[7月22日11:39.天候:晴 宮城県仙台市青葉区中央 JR仙台駅]
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく終点、仙台です。仙石線、仙山線、常磐線、仙石東北ライン、仙台空港アクセス線、仙台市営地下鉄南北線と仙台市営地下鉄東西線はお乗り換えです。お忘れ物の無いよう、お支度ください。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕
大宮から時速320キロで走行した“はやぶさ”も、仙台駅が近づくにつれてぐんぐん速度を落としていった。
田んぼの中を走っていたかと思うと、どんどん建物が多くなり、今ではビルとビルの間を走り抜けている。
愛原:「“はやぶさ”だと、あっという間だな」
高橋:「1時間35分っスからね。マジパネェっす」
愛原:「さすがの追跡BOWも、新幹線には追い付けまい」
リサ:「うん。そうだね。でも、どんな早く遠くまで逃げても、必ず追い付くよ。だから『追跡者』にロックオンされたら、殺すまで倒さないと」
愛原:「タイラントやネメシス、時代が下ってもっと恐ろしい『追跡者』が現れているか」
リサ:「タイラント君くらいなら、私が何とかするけどね」
愛原:「東北にはいないことを願うよ」
列車はポイントを通過して、下り副線の11番線に入線した。
恐らく列車はこの後回送となり、利府の車両基地に向かうはずである。
尚、山陽新幹線の末端部分と違い、車両基地までの回送線を旅客輸送する列車は存在しない(博多南線と違って、こちらには東北本線の支線がある為)。
〔ドアが開きます〕
愛原:「忘れ物は無いな?」
高橋:「OKっス!」
リサ:「OKっス!」
愛原:「じゃ、降りるか」
列車を降りると、東京と大して変わらない熱気が私達を襲った。
愛原:「こりゃ暑いな」
高橋:「あ、でも、暑さの方向性が違いますよ、これ」
愛原:「何だよ、暑さの方向性ってw」
高橋:「確かに暑いですけど、何かカラッとした暑さじゃありません?」
愛原:「……言われてみればそうだな」
東京のようなジメッとした暑さではない。
仙台だってゲリラ豪雨くらい降るが、その頻度や降り方は東京ほどではないのだろう。
実際、梅雨が無い北海道も、最近の夏は暑いが、カラッとした暑さであるという。
これは日陰に入ったり、日が暮れれば涼しくなることを意味する。
愛原:「とはいえ、ジッとしたら熱中症になることは間違いない。さっさと移動するぞ」
高橋:「いきなり先生の御実家ですか?」
愛原:「いや、お寺さんだ。そこで両親も待ってる」
高橋:「なるほど」
リサ:「先生、お昼はー?」
高橋:「オマエ、新幹線ん中で駅弁食っただろー!?」
リサ:「あれは朝ごはんの延長だよ~!」
愛原:「墓参りが終わってからな。母さんが家で用意しているらしいから」
高橋:「ありがたいっスねぇ!」
愛原:「……そうだな」
それより私は、未だに会えない高橋の肉親達の方が気になるのだが。
[同日11:53.天候:晴 同地区内 仙台地下鉄仙台駅東西線ホーム→東西線電車先頭車内]
高架の新幹線ホームから地下深い地下鉄のホームまで向かう。
こう書くだけで、乗り換えが結構不便なことが想像できるだろうか(駅の外に出ずに乗り換えすることは可能であるが、在来線ホームを通る必要があるのと、やっぱり地下鉄ホームまで行くのが遠い)。
愛原:「Suicaが使えるのがいいな」
リサ:「Pasmoも?」
愛原:「そう」
連れて行くのは私だが、公共交通機関の運賃に関しては高橋とリサが自腹で払ってもらうことにしている。
高橋:「初乗り210円ってボッたくりじゃないスか?」
リサ:「うぇっ!?210円!?都営バスと同じ!」
愛原:「都営地下鉄やバスと同じにしてやるな。地方の鉄道は、どこも厳しいんだ」
そして、バスはもっと厳しい。
それにしても、さすがに埼玉高速鉄道は高過ぎるのではないだろうか。
〔3番線に、荒井行き電車が到着します〕
ホームにやっと辿り着くと、ちょうど電車が来るところであった。
愛原:「おっ、いいタイミング。これを逃すと、次は8分後だからな」
高橋:「急行が通過した後ですか?」
愛原:「いや、だから都営新宿線じゃねぇ」
本数が多いように見える都営地下鉄だが、優等列車が運転されている路線で、しかも各駅停車しか止まらない駅だと、高橋の言うような現象が起きることがある。
〔仙台、仙台。南北線、JR線、仙台空港アクセス線はお乗り換えです〕
4両編成の電車がやってきた。
南北線も4両編成だが、そこがフル規格の20メートル車なのに対し、東西線は都営大江戸線や大阪メトロ長堀鶴見緑地線のような小型の車両で運転されている。
それがたったの4両なのだから、もっと短く見える。
フル規格の3両編成分ではなかろうか。
高橋:「先生は座っててください」
愛原:「あ、ああ。ありがとう」
それでも仙台駅は1番乗降客数の多い駅である。
空いているブルーの座席に私だけ座らせてもらい、高橋とリサは開かないドアの前に立った。
〔3番線から、荒井行き電車が発車します。ドアが閉まります。ご注意ください〕
短い発車サイン音がホームに鳴り響くと、
〔ドアが閉まります。ご注意ください〕
という自動放送が車内でも流れ、それからホームドアと車両のドアが閉まる。
仙台地下鉄はワンマン運転となっているが、さすがにターミナル駅では運転士も運転席に座ったままではなく、席を立って直接ホーム監視を行う。
ドアが閉まると、電車は走り出した。
〔次は宮城野通、宮城野通、ユアテック本社前です〕
私はスマホを取り出すと、地下鉄に乗り換えた旨を両親にメールした。
返信はすぐにあり、了解した旨が書かれていた。
高橋:「地下鉄とBOWか……。腕が鳴りそうなシチュエーションだ」
リサ:「私がウィルスをばら撒けば、お兄ちゃんの妄想が実現するよ」
高橋:「そんで実現させたオマエと、話を持ち掛けた俺がクビになるというオチだな」
愛原:「よく分かっているじゃないか、高橋よ!」
高橋:「あざっす!つーわけでリサ、分かってんな?」
リサ:「分かってるよ。むしろ私、エブリンは見つけ次第ぶっ飛ばそうと思っているから」
高橋:「おー、分かってんじゃねーか!」
リサが大嫌いなエブリンだが、どうもBSAAでは逆に治療薬として特異菌が使えるんじゃないかって危ない報告をしているらしいぞ?
どこまで本当なんだか……。
〔♪♪(車内チャイム)♪♪。まもなく終点、仙台です。仙石線、仙山線、常磐線、仙石東北ライン、仙台空港アクセス線、仙台市営地下鉄南北線と仙台市営地下鉄東西線はお乗り換えです。お忘れ物の無いよう、お支度ください。本日もJR東日本をご利用くださいまして、ありがとうございました〕
大宮から時速320キロで走行した“はやぶさ”も、仙台駅が近づくにつれてぐんぐん速度を落としていった。
田んぼの中を走っていたかと思うと、どんどん建物が多くなり、今ではビルとビルの間を走り抜けている。
愛原:「“はやぶさ”だと、あっという間だな」
高橋:「1時間35分っスからね。マジパネェっす」
愛原:「さすがの追跡BOWも、新幹線には追い付けまい」
リサ:「うん。そうだね。でも、どんな早く遠くまで逃げても、必ず追い付くよ。だから『追跡者』にロックオンされたら、殺すまで倒さないと」
愛原:「タイラントやネメシス、時代が下ってもっと恐ろしい『追跡者』が現れているか」
リサ:「タイラント君くらいなら、私が何とかするけどね」
愛原:「東北にはいないことを願うよ」
列車はポイントを通過して、下り副線の11番線に入線した。
恐らく列車はこの後回送となり、利府の車両基地に向かうはずである。
尚、山陽新幹線の末端部分と違い、車両基地までの回送線を旅客輸送する列車は存在しない(博多南線と違って、こちらには東北本線の支線がある為)。
〔ドアが開きます〕
愛原:「忘れ物は無いな?」
高橋:「OKっス!」
リサ:「OKっス!」
愛原:「じゃ、降りるか」
列車を降りると、東京と大して変わらない熱気が私達を襲った。
愛原:「こりゃ暑いな」
高橋:「あ、でも、暑さの方向性が違いますよ、これ」
愛原:「何だよ、暑さの方向性ってw」
高橋:「確かに暑いですけど、何かカラッとした暑さじゃありません?」
愛原:「……言われてみればそうだな」
東京のようなジメッとした暑さではない。
仙台だってゲリラ豪雨くらい降るが、その頻度や降り方は東京ほどではないのだろう。
実際、梅雨が無い北海道も、最近の夏は暑いが、カラッとした暑さであるという。
これは日陰に入ったり、日が暮れれば涼しくなることを意味する。
愛原:「とはいえ、ジッとしたら熱中症になることは間違いない。さっさと移動するぞ」
高橋:「いきなり先生の御実家ですか?」
愛原:「いや、お寺さんだ。そこで両親も待ってる」
高橋:「なるほど」
リサ:「先生、お昼はー?」
高橋:「オマエ、新幹線ん中で駅弁食っただろー!?」
リサ:「あれは朝ごはんの延長だよ~!」
愛原:「墓参りが終わってからな。母さんが家で用意しているらしいから」
高橋:「ありがたいっスねぇ!」
愛原:「……そうだな」
それより私は、未だに会えない高橋の肉親達の方が気になるのだが。
[同日11:53.天候:晴 同地区内 仙台地下鉄仙台駅東西線ホーム→東西線電車先頭車内]
高架の新幹線ホームから地下深い地下鉄のホームまで向かう。
こう書くだけで、乗り換えが結構不便なことが想像できるだろうか(駅の外に出ずに乗り換えすることは可能であるが、在来線ホームを通る必要があるのと、やっぱり地下鉄ホームまで行くのが遠い)。
愛原:「Suicaが使えるのがいいな」
リサ:「Pasmoも?」
愛原:「そう」
連れて行くのは私だが、公共交通機関の運賃に関しては高橋とリサが自腹で払ってもらうことにしている。
高橋:「初乗り210円ってボッたくりじゃないスか?」
リサ:「うぇっ!?210円!?都営バスと同じ!」
愛原:「都営地下鉄やバスと同じにしてやるな。地方の鉄道は、どこも厳しいんだ」
そして、バスはもっと厳しい。
それにしても、さすがに埼玉高速鉄道は高過ぎるのではないだろうか。
〔3番線に、荒井行き電車が到着します〕
ホームにやっと辿り着くと、ちょうど電車が来るところであった。
愛原:「おっ、いいタイミング。これを逃すと、次は8分後だからな」
高橋:「急行が通過した後ですか?」
愛原:「いや、だから都営新宿線じゃねぇ」
本数が多いように見える都営地下鉄だが、優等列車が運転されている路線で、しかも各駅停車しか止まらない駅だと、高橋の言うような現象が起きることがある。
〔仙台、仙台。南北線、JR線、仙台空港アクセス線はお乗り換えです〕
4両編成の電車がやってきた。
南北線も4両編成だが、そこがフル規格の20メートル車なのに対し、東西線は都営大江戸線や大阪メトロ長堀鶴見緑地線のような小型の車両で運転されている。
それがたったの4両なのだから、もっと短く見える。
フル規格の3両編成分ではなかろうか。
高橋:「先生は座っててください」
愛原:「あ、ああ。ありがとう」
それでも仙台駅は1番乗降客数の多い駅である。
空いているブルーの座席に私だけ座らせてもらい、高橋とリサは開かないドアの前に立った。
〔3番線から、荒井行き電車が発車します。ドアが閉まります。ご注意ください〕
短い発車サイン音がホームに鳴り響くと、
〔ドアが閉まります。ご注意ください〕
という自動放送が車内でも流れ、それからホームドアと車両のドアが閉まる。
仙台地下鉄はワンマン運転となっているが、さすがにターミナル駅では運転士も運転席に座ったままではなく、席を立って直接ホーム監視を行う。
ドアが閉まると、電車は走り出した。
〔次は宮城野通、宮城野通、ユアテック本社前です〕
私はスマホを取り出すと、地下鉄に乗り換えた旨を両親にメールした。
返信はすぐにあり、了解した旨が書かれていた。
高橋:「地下鉄とBOWか……。腕が鳴りそうなシチュエーションだ」
リサ:「私がウィルスをばら撒けば、お兄ちゃんの妄想が実現するよ」
高橋:「そんで実現させたオマエと、話を持ち掛けた俺がクビになるというオチだな」
愛原:「よく分かっているじゃないか、高橋よ!」
高橋:「あざっす!つーわけでリサ、分かってんな?」
リサ:「分かってるよ。むしろ私、エブリンは見つけ次第ぶっ飛ばそうと思っているから」
高橋:「おー、分かってんじゃねーか!」
リサが大嫌いなエブリンだが、どうもBSAAでは逆に治療薬として特異菌が使えるんじゃないかって危ない報告をしているらしいぞ?
どこまで本当なんだか……。