は放送も聞き取りにくい。
 その為か、放送の音量も明らかに大宮駅よりデカい。

〔「今度の旭川行きL特急“スーパーカムイ”11号は、6番線から10時ちょうどの発車です。停車駅は岩見沢、美唄(びばい)、砂川、滝川、深川、終点旭川の順です。5両編成で参ります。……」〕

「冬場だったら、もっと寒いだろうなぁ……」
 時折外から吹いてくる風が冷たい。
「桜が咲くのも遅いからねぇ……。早く魔道師のローブができるといいねぇ……」
 イリーナはしっかりローブを羽織り、フードまで被っている。
 耳の保護も、それで完璧だという。
 対するマリアは、フードまでは被っていない。
「いいっすね……。(僕はローブが似合うんだろうか……)」
 一応昨日、山田テーラーで既製品を試着してみたが、あんまりパッとした感じはしなかった。
 あくまで試着であって、既製品をそのまま着るわけではない。
 そこは山田店長も考えて、ユタに合うローブを作るという。
 見た目だけ見れば、確かに腕は確かそうなのだが、何ぶん、イリーナとの掛け合い漫才を見ていると、どうしても不安が残るのだった。

〔お待たせ致しました。まもなく6番ホームに、10時ちょうど発、旭川行きL特急“スーパーカムイ”11号が入線致します。……〕

 ホームに中年女声の自動放送が鳴り響いたのは、発車の5分くらい前だった。
 東北地方でも仙台駅以外の比較的大きな駅で流れてそうな声だ。

 入線してきたのは、新型の789系と呼ばれる車両。
 既に車内整備が終わった状態でやってきた。
 自由席車であっても、オレンジ色の蛍光灯を用いた温かみのある雰囲気を醸し出している。
「よいしょっと」
 ユタが向かい合わせにしようと、座席下のペダルを踏もうとすると、
「あ、いいよ、ユウタ君」
 と、マリアが止めた。
「師匠はどうせ着くまで爆睡するだろうから」
「そう、ですか?」
「さすがは私の弟子ねー……」
「師匠はこちらにどうぞ」
 マリアが指し示した座席は1人席。
 しかも窓には『優先席』と書かれている。
 特急列車で優先席なんて珍しいと思うが、これは札幌〜新千歳空港間の快速“エアポート”として運用する時のみ有効。
 札幌〜旭川間での特急においては、優先席は無効である。
 とはいえ、
「お年寄りに席を譲りましょうってかい。マリアは優しいねぇ……」
「いえいえ」
(何かちょっと、空気が……)
 ユタは少し背筋が寒くなったような気がした。
 いち早くその空気を読んだマリアの人形達が、ユタの肩や背中に掴まって避難してきている。

 しかし列車の運行には影響が無く、ユタ達を乗せた特急は定刻通りに発車した。
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本日の動向と雑感 0209

2015-02-09 16:39:40 | 日記
 番外編の主人公達が札幌で楽しんでいる間、作者は地元の警察から電話があったので出頭した。
 何でも、私が顕正会時代に行った活動の数々の中に、法律に触れそうなものがあったとのことで、これはひょっとするとタイーホかなと思ったので、心して警察署に向かった。
 折しも乗ったタクシーは、地元では有名なパトカーのカラーをした国際交通というタクシー会社で、何らかのフラグメントを感じたものである。

 ……な話だったら面白かったのだが、あいにくと現実はそうではない。

 いや、私はやってない。潔白だ。
 なに、訴えられたら逮捕・監禁で捕まりそうな折伏という名の勧誘は昔の顕正会員なら皆やっている。
 法華講に逃げ込んだからといって、警察から逃げられるわけではないのだよ。
 逮捕・監禁、暴行容疑で捕まりそうな元・顕正会員は、今のうちに自首すべし。
 あ、もちろん脱講してからだぞw
 で、私はもう時効とwww
 え?民事訴訟?何それ?おいしーの?

 そうじゃなくて、警備検定の資格証ができたから取りに来いって話だ。
 1ヶ月近く掛かるので、あと2週間は掛かるだろうと思っていたのだが、意外と早かった。
 想定外の乗りバス、昨日が西武なら今日は国際興業だ。
 あとはそれを会社に提出するのみ。
 
 その後は水虫の治療で皮膚科に行こうと思い、最寄りの駅でバスを降りた。
 まだ少し時間があったので、駅前のコーヒーショップで時間を潰そうかと思い、中に入る。
 どういう流れになるか、あとは小説のネタを考え込んでいたら、席に座るまで気が付かなかった。

 ……正に、警察に先回りされていて、タイーホとなった犯人の心境はあんな感じなのだろう。

 会社の元・警視庁警部の課長達が鎮座していた。
 はうっ!?す、すいません、ケーサツなめてました!申し訳ありません!
 顕正会のことは洗いざらい喋りますんで、男子部調査室のことも全部!
 ……え?違う?イベント警備の打ち合わせに来ただけ?
 なーんだ。はっはっはー!(笑)
 何をしてるんだと聞かれ、早速、できたてホヤホヤの資格証を見せる。
 すると課長達もほっこりとした顔付きになって、
「なるほど。実はさっき、そっちの警察から電話があって、『おたくの社員さんは態度がいいねぇ。さすが大手は教育がしっかりしてるねぇ』ってお褒めの電話が来たんだ」
「だからさ、『当然だ。これからも何人か寄越すから、あんた達も(自分達の態度に)気をつけろよ』って言ってやったよ」
 とのことだが、多分ウソだろう。
 逆に態度が悪いと、苦情の電話は行くだろうけど。

 しかし、焦った〜!
 まさかこんな所にまで、会社の幹部がいるなんて。
 むしろ、遊んでいる最中に校外指導中の先生に見つかったのび太達の気分かもしれない。

 予定通り、今度は皮膚科へ。
 爛れはだいぶ治ったので、やっと水虫の検査を受けることができた。
 するとビンゴ!
 やはり私の左足の先には、水虫菌が潜んでいた。
 爛れた原因は、使用していた市販薬に問題があったもよう。
 私の皮膚に合わなかったようだ。
 そこで担当医の先生は、私が使用していたものとは違う成分の入った薬を処方してくれた。
 ただ、それでさえ、低い確率で副作用は起きるとのこと。
 まあ、一昨日御登山して、昨日は御講に参加させて頂いたくらいだから、そんな不運はさすがに無いと思うが……。
 たまたま休みの日に資格証ができたのだって、ある意味功徳だからね。
 さすがにコーヒータイムの時に会社幹部との遭遇は余計な現証だったと思うけど……え?コーヒータイムじゃなく、折伏タイムだろって?
 いや、だから、通院が控えてたんだって!

 あとはクリーニング店に寄って、頼んでいた制服やらスーツやらを受け取る。
 ワッペン付きだと断られる所もある中、ちゃんと引き受けてくれるのはありがたい。
 さすがは学会員の店だぜ。
 いや、しょうがないでしょ。法華講員の店なんて都合良く無いし。あったら紹介してくれよ。
 因みに、実家の近所の理髪店も学会員のマスターだったりする。
 店先に公明党のポスターが貼ってあったり、待合席のテーブルの上に聖教新聞や“潮”が置いてあることから、恐らくガチだろう。
 スパイのつもりで折伏の地ならしの為に、たまに行ってるんだけどね。
 まさか法華講員が客として来るとは思うまい。

 というわけで、今日も充実した1日だった。
 この功徳が長続きするように、今後も登山参詣は続けていきたい。
コメント (3)
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“ユタと愉快な仲間たち” 番外編 「卒業旅行 The 3名様」 6

2015-02-09 10:30:36 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
 ※前回の記事で、「番外編」が抜けていました。大変失礼しました。

[3月25日17:30.札幌市・すすきの 稲生ユウタ、マリアンナ・スカーレット、イリーナ・レヴィア・ブリジッド]

 ユタ達を乗せた路面電車は乗客を満載して、終点の電停に差し掛かる。

〔「ご乗車ありがとうございました。終点すすきの、終点すすきのです。お忘れ物の無いよう、ご注意ください」〕

 都電荒川線のように運賃均一性ではあるものの、そちらと違い、後ろから乗って前から降りる方式である。
 で、ここでもSuicaが使える。
「専用軌道の多い荒川線より、何か路面電車って感じだなぁ……」
 ユタは電車を降りると、市電に向けてスマホのカメラを向けた。
 鉄ヲタ丸出しである。……いや、市電だけなら観光客か?
「じゃあ、ジンギスカンでも食べに行こうか」
 後から降りて来たイリーナが目を細めて言った。
「行きましょう行きましょう」

 で、向かった先はキリンビール園・新館。
「イリーナさん、焼くの上手いですね?」
「そう?まあ、この歳まで生きてるとね、色々と経験が身につくのよ」
「ほおほお……」
 そこへ店員が飲み放題の飲み物の注文を取りに来た。
「マリア、ビール頼んどいて」
「はい。ビール大生1つと、あとカシス・オレンジ。……ユウタ君、何にする?」
「あ、僕も同じので」
「カシス・オレンジは2つ」
(もう既に『同じの』は、マリアと同じので統一されているw)
 イリーナはラム肉を焼きながらそう思った。
「明日はどうするんですか?」
「明日はねぇ、旭川まで行こうと思うの」
「旭川ですか。旭川ラーメンでも食べますか?」
「それでもいいし、もっと先まで行こうかなぁ……って」
「それはいいですね。今度はどんな魔道師さんを紹介してくださるんです?今日はおもしろテーラーだったけど
「系統で言えば、ポーリンみたいなのかな。つまり、薬草などをもって薬を作るヤツね」
「ヒーラーというタイプだよ、ユウタ君」
 マリアが焼き上がった野菜やラム肉を取りながら言った。
「そうなんですか。飲めばたちどころに病気が治っちゃう薬とか?」
「その代わり、クリーチャー化しても知らないけど」
「え?」
「もう不老不死の薬はできてるから、あとは何を作るつもりなのやら」
 イリーナは運ばれて来たビールを飲みながら肩を竦めた。
「い、今なんと仰いました?」
 マリアが代わりに答えた。
「いや、だから、もう不老不死の妙薬はあるんだって。魔道師になる人、全員飲んでるよ。だから師匠、1000年も生きてるんだよ」
「まあ、それでもさすがに肉体の方は持たないから、数百年に1度は交換する必要があるけどね。この体は3体目で、あと20年くらいで交換しなきゃいけないなっと」
「あ、もう具体的な数字が出たんですね」
 それには意外に思うマリア。
「そうだよ。……まあ、だいたいね」
「あ、分かった。そのヒーラーさんの所に行って、薬を分けてもらうって話ですね?」
「まあ、つまりそういうことね。ポーリンから融通してもらってもいいんだけど、変な薬混入されても困るしぃ……」
「ポーリン師、今どちらに?」
「魔界にいるよ。アタシに代わって、宮廷魔導師に内定したみたいね。めでたくエレーナも、宮廷魔導師の弟子ということで王城住まいだよ」
「すいませんね。僕の弟子入りのせいで、宮廷魔導師の話を……」
 本来はイリーナが受けるはずだった。
「いいのよいいのよ。あの仕事、結構めんど臭いし……。そのうち、ポーリンも小ジワが増えるようになるでしょう」
「ははは……」

[同日21:00.すすきののビジネスホテル 上記メンバー]

「いやあ……たらふく満腹だねぃ……」
 足取りの悪い師匠の両脇を抱えて連れ帰る弟子1人と弟子候補1人。
「師匠、飲み過ぎですって!」
 マリアの顔が赤いのは、自分も飲んだからだけではないだろう。
「ええっと……。明日は何時に出発します?」
 エレベーターに乗り込んで、ユタが聞いた。
「師匠がこの様子だから、比較的遅い時間でも大丈夫だろう。ね?師匠」
「んー……」
「ダメだ、こりゃ」

 ピンポーン♪
〔12階です。上に参ります〕

「ユウタ君、旭川までの電車はどのくらいある?」
 エレベーターを降りて、マリアが聞いた。
「だいたい30分に1本ってところです。時間帯によっては1時間空く所もありますが」
「あ、でも、そんなものか。10時ぐらいの電車で行こう」
「10時ぐらいですね。分かりました。多分、10時ちょうど発だと思います。……あ、やっぱり。10時ちょうど発、“スーパーカムイ”11号があります」
 ユタは時刻表を開いて言った。
「それで行こう」
「分かりました」
 カードキーでマリア達の部屋のドアを開ける。
「ほーら、師匠!寝るのはまだ早いですよ!魔道書の講義がまだです!」
「え?イリーナさん、半分グロッキーですけど……」
 ユタは目を丸くした。
「今日はもう早く休んだ方が……」
「ンゴー……!」
 いびきをかくイリーナ。
「寝るなぁ、クソババァ!起きろーっ!!」
 バシッ!バシッ!(ユタのJR時刻表をひったくって、ブッ叩くマリア)
「ま、マリアさんっ!?」
 マリアも酒が入ると人が変わるタイプなのだということを確信したユタだった。
「やめてください!仮にも師匠ですよ!初音ミクと弱音ハクも止めてくれ!」
 ユタはマリアの人形達にも手伝ってもらい、何とか抑えるのに成功した。
(ううっ……!ここはやはり、僕が常識人でいないと……!)
 ユタは変な使命感を持ってしまったという。
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