報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「探偵の新年度」

2019-04-08 19:26:19 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[4月8日12:00.天候:曇 東京都墨田区菊川 愛原学探偵事務所]

 私の名前は愛原学。
 都内で探偵事務所を経営している。
 今日はリサが始業式のはずだ。
 東京中央学園では始業式の日は授業を行わないから、そろそろ帰って来るはずだ。

 高橋:「先生、お昼どうします?」
 愛原:「リサがそろそろ帰って来るだろ。前回の修了式の時は斉藤さんに御馳走してもらったから、今度は俺が御馳走してあげようかと……」
 高橋:「ゴチになります!」
 高野:「ゴチになります!」
 愛原:「……思っているんだが、お前らはなに便乗しようとしてるんだw」
 高野:「もちろん今のは冗談ですけど、斉藤さんって御嬢様なんですよね?」
 愛原:「そうだよ?それがどうした?」
 高野:「いえ、あまり庶民的な物を出すと却って顰蹙かなと……」
 愛原:「大丈夫だろ。そもそも東京中央学園に通っている時点で、そういうのは期待していないはずだ」

 件の学校法人は、けしてセレブだけを集めているわけではない。
 幼稚舎から大学院まで高額の学費の払える者だけが入学を許され、中途入学が異端者(貧乏人)扱いされる所とは違う。
 現に作者が設定しているのは中等部と高等部しか無い。
 もちろん公立より学費は高いが、そこは政府が面倒看てくれているからリサの場合は気にしなくて良い。
 斉藤絵恋さんがそこに通学しているのは、父親で大手製薬会社社長の斉藤秀樹氏が空手道場師範と同級生で、絵恋さんをそこに通わせる為だと聞いた。
 その為、絵恋さんはよくマンガやアニメに登場する『御嬢様に付き添う黒服のSP』は必要無い。
 護身術なら既に身につけているからである。

 高野:「どこに行くんです?」
 愛原:「ファミレスかマックか?この近くにあるだろ?」
 高野:「ありますけど、ありきたり過ぎません?」
 愛原:「そうかな?」
 高野:「もう少し工夫された方が……」
 高橋:「いいんじゃね?どうせ中坊のガキ共だろ?そんなことくらいで、先生のお手を煩わせてどーすんだよ?マックでいいよ」
 高野:「お昼時で混んでるよ?」
 愛原:「テイクアウトならいいだろ。給湯室のテーブルで食べてもらえばいい」

 と、外からエレベーターの到着する音が聞こえた。
 ここは5階でエレベーターはアナウンス付きのものだから、そのアナウンスが聞こえるのである。
 ビル自体は築浅だが、大きなものではなく、5階に入居しているのはうちの事務所だけだから、エレベーターが来ればイコール誰かが来たと分かるのである。
 要はインターホン代わりだな。
 もちろんインターホンは別にあるのだが、それが要らないという……。

 リサ:「ただいま」
 絵恋:「こんにちは。お邪魔しまーす」
 愛原:「おう、お帰り。お昼を御馳走する約束だったな。マックで何か買って来るから、好きなの言ってくれ」
 高橋:「俺は先生の食べ残しで功徳を頂きます」(`・ω・´)
 愛原:「どこかの宗教団体みたいなことを言うんじゃない。……俺はダブルチーズバーガーだな」

 そしたら、高野君も高橋もマックを希望しやがる。
 高橋はともかく、高野君も今日は弁当を持って来ていないとは……。

 愛原:「多分これ、袋2つ以上になるな。高橋、ちょっと一緒に来てくれ」
 高橋:「うっス!俺は地獄まで先生にお供します!」
 愛原:「鬼ヶ島まででいいよ。ったく」

 何で私は地獄に堕ちる前提なんだ。

 愛原:「高野君は2人にお茶でも出してあげて」
 高野:「はーい」

 私は高橋を伴って事務所をあとにした。

[同日12:15.天候:曇 同区同地区内 マクドナルド]

 高橋:「ここ最近、ヒマですね」
 愛原:「新年度だし、身辺調査の依頼でもあるかなと思っただが、予想ハズレだったな」

 大手の金融機関とかだと、新入社員の身上調査を探偵業者に依頼することがある。
 なまじ手癖の悪いヤツを入れたりなんかすると、まあ後は言わなくても分かるだろう。
 中には作者みたいに、『確変が止まらなくて困る』ヤツでも入社お断わりみたいだからな。
 警備業はいいみたいだ。

 高橋:「ボスからの電話待ちってところですか?」
 愛原:「まあな」

 もっとも、今はリサの面倒を看るという重大な仕事を政府から請け負っている。
 収入はそこで定期的に入っているので、食い上げの心配は無いのだが……。

 店員:「お待たせしました!次のお客様、どうぞ!」
 愛原:「えー、持ち帰りでダブルチーズバーガーのセットと……」

 私が全員分を注文し……。

 店員:「お待たせしました!103番のお客様ー!?」

 商品を渡されると、案の定それはビニール袋2袋分だった。
 まあこの程度なら、私が2つ両手に持てば良いだけの話だ。

 高橋:「先生!俺が2つとも持ちます!」
 愛原:「そうか。じゃあ、頼む」
 高橋:「はい!」

 高橋はヒョイとビニール袋2つを持った。

 愛原:「帰ったら仕事の依頼でも来てないかな?」
 高橋:「来てるといいですね」

[同日12:30.天候:曇 愛原学探偵事務所]

 私が事務所に戻ると、応接室にJC2人がいた。

 愛原:「おーい、買って来たぞー。早いとこ食べよう」
 リサ:「おー!」
 絵恋:「ありがとうございます」
 愛原:「お2人さんは給湯室にテーブルがあるから、そこで食べてくれ」
 リサ:「はーい」
 絵恋:「分かりました」

 事務室に入ると、高野君が電話していた。

 高野:「……はい、承りました。それでは愛原が戻りましたら、言付けしておきます。……はい、失礼します」

 高野君が電話を切る。

 愛原:「電話?ボスから?」
 高野:「あ、はい。メールを送るから、後で見ておいて欲しいとのことです」

 昼休みでも平気で電話してくるのは、ボスしかいないからな。
 まあ、私もボスから仕事の斡旋を受けている以上、文句は言えないのだが……。
 ボスが仕事を斡旋してくる方法はいくつかあって、まずは電話で直接クライアントを紹介する方法、そしてメールで紹介する方法だ。
 他にも別のパターンはあるのだが、今回は後者のようである。

 愛原:「どれどれ……?」

 私は自分の机の上にダブルチーズバーガーのセットを置くと、PCのメールを確認することにした。
 そこにあったのは……。

 1:「愛原君、仕事の依頼だ」
 2:「冨士大石寺顕正会入信のご案内」
 3:「確変が止まらない。どうしよう?」
 4:「マイケルさん報恩坊入講計画について概要」
コメント (9)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする