報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“新アンドロイドマスター” 「マルチタイプ8号機」

2015-06-16 19:32:47 | アンドロイドマスターシリーズ
[6月13日03:00.貨物船スター・オブ・イースタン号 船底区画・第3貨物室 敷島孝夫、エミリー、シンディ]

{「第3貨物室の奥の方です。気をつけて」}
「……了解」
 平賀の無線が飛んで来る。
 敷島達は第3貨物室に潜入した。
 そこにはバージョン4.0などの気配は無かった。
「……どうやら、あのコンテナのようだな」
「今度はアタシと姉さんと開けるよ。社長はここで待ってて」
 と、シンディが言った。
「よし。よろしく頼む」
「じゃあ、これ持ってて」
 と、あたかも当然のようにグレネードランチャーを渡してくる。
「さすがに、これをいきなり使えったってムリだぞー?」
「大丈夫よ。稲生ユウタはマネキン軍団に対してブッ放したから」
「それ、映画の話だろ!?」
 シンディとエミリーはコンテナの観音扉に手を掛けた。
「じゃ、いい?1、2、3で開けるよ?」
「OK」
「1、2、3……」
 2人のマルチタイプはコンテナの観音扉を開けた。
 敷島はグレネードランチャーはさすがに置いて、AK-47を構えている。
 いきなり何かが飛び出してくるということは無かった。
「何も無いのか!?」
「いや、あるね」
「木箱が・1つです」
 コンテナの中を見ると、まるで棺みたいなサイズの木箱があった。
 棺ならもっと装飾や木材には拘るだろうが、こちらは本当に簡素な作りだ。
「どうする?」
「スキャンできるか?」
「やってみるわ」
 シンディの左目から緑色の光線が出てきて、木箱を照らす。
 それは船外の漁船、平賀の待機している所にも送信されている。
{「やりました!マルチタイプの反応ですよ、敷島さん!」}
「そうですか。取りあえず、中身確認しちゃっていいですか?」
{「お願いします」}
「エミリー、蓋を開けてくれ」
「イエス。敷島・社長」
 エミリーは木箱の蓋をこじ開けた。
 蓋は釘で打ち付けられており、本来ならバールか何かで開けるものだろう。
 だが、強い馬力や腕力を持つマルチタイプにそれは不要だ。
「キールがいたりしてな?」
「それは無い無い」
 敷島の冗談に、シンディが右手を振った。
「……女の子・です」
 緩衝材が詰め込まれた箱の中に、仰向けになっていたのは15歳前後くらいの少女。
 赤毛の髪がよく目立ち、それが腰までストレートに伸びている。
 エミリーが抱え起こすと、ノースリーブのピンク色のレオタード姿の少女の右側の二の腕には、ローマ数字で『8』というペイントが施されていた。
「8号機!?完全に真新しいタイプなのか。てっきり、7号機以前の誰かがいたのかと思ったよ」
{「あー、こちら、村中です」}
「村中課長」
{「すぐにそのマルチタイプを回収して、船首甲板へ向かってください」}
「一体何が?」
{「迎えのヘリがまもなく到着します。その船の船首甲板に、ヘリポートがあったでしょう?そこに着陸するから、それにそのマルチタイプを乗せ、ついでにあなた達も乗ってください。銚子警察署まで行きますから」}
「平賀先生は?」
{「自分も一旦、そちらの船に移動します。船底区画からは、エレベーターで上に上がれるはずです。サイドデッキまで上がれるはずなので、それで上がって、サイドデッキから船首甲板に向かってください」}
「了解。でも、まだバージョン4.0が残ってるかもしれませんよ?」
「ああ、それなら大丈夫。さっきアタシが制御室で、奴らの電源を遠隔で切ったから。あのデカ物だけは別系統だったみたいで、電源落ちなかったけどね」
「そうか。まあ、400についてはさっきグレネードでブッ飛ばしたから大丈夫だろ。箱ごと持って行こう。2人で運べるな?」
「イエス」
「あいよ」
 2人のマルチタイプは軽々と、8号機の少女が入った箱を持ち上げた。

 エレベーターの中には潜んでいたバージョン4.0が1機いたが、シンディが電源を切っていたので、ただの機械人形(でくのぼう)だ。
 箱を抱えつつ、シンディがその4.0を外に蹴り出した。
 今では人間に対しては丁寧な態度(敷島や井辺にはフレンドリーだが)を取るシンディも、下位種であるバージョン・シリーズには容赦が無い。

[同日03:30.天候:曇 同船・船首甲板ヘリポート 敷島、エミリー、シンディ、平賀、村中課長]

 外に出ると、既に雨風共に止んでいた。
 まだ空は曇っていて空気も湿っているが、これから天候は回復していくのだろう。
「敷島さん、こっちです!」
 サイドデッキを通って船首に出ると、甲板の所で平賀が大きく手を振っていた。
「平賀先生!」
「どうやら、無事ですな。さすが、東京決戦の英雄さん達だ。……っと、中にはそうでない方もおられるが」
 村中はシンディを見て、コホンと咳払い。
 当時のシンディは東京決戦では敵側だった。
「そんなことより、このコはどうするの?」
「まずは警察が押収して色々と解析を進める。まあ、技術が最先端過ぎて、手に負えないのがオチだがな」
「だったら、最初からこっちに下さいよ。どうせ、そうなるのが目に見えてるんですから」
「警察にも立場ってもんがあるの」
 敷島の文句に眉を潜めて言い返す村中。
「村中・課長、バージョン4.0どもの・メモリーチップ・です」
 エミリーが数個体から回収したメモリーチップを村中に渡した。
「おっ、こりゃすまんな。あと、キミ達の捜索状況のメモリーも頼む」
「はい、どうぞ」
 それは平賀のパソコンから作られた。
 即ち、エミリーとシンディの目から撮影記録された動画は平賀のパソコンにリアルタイムで送信され、それを手持ちのUSBに保存したものだ。
 それを渡した。
「これで警察としては満足ですか?」
「まあ、今の所はな」
「鷲田警視のことだから、まだ何かgdgd言って来そうだ」
 敷島が肩を竦めると、村中は苦笑いした。
「まあ、そんなこと言わずに。お陰様で、KR団の全容が解明できそうだよ」
(そう、上手く行くとは思えませんがね)
 敷島と平賀はそう思った。
「私はあっちの船で戻るから、キミ達は先に銚子警察まで行ってくれ。あとの指示は、向こうの担当刑事が出すから」
「はーい」
「捜査協力、真にありがとう」
 ヘリのドアを閉める時、村中は敬礼した。
 そして、ヘリが離陸した。

 貨物船については、ヘリに乗って来た警察関係者が操船して銚子漁港まで運ぶらしい。
「始発電車で帰れるかな?」
 敷島はヘリの壁を背にして座り込み、ダイバーズウォッチを見ながら呟いた。
 平賀は飛行するヘリの中で、新しいマルチタイプ8号機の様子を見ていた。
「……多分、十条博士が新たに造ったオリジナルタイプかもしれない」
「そうですか」
「ナンバーを連番にしようとしていたことから見ても、性能はエミリー達と同じか、新造なだけにもっと上かもしれません」
「暴れ出さないよう、エミリー達で護衛しておく必要がありそうな感じがするんですがね」
 しかし今のところ、村中を始め、警察からはそのような要請は無い。
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小説の途中ですが、ここで本日の雑感をお送りします。 0616

2015-06-16 15:33:55 | 日記
 今後の流れとして、敷島達が総武本線普通列車に乗る予定があり、その編成両数表の最新版がまだ手元に無いので、それまでのお茶濁しで申し訳無い。
 今日中に手に入ればいいのだが……。

 ムーディ☆アポ山さんからの書き込みがあったが、まあ確かにこの歳までフリーで来ると、何を今さら感があるのもまた事実である。
 恐らく登山参詣すら自由にできなくなるのではないか。
 前回の登山レポには書かなかったが、1人で登山するのは私だけではない。
 富士急静岡バスには、私のような単独登山者が結構いるのである。
 しかし、それだけで『1人信心』とか言わないで頂きたい。
 一緒に登山してくれる人がいないのもまた事実だからだ。
 一緒に登山してくれる人が現れるまで、それを差し止めるのは却って良くないんじゃないか。
 その為に支部総登山があると私は勝手に思っているのだが、それすら単独行動をする人だっているんだから。
 試しに私もワッペンだけ頂戴して、後は1人で勝手に行動してみたことがあったが、ま、何とかなるもんだよ。

 大石寺第2ターミナルに、1人で登山していた婦人部のオバちゃんがいたので、私はバスの写真を撮りつつ、1人で登山されている理由について聞いてみた。
 そしたら、
「誰も行かないから」
 だって。
 ハテ?それはどういう意味かな?
「ただでさえ支部総登山でも集まりが悪くてねぇ……。添書登山も、私くらいしか行きませんのよ」
 ……あれ?もしかして、“フェイク”の記事って結構当たってる?
 確かこの前も、何だか行事の集まりが悪いみたいな内容だったような……。
 私の所属先は大規模で全体数も多いから、何だかんだ言って、登山者数もそれなりに多いのだろう。
 少なくとも支部登山の集まりが悪いとは聞いたことが無い。
 すぐに目標人数に達すると紹介者さんが胸を張って言っていたのを思い出した。
 その割には、昨年度の慶祝登山の集まりは悪かったようだ。最終日だったからか?
「うちはお兄さんみたいな、若い人があまりいないから……」
 とのこと。
 あれ?“フェイク”の記事、結構当たってる?
 因みにそのオバさん、所属寺院は聞いたことの無い末寺だったが、かなり地方の支部らしい。
 ……かなり地方の支部って、“フェイク”の記事によると……【自主規制致します】。

 今度、“日蓮正宗から見た少子高齢化問題について”ってレポートでもやってみるか?
 日本でも移民を受け入れるかどうかでモメているが、数だけ求めるなら既に移民を入れているのがうちの支部だ。
 もはや、日本人信徒を増やすことは諦めているらしい。
 『軒を貸して母屋が取られ』ても知らないよ。
 私はとっとと逃げ出す準備をするだけだ。
コメント (6)
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“新アンドロイドマスター” 「ゴースト・シップ」

2015-06-16 02:32:54 | アンドロイドマスターシリーズ
[6月13日01:00.貨物船スター・オブ・イースタン号・船尾共用廊下 敷島孝夫&エミリー]

 国際的なロボット・テロ組織KR団が航行していると見られる貨物船に潜入した敷島達。
 船尾から潜入した敷島とエミリーの前に突如として現れた者は……。
「バージョン4.0だ!」
 今は亡き世界的マッド・サイエンティスト、ウィリアム・フォレスト博士が開発・製造したテロ用途に特化した2足歩行ロボット“バージョン”シリーズ。
 彼が直接関わった、最後の形式である。
 その後継機、5.0については設計まではしていたが、実際に製造することなく、この世を去っている。
 孫娘であるアリスが開発を引継いだ上、自分なりのアレンジを加えて製造したのがマリオとルイージである。
「お前達・立ち去れ!」
 アリスが右手をショットガンに換え、両目をギラッと光らせて警告した。
 ウィリーやアリスが開発したものについては、エミリーやシンディの命令に忠実に従う様、設定されている。
 が、設計図が流出し、個体自体が色々なテロ組織に売られていた為、中には自分達で組み立てる組織もあり、そういう所で製造された個体については、言う事は聞かない。
 この船にいるのもそうらしく、貨物室の扉をブチ破って出て来た2体の4.0も目の部分をギラッと光らせ、エミリーに銃口を向けた。
 ……ので、すぐ様、エミリーによって頭部を撃ち抜かれて稼動を終えた。
「こいつらは船内の警備用か?」
 敷島が首を傾げると、
{「こちらシンディ。船長室にて、船長の遺体を発見。腹を串刺しにされた痕があるわ」}
 船首から潜入したシンディの無線が飛んできた。
「何だって?」
{「船橋区画は血の痕とか、バージョン4.0の残骸が転がっているから、そいつらが暴走したのかもしれないね」}
「何だって?……ったく、管理がなってねーな」

 その後、敷島達は船底倉庫へ向かうまでの間、バージョン4.0達と戦うハメになった。
 さすがに敷島もトンファーだけでは心許なくなり、テロリストの死体からAK-47を拝借することにした。
 こちらは予備の弾もあったことから、使う間もなく4.0に射殺されてしまったのだろう。
 問題は、何故4.0達が暴走してしまったかである。
{「エミリーかシンディ、どっちでもいい。可能なら4.0のメモリーチップを数個確保してくれないか?村中課長が解析したいと仰ってる」}
 平賀から無線が飛んできた。
「了解しました」
{「ねぇ、ドクター。目標の場所、目星とか付かないの?この船、結構荷物が積まれていて、どれがどれだか分かんないのよ」}
「確かに、自分達で船会社でもやってんのかと思うくらいコンテナの山ですよ」
{「多分、敷島さん達が1番近いかと。船底の貨物室から、強いロイドの反応が確認出来ます。情報によると、船底の貨物室は3つの区画に分かれていて、恐らく目標のマルチタイプは第3貨物室のコンテナに格納されていると思われます」}
「了解しました。ありがとうございます。……全く。1体50億円のマルチタイプが、オンボロ貨物船輸送とはな。豪華客船で輸送するくらいの価値だってのに」
「あちらから・船底に・行ける・ようです」
 エミリーは、下へ降りる階段を指差した。

[同日02:00.同船・船底区画 敷島&エミリー]

 シンディの方は大した戦闘は無かったらしい。
 ただ、船員居住区にておびただしいほどのテロリスト達の死体があったとのこと。
 夜中に寝込みを襲われて、応戦する間もあまり無かったようだ。
 起きていた者は応戦したが、それでも全滅した。と、こんな感じだろう。
「一斉に暴走したってことは、最初から仕組まれていたか、誰かがリミッターを解除したかのどっちかだな」
 どうやら後者のようである。
{「こちらシンディ。船底に向かう途中で、制御室らしき物を発見。ただ、その周辺にはテロリストとは違う感じの人間達が殺されているね」}
 シンディの無線が飛んでくる。
{「なに?確認させてくれ」}
 村中の声が聞こえた。
 すぐにシンディは自分の目に映る画像を送信した。
 それは敷島が持ち込んだタブレットでも受信した。
「何だか、汚いカッコした連中だな。こいつらは船員なのか?テロリストの皆が皆、船を動かせるわけではないだろう?」
{「……か、もしくは人質か何かか……」}
{「制御室がいじられた痕があるね。こいつらが変に操作したから、4.0どもが暴走したんじゃない?」}
「ってことは、テロリスト達ではないのか」
{「恐らくは囚われの人質が何とか救助を要請する為に成りふり構っていられなかったか、もしくは密航者達かもしれん」}
「その結果がバージョン達の暴走だったとしたら、皮肉もいい所ですな」
{「しかもグレネードランチャーまで置いてあるわ。弾も数発あるみたいだから、もらっておくね」}
「是非とも、使わないで済むよう願いたいものだな」

 敷島達は殆ど死体を見つけることは無かったが、その代わり、稼動している4.0と戦うことが多かった。
「俺達の方がキツいかもしれんなー」
 そして、ようやく第2貨物室に到着する。
{「第3貨物室はその隣です」}
「了解!」
 コンテナの陰に隠れるように進むと、途中に一際大きいコンテナがあった。
「敷島・社長、あの・コンテナから・強い・エネルギー反応が・あります」
 エミリーは敷島の左手を掴んだ。
「何だって?第3倉庫じゃなくて、この第2にいるのか?……よーし、俺がちょっくら様子を見て来る。もしヤバそうだったらすぐ戻ってくるし、もっとヤバかったら救援よろしく」
「かしこまり・ました」
 敷島は抜き足差し足忍び足で、件のコンテナに向かった。
 と!

 バンッ!(いきなりそのコンテナの扉が開く)

「!?」
 敷島がびっくりして立ち止まると、中から出てきたのは……。
「ブオオオオオ!」
「!!!」
 バージョン4.0を巨大化したタイプ、バージョン400だった。
 通常の3倍のサイズを持つし、戦闘力も3倍だと謳われている。
 敷島は全速力でエミリーの所に戻る。
「ひ、平賀先生、すんごいマズいことになりました!第2倉庫にはバージョン400が居やがりました!しかも何だか、右手が鋭い爪みたいなの持ってるし!」
{「胸の所にTとか書いてません、それ?」}
「いや、ちょっと一瞬だったもんで!とにかく、恐らく何の制御も掛かっていない状態である可能性が高いから、ヤツの機嫌を損ねたら俺達がヤバい!」
「私が・体当たりして・食い止めます。敷島・社長は、その隙に……」
「自己犠牲かよ!?あいつをまともに相手にしたら、お前も無事じゃ済まされないぞ!?」
 昔、片腕を引きちぎられ、片足を完全に折られた経験を持つエミリー。
「それしか・方法は・ありません」
「しかし……!」
 と、そこへ、
{「こちらシンディ。船底第2貨物室に到着。……何か遠くにデカいのがいるけど、撃っちゃっていいの?」}
 シンディが近くまで来たようだ。
 そして確かシンディの現在の武器は……。
「エミリー、どうやら助かりそうだぞ!」
「イエス」
「シンディ。俺達は、そのデカ物のすぐ近くにいるんだ。思いっきりそいつにグレネード撃ち込んでくれると助かる!」
{「りょ~かい!」}
「グオオオオ!」
「あっ!?」
 ついに敷島達、400に見つかってしまった。
 確かに左胸にTの文字があしらわれている。
 鋭い爪の付いた手を大きく振り上げたその時、大きな爆発音がして、400の頭部が吹き飛んだ。
 その残骸が降り注いで来たので、そこはエミリーが敷島を庇った。
 彼女の背中などに残骸が当たり、それはそれで人間に当たると大きなダメージだろうが、マルチタイプには平気だった。
「……助かったみたいだな。……てか、耳が痛ェ」
 大きな爆発音による、室内の大反響までは防ぎ切れなかったようである。
コメント (5)
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