[5月15日20:00.天候:雷雨 デイライト・コーポレーション・インク アーカンソー研究所]
アメリカ側で製造されたセキュリティロボット、バージョンA。
日本で出没した4.0よりも強化されているのかというと、そうでもない。
体型はスマートになって、走って追い掛けてくるようにはなったが、元々が頑丈なシリーズなだけに、それ以上の強化はされなかったようである。
その為、動きの素早いザコ程度にしか思えなかった。
遠くから走って来るヤツはシンディがライフルで頭部や胸部を撃ち抜いて破壊したし、近接戦になった場合はエミリーが対応した。
鋼鉄姉妹のタッグで、例え最新式のセキュリティロボットであっても、シンディ達の敵ではなかったのである。
敷島:「E233系であっても、0系より速く走れるわけないからなー。はっはっはー」
平賀:「例えがよく分かりませんが……」
敷島:「最新型の通勤電車であっても、時速200キロ以上は出せんということですよ」
平賀:「はあ……なるほど……」
“走る司令室”で変な会話を交わしている人間達を他所に、エミリーは倒したセキュリティロボットから何かを奪い取った。
「姉さん、それは?」
「これは・認証コードだ。恐らく・これで・所内の・電子ロックを・私達で・開けることが・できる」
「そうなんだ」
エミリーとシンディは認証コードをインストールした。
おかげで所長室に繋がる通路を開ける電子ロックは、エミリー達が右手を読取機にかざすだけで開けることができた。
オートロックになっており、ドアを閉めるとまた勝手に電子ロックが掛かる。
もっとも、反対側からはフリーで開けられそうだ。
途中には電源の切れているモニタがあったが、それはよそ目に、奥のドアに近づく。
「ここが所長室のドアね」
もちろん、ここにも電子ロックが掛けられていた。
エミリーが右手をかざすが、
「! どういう・こと!?」
エラーが出て開かない。
「マジ!?」
シンディもやってみるが、このドアはまた別の認証コードが必要らしく、やっぱり弾かれた。
〔「きゃははははは!やっぱりここまで来たんだー!〕
「!?」
「誰だ!?」
若い女の声だったが、それはモニターからだった。
モニターに映し出されているのは、黒いバドスーツに身を包んだ女。
「……ジャニス!」
「貴様、ジャニスか!?」
〔「アルバート博士の研究所へようこそー!でも、ここから無事で出さないよ。鉄屑になれば出られるけどね!」〕
「こいつ……!」
「鏡音リンと・鏡音レンは・どこだ?お前が・さらったはずだ」
苛立つシンディを抑え、エミリーは冷静に聞いた。
但し、エミリーとて眉を潜めている。
〔「もちろん、無事だよ。今はね。あなた達の情報を聞き出す為に、ちょっと協力してもらったわ!」〕
「なるほど。それが・目的だったか」
「だったら早く返しなさい!ボーカロイドは関係無いでしょ!?」
〔「あなた達が今すぐそこで舌を噛み千切ってくれるんなら、今すぐにでも放してあげるよ」〕
「何だと!?」
ロイドにとって舌を噛み千切るということは、自爆装置の起動を意味する。
つまり、ジャニスはエミリー達に自爆しろと言ったのだ。
〔「……なーんてねw もちろんそれが理想だけど、多分ムリっぽいから冗談にしといてあげる」〕
「キサマ!私達を誰だと思ってんだっ!!」
「フザけるのも・いい加減に・せよ」
〔「日本製……ううん、旧ソ連製のポンコツガイノイド。あなた達こそ、最新式の私達に勝てるとでも思ってるの?」〕
敷島:「技術的には既にマルチタイプの存在自体が、オーバーテクノロジーみたいなものですよね?平賀先生」
平賀:「まあ、そうですなぁ……。しかし、敷島さん、さっきから気になる点があるんですが……」
敷島:「何ですか?」
平賀:「……あ、いや。つまらぬことなので、敷島さんが気にしていなければ別にいいです」
敷島:「いやいや!先生にそこまで言われたら気になるじゃないですか!」
平賀:「うーん……。ま、もう少し様子を見てからで」
敷島:「はあ!?」
〔「……マスターの執務室を見つけたことはさすがだけどね。そこはルディの言う通りだったわ。認証コードを変えておいて正解だった」〕
「アルバート所長はどこ!?」
シンディはジャニスを睨みつけて聞いた。
〔「もちろん、このお城の安全な所に隠れてるよ。私達はマスターの忠実なしもべ。マスターの為なら、私も舌を噛み千切っていいくらいよ」〕
平賀:「忠誠心は本物のようですね」
敷島:「やはり、アルバート所長が暴走したのか……。何でだ?」
その時、シンディ達の背後でドアを乱暴に叩く音がした。
どうやら新手のセキュリティロボット達が駆け付けたらしい。
「姉さん!こうなったら、あのドアこじ開けるよ!?電子ロックだろうと、私達が本気を出せばこじ開けられる!」
シンディは所長室のドアノブに手を掛けた。
「シンディ、待て!確かに・そうかも・しれない。だが・恐らく・それは・織り込み済み・だと思う」
「だから何!?」
「恐らく、罠……」
バァアアアンッ!(廊下と所長室前通路を仕切る電子扉がこじ開けられた音)
チュドォォォォン!!
「はいーっ!?」
「やはり!!」
ドアをこじ開けたのはバージョンAの小集団だったが、ドアをこじ開けると同時に大爆発が起きた。
直接その爆風を食らったバージョンA達は、無残な鉄塊と化してしまった。
〔「あーあ……バレちゃった。お察しの通り、ムリにドアをこじ開けようとしたら爆発する仕掛けをしておいたからw 役立たず共のせいで、バレちゃったけど」〕
「アンタっ!何て危険なシステム作るの!!」
〔「ジャニス、もうその辺でいいだろう」〕
と、モニタに男の声がした。
ジャニスと入れ替わるようにして映ったのは、ルディだった。
〔「初めまして。遠い“親戚”の姉さん達。マスターの執務室のドアを開けるには、その廊下の奥の倉庫に眠るヤツを倒して認証コードを手に入れなければなりません。オススメはしたくないので、どうかお引き取りを。ボーカロイドについては、後で返します。それでいかが?」〕
「あいにと、こっちも子供のお使いじゃないんでね。あんた達こそ、アルバート所長と3人で、アタシ達に投降してもらおうじゃない」
〔「ふー……。それなら、仕方がない。ボーカロイドはもう暫く預かります。姉さん達は、認証コードを探してみてください。といっても、場所は教えましたけど」〕
ルディはそれだけ言うと、フッとモニタから消えた。
「ったく!姉弟揃ってムカつく連中だわ!」
「シンディ、落ち着け」
エミリーは妹をなだめた。
「とにかく・行くしか・無さそうだ」
「中ボスでも待ち構えているって言うのかしら?」
敷島:「あー、2人とも。正しくシンディの言う通りだろう。そこでブッ壊れているロボット達から、弾薬を取ってやれ。中ボス戦なら、弾薬を消耗するかもしれないしな」
「了解」
「かしこまりました」
エミリーとシンディは、右手を銃火器に換装したまま壊れたバージョンAから弾薬を抜き取った。
「あの姉弟ムカつくから、中ボスにぶつけてやるわ。それならいいでしょ?」
「無理は・するな」
シンディ達はルディの言った通りの倉庫へ向かった。
一体、中ボスとはどんなヤツなのだろうか?
アメリカ側で製造されたセキュリティロボット、バージョンA。
日本で出没した4.0よりも強化されているのかというと、そうでもない。
体型はスマートになって、走って追い掛けてくるようにはなったが、元々が頑丈なシリーズなだけに、それ以上の強化はされなかったようである。
その為、動きの素早いザコ程度にしか思えなかった。
遠くから走って来るヤツはシンディがライフルで頭部や胸部を撃ち抜いて破壊したし、近接戦になった場合はエミリーが対応した。
鋼鉄姉妹のタッグで、例え最新式のセキュリティロボットであっても、シンディ達の敵ではなかったのである。
敷島:「E233系であっても、0系より速く走れるわけないからなー。はっはっはー」
平賀:「例えがよく分かりませんが……」
敷島:「最新型の通勤電車であっても、時速200キロ以上は出せんということですよ」
平賀:「はあ……なるほど……」
“走る司令室”で変な会話を交わしている人間達を他所に、エミリーは倒したセキュリティロボットから何かを奪い取った。
「姉さん、それは?」
「これは・認証コードだ。恐らく・これで・所内の・電子ロックを・私達で・開けることが・できる」
「そうなんだ」
エミリーとシンディは認証コードをインストールした。
おかげで所長室に繋がる通路を開ける電子ロックは、エミリー達が右手を読取機にかざすだけで開けることができた。
オートロックになっており、ドアを閉めるとまた勝手に電子ロックが掛かる。
もっとも、反対側からはフリーで開けられそうだ。
途中には電源の切れているモニタがあったが、それはよそ目に、奥のドアに近づく。
「ここが所長室のドアね」
もちろん、ここにも電子ロックが掛けられていた。
エミリーが右手をかざすが、
「! どういう・こと!?」
エラーが出て開かない。
「マジ!?」
シンディもやってみるが、このドアはまた別の認証コードが必要らしく、やっぱり弾かれた。
〔「きゃははははは!やっぱりここまで来たんだー!〕
「!?」
「誰だ!?」
若い女の声だったが、それはモニターからだった。
モニターに映し出されているのは、黒いバドスーツに身を包んだ女。
「……ジャニス!」
「貴様、ジャニスか!?」
〔「アルバート博士の研究所へようこそー!でも、ここから無事で出さないよ。鉄屑になれば出られるけどね!」〕
「こいつ……!」
「鏡音リンと・鏡音レンは・どこだ?お前が・さらったはずだ」
苛立つシンディを抑え、エミリーは冷静に聞いた。
但し、エミリーとて眉を潜めている。
〔「もちろん、無事だよ。今はね。あなた達の情報を聞き出す為に、ちょっと協力してもらったわ!」〕
「なるほど。それが・目的だったか」
「だったら早く返しなさい!ボーカロイドは関係無いでしょ!?」
〔「あなた達が今すぐそこで舌を噛み千切ってくれるんなら、今すぐにでも放してあげるよ」〕
「何だと!?」
ロイドにとって舌を噛み千切るということは、自爆装置の起動を意味する。
つまり、ジャニスはエミリー達に自爆しろと言ったのだ。
〔「……なーんてねw もちろんそれが理想だけど、多分ムリっぽいから冗談にしといてあげる」〕
「キサマ!私達を誰だと思ってんだっ!!」
「フザけるのも・いい加減に・せよ」
〔「日本製……ううん、旧ソ連製のポンコツガイノイド。あなた達こそ、最新式の私達に勝てるとでも思ってるの?」〕
敷島:「技術的には既にマルチタイプの存在自体が、オーバーテクノロジーみたいなものですよね?平賀先生」
平賀:「まあ、そうですなぁ……。しかし、敷島さん、さっきから気になる点があるんですが……」
敷島:「何ですか?」
平賀:「……あ、いや。つまらぬことなので、敷島さんが気にしていなければ別にいいです」
敷島:「いやいや!先生にそこまで言われたら気になるじゃないですか!」
平賀:「うーん……。ま、もう少し様子を見てからで」
敷島:「はあ!?」
〔「……マスターの執務室を見つけたことはさすがだけどね。そこはルディの言う通りだったわ。認証コードを変えておいて正解だった」〕
「アルバート所長はどこ!?」
シンディはジャニスを睨みつけて聞いた。
〔「もちろん、このお城の安全な所に隠れてるよ。私達はマスターの忠実なしもべ。マスターの為なら、私も舌を噛み千切っていいくらいよ」〕
平賀:「忠誠心は本物のようですね」
敷島:「やはり、アルバート所長が暴走したのか……。何でだ?」
その時、シンディ達の背後でドアを乱暴に叩く音がした。
どうやら新手のセキュリティロボット達が駆け付けたらしい。
「姉さん!こうなったら、あのドアこじ開けるよ!?電子ロックだろうと、私達が本気を出せばこじ開けられる!」
シンディは所長室のドアノブに手を掛けた。
「シンディ、待て!確かに・そうかも・しれない。だが・恐らく・それは・織り込み済み・だと思う」
「だから何!?」
「恐らく、罠……」
バァアアアンッ!(廊下と所長室前通路を仕切る電子扉がこじ開けられた音)
チュドォォォォン!!
「はいーっ!?」
「やはり!!」
ドアをこじ開けたのはバージョンAの小集団だったが、ドアをこじ開けると同時に大爆発が起きた。
直接その爆風を食らったバージョンA達は、無残な鉄塊と化してしまった。
〔「あーあ……バレちゃった。お察しの通り、ムリにドアをこじ開けようとしたら爆発する仕掛けをしておいたからw 役立たず共のせいで、バレちゃったけど」〕
「アンタっ!何て危険なシステム作るの!!」
〔「ジャニス、もうその辺でいいだろう」〕
と、モニタに男の声がした。
ジャニスと入れ替わるようにして映ったのは、ルディだった。
〔「初めまして。遠い“親戚”の姉さん達。マスターの執務室のドアを開けるには、その廊下の奥の倉庫に眠るヤツを倒して認証コードを手に入れなければなりません。オススメはしたくないので、どうかお引き取りを。ボーカロイドについては、後で返します。それでいかが?」〕
「あいにと、こっちも子供のお使いじゃないんでね。あんた達こそ、アルバート所長と3人で、アタシ達に投降してもらおうじゃない」
〔「ふー……。それなら、仕方がない。ボーカロイドはもう暫く預かります。姉さん達は、認証コードを探してみてください。といっても、場所は教えましたけど」〕
ルディはそれだけ言うと、フッとモニタから消えた。
「ったく!姉弟揃ってムカつく連中だわ!」
「シンディ、落ち着け」
エミリーは妹をなだめた。
「とにかく・行くしか・無さそうだ」
「中ボスでも待ち構えているって言うのかしら?」
敷島:「あー、2人とも。正しくシンディの言う通りだろう。そこでブッ壊れているロボット達から、弾薬を取ってやれ。中ボス戦なら、弾薬を消耗するかもしれないしな」
「了解」
「かしこまりました」
エミリーとシンディは、右手を銃火器に換装したまま壊れたバージョンAから弾薬を抜き取った。
「あの姉弟ムカつくから、中ボスにぶつけてやるわ。それならいいでしょ?」
「無理は・するな」
シンディ達はルディの言った通りの倉庫へ向かった。
一体、中ボスとはどんなヤツなのだろうか?