報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“ユタと愉快な仲間たち” 番外編 あとがき

2015-02-22 19:53:17 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
 gdgdでダラダラ続いた“ユタと愉快な仲間たち”も、中途半端な所で終了です。
 最後までお付き合いして下さった方、大変ありがとうございました。
 どこで終わらせるかを判断するのが、私の1番苦手な所なんです。
 出だしで掴みはOKとなっても、終わり方が悪いと、やっぱり作品全体のレベルが落ちてしまいますから、難しいところです。
 だからなのか、多摩準急先生はエンディングから作るという離れ業をやってのけています。代々木アニメーション学院は、そういう教え方なのか?
 さて、この番外編、実は大きなミスをしでかしています。何だと思いますか?
 番外編という意味を調べてみてください。
 特に英訳してみますと、スピンオフという意味なんですね。
 スピンオフ作品というのは本来、本編とは同じ時系列または前日談・後日談を描いたもので、多くは本編で語られることの無かった他の主要キャラクターの行動を描いたものです。
 然るに今回の作品は番外編(スピンオフ)でありながら、本編の主人公であった稲生ユウタが再び主人公を務める、正に、どこが番外編だ?とツッコまれても反論できない作風になってしまったのです。
 これがせめてマリアかイリーナ視点であれば、まだ言い訳もできたのでしょうが、そもそも番外編の意味をよく分からないまま見切り発車をしてしまった作者の大いなるミスです。大変、失礼致しました。
 多分これ、代アニの先生や大学の文学部で提出したら、ものの見事に書き直されるものでしょう。
 本来なら、魔界で新婚状態の威吹邪甲とさくらのあまあま生活、内戦終結後のアルカディア王国で奔走するルーシー女王と安倍春明首相、地獄界のエリート獄卒となった蓬莱山鬼之助の仕事ぶりなんかを紹介すれば良かったのでしょうが……。
 まあ、ネタがあれば、そのうち追々ということで……。

 字数が余ったので、番外編NG集。

 番外編第2話より。
 ユタが大宮駅から高崎線に乗るところ。
 空いている最後尾車両に乗ろうとホーム後ろの方で待っていたら、やってきた電車が10両編成で、だいぶ前の方まで通過された。
「ていうか、高崎線4番線じゃないし!」(ユタ)
「はッ!?」(作者)
「雲羽、アウトー!」(多摩)

 同じく番外編第2話より。
 ユタとマリアが京成特急電車で、旧・博物館動物園駅を通過するところ。
「あ、いてっ!」
 開いてる窓から、ゴム弾が飛んできてユタに直撃。
「うわっ!あんな所で“アンドロイドマスター”のロケやってる!?」(マリア)
「いや、廃駅でロボット・テロと戦う敷島孝夫とシンディのシーンの撮影を同時進行……(;´Д`)」(作者)
「雲羽、アウトー!」(多摩)

 番外編3話より。
 ユタが成田空港で手荷物検査を受けるシーン。
「ズボンのベルトじゃないでしょうか?」(警備員)
「うわっ、ベルト取ったらズボンが下がった!」(ユタ)
「ほほぉ……。ユウタ君はトランクス派ですかー」(イリーナ)
「……………」(マリア。【お察しください】)

 番外編第4話より。
 行きの飛行機内。CAから飲み物を受け取るシーン。
「イリーナさんは何がいいですか?」(ユタ)
「んあ?……………………………………ごめんなさいw」(イリーナ)
「アップル・ジンジャーですよ、師匠!」(マリア)
「じゃあ、テイク2いきまーす!」(作者)

 番外編第5話より。
 山田テーラーに向かうため、市電から降りるシーン。

 ズルッ、スッテーン!(←凍結した電停のコンクリートに滑ってコケるユタ)
「やべっ!お湯まくの忘れた!」(作者)
「雲羽、アウトー!」(多摩)

 同じく5話より。舞台裏。
 バァルと大師匠に抗議を受ける作者と多摩準急先生。
「だからね、かつては大魔王役として黒幕を演じ切ったというのに、何かね?この脇役ぶりは……」(バァル)
「きちんと説明しないと、妙観講員100名呼ぶよ?」(大師匠)
「そ、それはですね……その……あの……」(作者)
「あの恐怖のあっつぁ軍団か……」(多摩)

 第6話より。
 1日目の夜が終わって、ホテルに戻ってきた所のシーン。
「寝るなぁ、クソババァ!起きろーっ!!」(マリア)
「ちょっと!それ、台本に書いてないでしょ!?」(イリーナ)
「いや、面白いのでそのままOKテイクでwww」(作者)

 第7話より。
 ユタ達が特急で旭川に向かうシーン。……の舞台裏。
「いえ、ANPさん。せっかくお越しのところ申し訳無いんですが、“スーパーカムイ”に車販無いんで、車販嬢の役は結構です」(作者)
「じゃ、運転士の役でオナシャス!」(ANP)
「帰っていいよw」(多摩)

 第13話より。舞台裏。
「てかよー、マリアよー!オメーはよー、24だか25にもなってよー、プリキュアのパンツは無ェだろ?ああっ?」(サトー)
「フザけんな!私のじゃない!」(マリア)
「……え?まさか、イリーナさんの?」(ユタ)
「なワケないでしょ」(イリーナ)
「おー、すまんのー。それはわらわのぢゃ。そこにあったのか」(ケンショーピンク)
「!!!!!」(一同)
「多摩先生、ピンクの登場はカットでいいですか?」(作者)
「ピンク、カットー!」(多摩)

 お後がよろしいようで……。
コメント (3)
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“ユタと愉快な仲間たち” 番外編 「卒業旅行 The 3名様」 13

2015-02-22 15:20:58 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[3月27日18:10.羽田空港・国内線第2ターミナル到着口 稲生ユウタ、マリアンナ・スカーレット、イリーナ・レヴィア・ブリジッド]

「はー……やっと東京に帰ってきた……」
 到着ロビーから出て来た3人。
「2泊3日の旅行なんですけど、結構長くいた感じですね」
「まあ、そういうものよ。どうやって、埼玉帰ろうか?」
「バスで帰りましょう。さすがに荷物も大きいですし……」
「あー、そうだねぇ……」
「ただ……ここ、第2ターミナルなんですよねぇ……」
「ん?」
「ちょっと移動しましょう」
 ユタは荷物を持って、取りあえずバスターミナルへ向かった。

[同日18:20.第2ターミナル・バス乗り場 上記メンバー]

「一体、ユウタ君はどこへ行こうってんだい?」
「国際線ターミナルです」
「?」
「第2ターミナルは、リムジンバスが1番最後に乗客を乗せる所なんです。だからほら、見てください」
 ユタはターミナルに発着する、色々な行き先のバスを指さした。
 既に車内には、多くの乗客が乗っていた。
 中には、長蛇の列ができている所に到着するバスもおり、乗り切れるのかと思うくらいである。
「なるほど。ギリギリだねぃ……」
「国際線ターミナルが始発なので、そこから乗ろうと思います。別にここから乗ろうが、国際線から乗ろうが、運賃は変わらないので」
「そうかい」
 そこへ1台の循環バスがやってくる。
 白い塗装に青いラインが入っていた。
「あ、これは違います。これは国際線ターミナルには行きません」
 一応、行き先表示機だけでなく、ボディにもそのようにペイントしてある。
「無料でリムジンバスの始発場所まで行けて、そこから乗ってもここから乗っても運賃は変わらない。さすがユウタ君、よく調べてるねぃ……」
「旅客営業規則には引っ掛からない、合法的な裏技ですよ」

 国内線ターミナル専用のバスをやり過ごして、しばらく待っていると、今度は初音ミクの髪の色エメラルドグリーンに塗装されたバスがやってきた。
 今度は国際線ターミナルと書かれている。
「じゃあ、乗りましょう」
 前扉が両側に開く、グライド・スライドドアが特徴のノンステップバス。
 『出入口』とは書かれているが、基本的にはここから乗る。
 ターミナル間をぐるぐる回るだけのバスのせいか、中央部分の車椅子スペースの座席が跳ね上げられていた。
 ここが車椅子用はもちろん、荷物置き場兼立ちスペースに使用される。
 収納されていない中扉横のロングシートに座る。
 ダイヤはあって無いようなもので、『この時間6分間隔』としか書いていない。
 つまり、国際線ターミナル用のバスは2台で回しているということだ。
 乗客の乗り降りが終わると、バスはすぐに発車した。
 走り出すと、日本語放送はもちろん、英語から中国語、朝……韓国語が流れてくる。
「あとは国際線ターミナルから、リムジンバスに乗って帰るだけです」
「あー、そうかい。やーっと帰れるよ〜。せっかくのリラクゼーションだったのに、宗教テロリストと下着泥棒退治で疲れたしなぁ……」
「僕にとっては、あの状態なのに飛行機が20分だか30分遅れで済んだことが奇跡です」
「ユウタ君の日頃の行いがいいってことだよ〜」
(……ってか、ブルーが女湯突っ切ってきたことはスルーでいいのか???)
 と、ユタは思った。
 齢1000年の大魔道師なら、そんなの気にならないのだろうか。

[同日18:30.羽田空港・国際線ターミナル 上記メンバー]

 国内線ターミナルよりかは静かな国際線ターミナル。
 そこで、多くの外国人旅客と共にバスを降りた。
「それでは、リムジンバスのキップを買いませんと」
「ああ、頼むよ」
 ターミナルの中に入って、リムジンバスの乗車券売り場へ向かう。
「今度の便で、大宮行き、大人3枚ください」
「かしこまりました。今度の便は19時ちょうど発でございます」
(お、30分後か。いいタイミングだな)
 ユタは乗車券を3枚手にした。
「あと30分後ですね」
「ありがとう。マリアはユウタ君と一緒で……って、座席番号が書いてない」
「あ、座席は自由席なんですよ」
「あー、それでね。なるほど。アメリカのグレイハウンドと一緒か」
「それじゃ、行きましょう」
 3人はバスの乗り場へ向かった。

[同日18:35.国際線ターミナル2F(バスターミナルの上) 上記メンバー]

 バス乗り場に向かう途中、ソバ屋を発見する。
「師匠、お腹空いたから、あそこで何か食べていい?」
「あー、そう言えば夕食がまだだったねぃ……」
「ああいう所の店なら、注文してすぐに出て来るでしょう」
「ユウタ君がそう言うなら……。旅行最後の食事がおソバってのも、オツなものだねぇ……」
「ソバ以外にもうどんやラーメンもあるようです」
 というわけで、そこで麺類を食べて行くことに……。

「ちくわ天ソバになりまーす」
「あ、どうもー」
「この滑らか且つコシのある食感は、さすがの私も気後れしてしまいます。……ちゅるん」
 うどんを注文したイリーナだったが、何故か水晶球に向かってグルメリポート。
「師匠、誰に向かって話してるんです?」
「ポーリン」
「……本当は仲いいんじゃ?」
「どうだかねぇ……」
「男には分からない女の事情ってヤツですか?」
 と、ユタが聞いた。
 するとマリアはニヤッと笑って、
「いや、『若者には分からないBBAの事情』……」
「マリア、後で特別講義するから」
「はッ!?」

[同日18:55.羽田空港・国際線ターミナル1Fバス乗り場 上記メンバー]

「大宮行きが参りまーす。埼玉の大宮行きでーす」
 始発のターミナルでは、だいたい発車の5分くらい前にやってくる。
 やってきたのは、オレンジ色の塗装が目立つ東京空港交通のバス。
 バスが到着すると、係員が側面の荷物室のハッチを開ける。
 ユタ達も荷物を預けていた。
「あれ?イリーナさん達が来ないな……。まあ、いいか。先に乗っていよう」
 2人の女魔道師は待合室隣のトイレに行っていた。
 乗降ドアの横にあるLED表示機には、詳しい経由地が右から左に流れている。
 フロント上の行き先表示は、ただ単に『大宮』と書かれているだけなのとは対照的だ。
 ユタが乗り込もうとすると、
「あっ、もうバス来てるよー!」
「待ってください、師匠!」
 魔道師2人がトイレから出て来た。
「じゃあ、乗りましょう」
 乗車券の右端は切り取られて、残りを渡される。

 
 (空港リムジンバスの乗車券。右端を切り取られて、乗客の手元に残ったもの)

 車内はトイレが付いていて、首都高の渋滞でも安心である。
 後ろの方に座った。
 無論、ユタはマリアと隣。
 ここから乗り込んだのは、ユタ達を除いても乗客が僅か5人程度であった。
 そういった意味では、次に止まる第1ターミナルから乗る形でも良いのかもしれない。
 まあ、そこはユタのこだわりということで。
 発車の直前、係員が乗り込んできて、日本語やその他数ヶ国語で書かれた注意書きのボードを持って車内を一巡してくる。
 まあ、シートベルトを着用してくれとか、空いている座席に荷物を置くなとか、そんな感じだ。

 バスが定刻通りに発車すると、ターミナルの係員達が一斉にバスに向かってお辞儀した。
 まずは第1ターミナルへ向かう。
 ユタ達の後ろに座るイリーナは、既に座席を倒して爆睡モードに入ろうとしていた。
「確かに大宮駅西口で降りるつもりですけど、そこが終点じゃないんですよねぇ……」
「まあ、私が首に縄着けてでも引き起こすから大丈夫だよ」
「それなら安心ですね」
 ユタはスマホからラジオのアプリを起動させた。
 もちろん、イヤホン着けて。
 チャンネルを回していると、ニュースが流れて来る。
 バスの窓から外を見ると、昨夜と違い、空は晴れていない。
 関東は夜に雨とのことで、もしかしたら、帰る最中に雨に当たる恐れがあった。
 だが、ユタにとってはそんなの些細なことだった。
 何故なら、

{「……北海道の新千歳空港でテロが発生した事件で、北海道警は“ケンショーレンジャー”と称する宗教テロリストを逮捕し、厳しい取り調べを行っておりますが、容疑者達は依然として意味不明なことをまくし立てており、精神鑑定も含めて……」}

 というニュースが流れていたからである。
「洗脳状態でテロしても、『責任能力が無い』とか言って、無罪になるんでしょうか?」
 ユタは隣にちょこんと座る、年上ながら自分より小柄な魔道師に聞いた。
「どうだかね。どうしても許せないのなら、私と同じ方法を取ればいいよ」
「復讐、ですか……」
「そう。所詮、法律というのは人間が作ったものだから、抜け穴だらけだ。だけど、魔法は違う。抜け穴なんて、存在しない」

{「……尚、“ケンショーレンジャー”が所属すると思われる宗教法人・顕正会では、『担当者がいないので、何も申し上げることはできません』と、コメントしています」}

「……でしょうね」
 ユタの言葉はニュースに対してなのか、それともマリアの言葉に対してなのか……。

 バスは2つの国内線ターミナルで乗客を全て乗せると、首都高速を北に向かって走り出した。

                                             番外編(北海道編) 完
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“ユタと愉快な仲間たち” 番外編 「卒業旅行 The 3名様」 13

2015-02-22 02:31:48 | ユタと愉快な仲間たちシリーズ
[3月27日09:55.JR千歳線・快速“エアポート”96号車内 稲生ユウタ、マリアンナ・スカーレット、イリーナ・レヴィア・ブリジッド]

〔この先、揺れる事がありますので、お気をつけください。お立ちのお客様は、お近くのつり革、手すりにお掴まりください。今日もJR北海道をご利用頂き、ありがとうございます。千歳線、快速“エアポート”号、新千歳空港行きです。途中、新札幌、北広島、恵庭、千歳、南千歳に止まり、終着、新千歳空港まで、およそ37分で参ります。……次は新札幌、新札幌です〕

「札幌の町にさよならだね」
 イリーナが車窓を見ながら呟いた。
「ええ。でも、また来そうな気がします」
 それに答えるユタ。
「お、早速フラグ立て?」
「あ、いえ、そういうことじゃなくて……」
 車内にはユタ達の他、軽装の乗客達も見掛ける。
 区間利用の地元の旅客もいるようだ。
「そろそろ、どこへ連れて行ってくれるか教えてくれてもいいんじゃない?」
「あ、はい。実は最近になって、空港に日帰り温泉施設ができたみたいでしてね、そこでゆっくり過ごせるかなぁ……なんて」
「おお~、いいねぇ。良さそうな所、見つけたねぇ~」
 目を細めたまま笑みを浮かべたイリーナだった。
(温泉か。ミカエラ達はお留守番だな……)
 と、マリアは思った。
「ただ、その前に、実家に土産を買って行きたいんですが……」
「ええ、結構よ」

[同日11:00.新千歳空港ターミナル 上記メンバー]

 通勤電車にはミスマッチと思われる牧歌的な風景を通り過ぎると、飛行機の姿が見え隠れする。
 千歳駅や南千歳駅は他線からの乗り換え駅ということもあって、乗降客は多い。
 俄かに吊り革に掴まる乗客が増え出して、電車はほぼ定刻通りに新千歳空港駅に着いた。
 現時点における、JR北海道唯一の地下駅である。
 多くの空港駅が地下にあるのは、駅~空港の利便性を考慮しつつ、航空機の離発着に影響を出さない為である(仙台空港駅など、例外はある)。
 JRのICカードが使えるのは、何とも便利だ。

 ターミナルに入った3人は、早速土産物店を覗いた。
「父さんに、酒でも買っていこうかな。芋焼酎なんかいいかも……」
 北海道では、芋焼酎はジャガイモを使用しているらしい。
「師匠、ちゃっかり試飲でハシゴしないでください」
「ぶっ!……バレたか」
「ユウタ君、重そうだけど大丈夫?」
「大丈夫ですよ。『私の帰りのカバンには、まだ若干の余裕がございます』」
「???」
「林家こん平みたいなこと言って……」
 ユタの発言にツッコめたのは、イリーナだけだった。

[同日11:30.新千歳空港温泉 稲生ユウタ]

 平日の午前中ということもあってか、温泉施設は空いていた。
 ユタは余裕で赤茶色のお湯に浸かる。
「ふぅ……。ん?おっ、露天風呂もある」
「ええ、露天風呂も最高ですよ」
 ユタのつぶやきに、近くにいた別の客が言った。
 何故かそこだけ湯気がもくもく立ってて、姿がよく見えない。
「飛行機の離発着を見ながら入る露天風呂も良さそうですね」
 と、ユタ。
 しかし湯気の中の人物は、
「いいえ。あいにくと飛行機は見えません。鉄壁の簾により、ガードされています。しかし、私の分析によりますと、女湯側の露天風呂が意外と近いようです」
「? はぁ……」
 ユタは聞き覚えがあった。
「もし宜しければ、私と一緒に露天風呂に行きませんか?クフフフフフフ……。大丈夫。私のストーカー術で、女の園を垣間見ることは余裕ですよ。クフフフフフフフ……」
「……!?」
 ユタに背を向けて露天風呂への出入口へ向かう中年男。
 その背中には、湯気……というか、煙を大量発生させる装置を背負っていた。
「着いてこられるとは……。お兄さんも好きですねぇ……クフフフフフフフフ……」
「い、いや、僕はフツーに露天風呂に……」
「御心配いりません。絶食系を語る作者と違い、私は肉食系、あなたは草食系として、共に女の園へ参ろうではありませんか。クフフフフフフフフ……」
「草食系なのに女の園???……てか、そんなものまで用意して!」
 男(というか、グリーン横田)は潜望鏡を取り出した。
「クフフフフフフ……。肉食系をナメてはいけません。さあ、現場へ行く前にこれを書いて……」
 スッとケンショーへの入信報告書を差し出す。
「この『女の園潜入プロジェクト』が成功するよう、まずは御祈念して参りましょう」
 何故か女湯との境の所に、仏壇&湯気と湿気に塗れてヨレヨレになった日布上人書写と自称する大幅の御本尊が……。
「来て御覧なさい。実に、素晴らしい会館ですね」
「け、ケンショーレンジャー!?ってか、会館って何だよ!?」
「いいですかー?今日からここはケンショー基地、新千歳空港会館としてオープンしたのです。従って、この温泉施設もケンショーのものなんですね」
「勝手にケンショーのものにするなぁーっ!」
「ぇユタ君、ぇキミは何でも、ぇ法華講を退転して、ぇ今は無所属なのだとか……」
「うわっ!ケンショーレッド!?いつの間に!?」
「クフフフフフフ……。ということは、いつでもケンショーに戻れるということですね」
「さぁ!ユタ君、私は大聖人様に固くお誓い申し上げる!今ここでキミをケンショーに復帰させると!」
「気安く大聖人様に誓うな!ってか、平成25年度の誓いはどうなったーっ!?」
「ああっ!?グダグダ抜かしてんじゃねぇよ!ああっ!?」
「ぶ、ブルー!?どうして……?警察に捕まったはずじゃ……?」
「いいですかー?これぞ正にケンショーが正しいが故の御守護なんですね。ブルーは本来なら、ソッカーの手に落ちた警察の怨嫉により、東京へ連行されるはずだった。しかし……」
「脱獄なんざ、センセーに断じてお応えして参る決意ならチョロいぜ。ああっ!?」
「クフフフフフ……。やりましたね、ブルー。私の分析によりますと、ブルーは自ら操縦桿を奪取し、ソッカーの軍団を乗せた別の飛行機に体当たりしたもようです。あの煙は、正に勝利の狼煙ですね?」
「な、何と言う事を……」
「うむっ!ブルーの熱意、しかと伝わった!しかるに、ユタ君の決意はどうか?」
「んなもんあるか!!」
 パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ……。
「勝手に拍手するなぁっ!」
「ああっ!?ユタ、てめぇはよー、センセーの御心が分かってねーみてーだからよー、初心の功徳を先に渡しとくぜ!ああっ!?」
「初心の功徳ぅ?」
 スッと出す、ブラ・ショーツ&パンスト。
「オメーの好きな女の生下着だぜっ、ああっ!?」
「こ、こんなものまで持って来て……!女湯通ってきたのか!?」
「見てごらんなさい。正に、ケンショーの功徳ですね。日顕宗には絶対無い功徳であります」
「何がだ!畜生道そのものだろうが!ってか、日顕宗は学会用語だし!」
「ハァハァ……!ブ、ブルー……!私には、お土産は無いのですか?ハァハァ……」
「ああっ!?ちゃんと用意してあるぜ!ユタの連れのデカい女の方だ!」
 スッと出すイリーナの下着。
 マリアのよりもずっと高価で派手な柄。
「おおっ!正にケンショーの功徳……!」
「ぼ、僕、知らないよ!」
 ユタ、一目散に内風呂へ逃げる。
 と、同時に人間形態となり、手にサーベルやスピアを持ったマリアの人形達がケンショーレンジャーに襲い掛かり、あとは【お察しください】。

「これは返してね、ユウタ君……」
「……はい」
 後に、顔を赤らめ、ブルーから盗まれてユタの手に渡った下着を回収するマリアの姿があったという。
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