報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“新アンドロイドマスター” 「MEGAbyte」

2015-06-10 19:18:34 | アンドロイドマスターシリーズ
[6月12日13:00.天候:晴 敷島エージェンシー・会議室 井辺翔太、結月ゆかり、Lily、未夢]

 机に置かれたデビュー曲の資料に目を通す新人達。
「あなた達に曲を書いてくれた音楽家さんもまた、その世界ではルーキーですが、そうとは思えない奥深さです」
「はい、そう思います」
 とは、新曲を試聴した後のやり取りである。
「しかし、それまで初音さん達に曲を書いて下さっているベテランの方々からも注目されている期待の新人ということで、それが開花されるかは、あなた達の歌に掛かっています。プレッシャーを掛けるわけではないのですが、どんなベテランの方が書いた曲であっても、歌い手がアレですと、やはり曲としても……となりますから」
「はい!」
「あの……」
 Lilyが右手を挙げた。
「この、『MEGAbyte』ってなに?曲名じゃないみたいだけど……」
「曲名は『機械仕掛けのA.I.』よね?」
「仮のユニット名です。関係各方面へ資料を提出する際、何かしら書いておく必要があったので」
「メガバイト。容量か。でも、あんまり大きな容量じゃないね」
「あなた達は、まだデビューしたての新人ですから。これから売れて来る度にギガバイト、テラバイトと大きく成長していく……という意味で付けてみました。キロバイトだと、さすがに小さ過ぎるので」
「なるほどー。いいですね!」
 ゆかりは大きく頷いた。
「うん。あたしもそう思う」
「私も賛成!」
「えっ?」
「そうかそうか。バイト単位がユニット名なんて、ボーカロイドっぽいねー」
 未夢は満足そうに頷いた。
「プロデューサー。私達のユニット名、それでお願い。ゆかりもいいよね?」
「はいっ!」
「……分かりました。では、あなた達のユニット名は『MEGAbyte』ということで」
「はい!ありがとうございます!」
「そうかそうかー!パソコンも、最初はちゃっこい容量だったもんねー」
「プロデューサー、もし私達がメジャーになったら、ギガバイトとかテラバイトとかに変わるの?」
「それは実際、あなた達がそのレベルに達してから考えます。あまりユニット名をころころ変えるのもどうかとは思うので。それもタイミングを見てから、ということにはなるかと」
「それもそっか!」
「では本日夕方、アイドル雑誌が取材に訪れます。そこで、このユニット名を発表しようと思いますので」
「おお〜!」
「私達、インタビュー受けるの!?」
「はい。雑誌記者さんと1対3のインタビュー、同行のカメラマンさんによる撮影もあります」
「凄い凄ーい!ほんと、デビューするぞーって感じ!」
「うん。やっと、劇場時代ではできなかったことができるようになるのかな」
 暴走したLilyも、ようやく納得の展開になりそうだった。

[同日15:00.天候:曇 宮城県仙台市太白区・平賀家 平賀太一&平賀奈津子]

「あと、もう少しで出発するよ」
 平賀はリビングで紅茶を啜りながら言った。
「いつになったら、あなたも危険な仕事から解放されるのかしら?」
 向かいに座る奈津子が心配そうに聞いた。
「しょうがない。ロボットをテロに使うなんて言語道断な連中がこの世から消えるまでだ」
「十条……博士の行方はまだ?」
「これから向かう先に、その手掛かりがあることを願うまでだ。キールを捕まえるだけでも、大きな収穫にはなるんだが……」
「あの、朴訥な執事ロボットがあんな感じになっちゃうなんて……」
 奈津子もまたキールの暴走に直面している。
 奈津子は、その時に同じく居合わせた立会人で当時まだ妊娠中のアリスを庇って重傷を負った。
 おかげでアリスもお腹の子も無事だったが、この出来事が、更にテロ撲滅を願っている平賀太一に火を付けたことは言うまでもない。
「ロイドは……使う人間次第だってことさ。それ次第で……見てみろ。あの政治的粛清や虐殺に使用されていたマルチタイプも、今では正義の味方だ。さすがにそれまでの所業から、原発除染作業とかには使わせてもらえないけどな」
 その作業の最中にまた暴走して、今度こそ取り返しの付かない事態になったら困るというのが大きな理由だ。
 つまり、まだそれだけ信用されていないということ。
 平賀にとっては、マルチタイプや自分の発明したロボット達をテロ組織壊滅に使うことで、その信用を勝ち取ろうという趣旨を掲げている。
 リビングの食器棚の中には、まだ健在だった頃の南里と一緒に写った写真が何点か飾ってある。
 中には、まだ南里研究所が稼働していた頃に撮った写真も。
 今はM&Aで消滅した大手電機メーカーから出向してきたばかりの敷島や、結婚前の奈津子、元気だった頃の南里や、今と大して変わらないエミリーと一緒に映った写真だ。
 その後、初音ミクがボカロとして華々しく稼働、鏡音リン・レンも完成し、巡音ルカやMEIKO、KAITOを開発・製造した研究者達を殺して奪い取ったウィリーから彼女らを奪還。
 その時の写真もある。
 MEIKOは満面の笑みを浮かべてVサイン、KAITOも微笑を浮かべていたが、ルカだけは腕組みして無表情だ。
 この時はルカも笑うことができず、苦労させられた記憶がある。
「敷島さんと一緒なら、何でも上手く行きそうな気がするね」
「何があっても、生き残る人だからな。潜入探索には、敷島さんも同行するなんて言ってる」
「本当!?何でもする人ねぇ……。でも、あなたは……」
「自分は後方支援だから、心配しないでくれ」
 平賀は心配する妻の肩を叩いた。

〔「……流れる景色〜♪揺れる列車に思いを馳せて♪今は〜♪帰らぬあの故郷よ〜♪」〕
 ラジオからは、折しもルカのヒーリングな歌が流れていた。
「ドクター平賀。出発の・準備が・整いました」
 エミリーがやってくる。
「ああ、ありがとう。新幹線のチケットは?」
「こちら・です」
「うん」
〔「……2人で歩む♪進む♪この旅路を〜♪」〕

[同日17:00.天候:曇 敷島エージェンシー 井辺、ゆかり、Lily、未夢]

「今日は、ありがとうございました」
 井辺は取材が終わって帰る記者達をエレベーターまで見送った。
 その後、事務所まで戻ると、
「お疲れさまでした。出来上がった雑誌は、サンプルをこちらに送って下さるそうですので、それをご覧ください」
 ゆかり達に言った。
「はい!……私、ちゃんと答えられてましたか?」
 ゆかりが不安そうに聞いた。
 インタビューに立ち会っていた井辺は、
「はい。十分だと思います」
 大きく頷いた。
「ありがとうございます!」
 と、そこへ、
「おっ、MEGAbyteは、順調に船出を開始したみたいだな」
 敷島とシンディが入ってきた。
「社長、お帰りなさい」
「お疲れさまです!」
「プロデューサーやマネージャーの仕事、お疲れさんな。彼女達の船出を見送ったことだし、今度は不審船の探索に行ってくるわ」
「社長、てことは……」
「今日の夜、出発する。東京駅で平賀先生達と合流してな」
「そうですか……」
「表向きは貨物船だが、乗り込んでみたら、とんでもない船かもしれないぞ。とんだ幽霊船に乗り込むことになるかもしれない」
「は、はい」
「大丈夫よ。幽霊も蜂の巣にするのがマルチタイプでしょう?」
 後ろからMEIKOがシンディの肩を叩きながら言った。
「言ってくれるねー。まあ、そうだけど」
 シンディはニヤッと笑った。
「ま、とにかく、テロ対策の方は任せといて」
 そして、片目を瞑るのだった。
(姉さんと一緒なら、負ける気がしない……)
 とも思った。
コメント (12)
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冨士参詣深夜便 0609

2015-06-10 02:37:19 | 日記
京浜東北線に刃物男=乗客避難、けが人なし―横浜

 他のニュースでは、犯人の隣に座っていた人が優先席であるにも関わらず、タブレット端末を使っていたことにキレたのだそうだ。
 それだけでは分からないが、タブレットの場合(スマートフォンもそうだが)、オフラインで使用することも可能なので、恐らくこの爺さんはそこまで確認してはいまい。
 タブレットで通話は基本しない(できない)ので、そのせいでキレたというわけでもあるまい。
 また、鉄ヲタ(乗り鉄)の個人的な見解だが、「優先席付近では電源を切るように」との呼び掛けには疑問が多々ある。
 ガラケーが普及してから作られたマナーだった思うが、そのガラケーやスマホによって心臓ペースメーカーが止まったとか、誤作動を起こしたという例は1件も聞いたことがない。
 見ていると、電源まで切っている人は殆ど見掛けない。
 しかしそれで、ペースメーカーが……という事案は全く聞かない。
 なので私も通話はしないし、音が鳴らない設定にはしているが、電源までは切らない(てか、そもそも優先席に座ることはない)。
 路線バスも同じマナーを呼び掛けているが、列車よりキャパが小さい状態では優先席だけ電源を切っても意味が無いぞ。
 優先席の無いグリーン車、特急列車、新幹線、高速バスは?
 そもそもラッシュ時の混雑した状態では?
 ……と、このような矛盾があるので、私は車内全体で、「通話の禁止と音が鳴らない設定で」の方でいいと思う。

 関西方面ではもう少し文化が違うようで、昔、JR東海の管轄の東海道本線などを走行している311系という電車には公衆電話が付いていたという。
 この電車は主に新快速などに使われる3ドアの中距離電車で、デッキの無い車両である。
 確か、トイレの横だかにあったんじゃなかったかな。
 今は撤去されているらしい。
 ケータイではなく公衆電話だが、しかし普通列車にも電話が設置され、車内で堂々と通話ができたということである。
 列車の公衆電話もまた、電波はケータイと同じ物を使っているのだ。
 さすがにその状態でケータイの通話禁止を呼び掛けるのは矛盾していると気づいたか、今では311系からは撤去されている。
 表向きには公衆電話用の電波サービスが終了したからだの、ケータイ普及で利用者がいなくなったからだのと言っているが、多分ケータイのマナーも絡んでいると思う。
 尚、実際に見たわけではないが、関西私鉄(恐らく近鉄)にも似たような構造の電車に公衆電話があると聞いたことがある。
 こちらは現存しているのかどうか分からない。

 このように、あまり意味を見出せない禁止事項には甚だ疑問が残るわけである。
 無用なトラブルを避けるためにも、早いとこ変更してもらいたいものだ。

 尚、爺さんとオッサンのケンカについてはスルーだ。
 ニュースだけ見れば、時代の利器の付いて行けなかった爺さんの負けのような気がするが、そもそもオッサンの腕が当たってウザかっただけかもしれないw
コメント (18)
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