[4月26日18:00.天候:雨 埼玉県さいたま市大宮区 敷島家]
敷島のマンションの前に1台のハイヤーが到着する。
運転手:「お疲れ様でした」
敷島:「ありがとう」
運転手:「明日から仙台へ御出張ですね」
敷島:「うん。多分、しばらく戻って来ないと思うから、ゆっくり休んでてくださいよ」
運転手:「恐れ入ります」
敷島:「あ、でも一度会社に行ってから東京駅だから、明日までお願いするのか」
運転手:「さようでございますね。お時間はいつもの時間でよろしいですか?」
敷島:「うん、それで大丈夫」
運転手:「かしこまりました」
ハイヤーを降りると、シンディが傘を用意していた。
エミリーはDCJにて整備中。
こういう時はシンディが代役を果たす。
かつてはシンディの方がメインだった。
オーナーの登録が平賀から敷島に移ったことで、メインとサブが逆転した。
それまでは南里の遺言で平賀が頑なにオーナー登録を続けていたのだが、当のエミリーは敷島を選んだこと、南里の遺言状は数通あり、内容に矛盾が発生していること(例えば『エミリーを墓場に持って行きたい』としながらも、別の遺言状には『エミリーは平賀君に譲る』とか書いてあったり)。
シンディ:「月末も雨らしいですよ、社長」
敷島:「困ったねー。イベント会場によっては、集客が天候に左右されるからなぁ……」
ロイド達は傘を差さない。
濡れても平気だからなのだが、さすがに建物に入る時にずぶ濡れでは困るので、ここでは傘を差しても良いことにしている。
シンディ:「今日は二海がキッチン(メイド)をやっています」
敷島:「まあ、お前はエミリーの代役だし、当のエミリーは整備中だから、そうなるか。オムライスでも作ってくれてるのかな?」
シンディ:「よくお分かりで」
敷島:「表向きはトニーの希望ということになっているが、メイドとして作らないと気が済まんということに最近気づいたよ」
シンディ:「その割には『おいしくなるおまじない』を知りませんでしたね」
敷島:「別にそこまでは求めていないからな?」
エレベーターに乗って、部屋に向かう。
シンディ:「富士宮の件はどうなりましたか?」
敷島:「どうもこうもないさ。ロボットが爆弾を抱えて自爆した。ただ、それだけ。当のロボットがバラバラになっている状態じゃ、どうしようもないってさ」
シンディ:「メモリーを回収して解析とかは?」
敷島:「だから、それも復元できないほど黒焦げのバラバラだってことさ。せめて、犯人から犯行声明でも出してくれりゃいいんだがな」
部屋の中に入る。
敷島:「ただいまァ」
二海:「お帰りなさいませ、社長」
『御主人様』とは言わない。
敷島:「大抵こういう場合、同時多発的に似たようなテロが他でも行われたりするのが、KR団のセオリーなんだが……」
敷島はテレビを点けてニュース番組にチャンネルを合わせた。
敷島:「今回はあれ以来、似たようなニュースが無い」
シンディ:「そうですね」
一応、ニュースでは包み隠さず、『国際ロボットテロ組織、KR団日本支部に所属していた吉塚広美博士宅で大規模な爆発』『ロボットが爆発したか?』などと報道していたが……。
敷島:「吉塚博士はとっくに死んでいて、テロとは全く関係の無い親族だけが巻き込まれて、俺が無事と。本当に俺を狙ったテロだったのか?ぶっちゃけ、新幹線ごと爆破した方が組織的犯行なんだとしたら、名前が売れるだろうに……。新幹線は狙わず、直接家を狙った理由は……知らんと」
シンディ:「社長。姉さんの整備は明日終了ですか?」
敷島:「そうだ。俺達は東京駅から乗るが、アリスとエミリーは大宮から乗る」
シンディ:「かしこまりました」
敷島:「他に同行するのは?」
シンディ:「鏡音リンとレンです」
敷島:「マジかよ。騒がしくならないかねぇ?」
シンディ:「あの2人には携帯ゲームをやらせておきますから」
敷島:「それならいいが、今度はトニーが騒がないといいが……」
シンディ:「お坊ちゃまは大人しい方ですから、恐らく大丈夫だと思いますが……」
敷島:「そうかな」
敷島が着替え終わると、二海が入って来た。
二海:「失礼します。御夕食の用意が整いました」
敷島:「ああ、今行く」
私服に着替えた敷島は、ダイニングへ向かった。
アリス:「ただいまァ」
と、そこへアリスが帰って来る。
アリス:「Oh,今日はやっぱりオムライスね」
敷島:「お前も予想当たりかい」
アリス:「誰よ?二海のプログラミング、アキバのメイド喫茶みたいにしたの?」
敷島:「製作者は平賀先生……」
アリス:「日本人相手に量産したタイプならそれでいいけど、二海はトニーの誕生祝でしょ?そんな機能いらないって」
で、アリスが色々といじくったのだが、まだ名残はあると。
敷島:「それより早く食べよう。シンディ、トニーを呼んで来てくれ」
シンディ:「もう既にお連れしております」
トニー:「何だよ、シンディ!人がゲームしてんのに!」
シンディに襟首掴まれて、無理やり部屋から引きずり出されてくるトニーがいた。
トニー:「あともうちょっとでラスボスなんだよ!」
シンディ:「ダメと言ったら、ダメでございます!」
シンディ、両目をギラリと光らせてトニーを叱り付ける。
敷島:「トニー、シンディの言う通りだ。いい加減にしないと今度はビームが飛んで来るぞ」
因みにエミリーの場合は無言の圧力で躾に行く。
アリス:「さすがシンディは我が家のハウスキーパーね」
シンディ:「光栄です」
敷島:「ハウスキーパーは本来、メイドじゃないんだけどね」
メイドを含めた女性使用人の統括責任者のことである。
男性使用人がいない場合、執事を務めることもある。
敷島:「というか、ハウスキーパーはエミリーの方じゃないのか?」
シンディ:「それは私もそう思います」
アリス:「ま、どっちでもいいわ。早く食べましょう。トニー、ママの所へおいで」
敷島:「ママっ子になりそうだ。……俺が子供の頃はどうだったかな?……まあいいや」
以上、夕食を囲む敷島家から中継でお送りしました。
敷島のマンションの前に1台のハイヤーが到着する。
運転手:「お疲れ様でした」
敷島:「ありがとう」
運転手:「明日から仙台へ御出張ですね」
敷島:「うん。多分、しばらく戻って来ないと思うから、ゆっくり休んでてくださいよ」
運転手:「恐れ入ります」
敷島:「あ、でも一度会社に行ってから東京駅だから、明日までお願いするのか」
運転手:「さようでございますね。お時間はいつもの時間でよろしいですか?」
敷島:「うん、それで大丈夫」
運転手:「かしこまりました」
ハイヤーを降りると、シンディが傘を用意していた。
エミリーはDCJにて整備中。
こういう時はシンディが代役を果たす。
かつてはシンディの方がメインだった。
オーナーの登録が平賀から敷島に移ったことで、メインとサブが逆転した。
それまでは南里の遺言で平賀が頑なにオーナー登録を続けていたのだが、当のエミリーは敷島を選んだこと、南里の遺言状は数通あり、内容に矛盾が発生していること(例えば『エミリーを墓場に持って行きたい』としながらも、別の遺言状には『エミリーは平賀君に譲る』とか書いてあったり)。
シンディ:「月末も雨らしいですよ、社長」
敷島:「困ったねー。イベント会場によっては、集客が天候に左右されるからなぁ……」
ロイド達は傘を差さない。
濡れても平気だからなのだが、さすがに建物に入る時にずぶ濡れでは困るので、ここでは傘を差しても良いことにしている。
シンディ:「今日は二海がキッチン(メイド)をやっています」
敷島:「まあ、お前はエミリーの代役だし、当のエミリーは整備中だから、そうなるか。オムライスでも作ってくれてるのかな?」
シンディ:「よくお分かりで」
敷島:「表向きはトニーの希望ということになっているが、メイドとして作らないと気が済まんということに最近気づいたよ」
シンディ:「その割には『おいしくなるおまじない』を知りませんでしたね」
敷島:「別にそこまでは求めていないからな?」
エレベーターに乗って、部屋に向かう。
シンディ:「富士宮の件はどうなりましたか?」
敷島:「どうもこうもないさ。ロボットが爆弾を抱えて自爆した。ただ、それだけ。当のロボットがバラバラになっている状態じゃ、どうしようもないってさ」
シンディ:「メモリーを回収して解析とかは?」
敷島:「だから、それも復元できないほど黒焦げのバラバラだってことさ。せめて、犯人から犯行声明でも出してくれりゃいいんだがな」
部屋の中に入る。
敷島:「ただいまァ」
二海:「お帰りなさいませ、社長」
『御主人様』とは言わない。
敷島:「大抵こういう場合、同時多発的に似たようなテロが他でも行われたりするのが、KR団のセオリーなんだが……」
敷島はテレビを点けてニュース番組にチャンネルを合わせた。
敷島:「今回はあれ以来、似たようなニュースが無い」
シンディ:「そうですね」
一応、ニュースでは包み隠さず、『国際ロボットテロ組織、KR団日本支部に所属していた吉塚広美博士宅で大規模な爆発』『ロボットが爆発したか?』などと報道していたが……。
敷島:「吉塚博士はとっくに死んでいて、テロとは全く関係の無い親族だけが巻き込まれて、俺が無事と。本当に俺を狙ったテロだったのか?ぶっちゃけ、新幹線ごと爆破した方が組織的犯行なんだとしたら、名前が売れるだろうに……。新幹線は狙わず、直接家を狙った理由は……知らんと」
シンディ:「社長。姉さんの整備は明日終了ですか?」
敷島:「そうだ。俺達は東京駅から乗るが、アリスとエミリーは大宮から乗る」
シンディ:「かしこまりました」
敷島:「他に同行するのは?」
シンディ:「鏡音リンとレンです」
敷島:「マジかよ。騒がしくならないかねぇ?」
シンディ:「あの2人には携帯ゲームをやらせておきますから」
敷島:「それならいいが、今度はトニーが騒がないといいが……」
シンディ:「お坊ちゃまは大人しい方ですから、恐らく大丈夫だと思いますが……」
敷島:「そうかな」
敷島が着替え終わると、二海が入って来た。
二海:「失礼します。御夕食の用意が整いました」
敷島:「ああ、今行く」
私服に着替えた敷島は、ダイニングへ向かった。
アリス:「ただいまァ」
と、そこへアリスが帰って来る。
アリス:「Oh,今日はやっぱりオムライスね」
敷島:「お前も予想当たりかい」
アリス:「誰よ?二海のプログラミング、アキバのメイド喫茶みたいにしたの?」
敷島:「製作者は平賀先生……」
アリス:「日本人相手に量産したタイプならそれでいいけど、二海はトニーの誕生祝でしょ?そんな機能いらないって」
で、アリスが色々といじくったのだが、まだ名残はあると。
敷島:「それより早く食べよう。シンディ、トニーを呼んで来てくれ」
シンディ:「もう既にお連れしております」
トニー:「何だよ、シンディ!人がゲームしてんのに!」
シンディに襟首掴まれて、無理やり部屋から引きずり出されてくるトニーがいた。
トニー:「あともうちょっとでラスボスなんだよ!」
シンディ:「ダメと言ったら、ダメでございます!」
シンディ、両目をギラリと光らせてトニーを叱り付ける。
敷島:「トニー、シンディの言う通りだ。いい加減にしないと今度はビームが飛んで来るぞ」
因みにエミリーの場合は無言の圧力で躾に行く。
アリス:「さすがシンディは我が家のハウスキーパーね」
シンディ:「光栄です」
敷島:「ハウスキーパーは本来、メイドじゃないんだけどね」
メイドを含めた女性使用人の統括責任者のことである。
男性使用人がいない場合、執事を務めることもある。
敷島:「というか、ハウスキーパーはエミリーの方じゃないのか?」
シンディ:「それは私もそう思います」
アリス:「ま、どっちでもいいわ。早く食べましょう。トニー、ママの所へおいで」
敷島:「ママっ子になりそうだ。……俺が子供の頃はどうだったかな?……まあいいや」
以上、夕食を囲む敷島家から中継でお送りしました。