報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「牛タンと温泉とパチンコ」

2021-08-19 20:03:48 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月23日18:30.天候:晴 宮城県仙台市宮城野区六丁の目北町 伊達の牛たん本舗]

 リサはやはりというべきか、1.5人前の牛たん定食をペロリと平らげた。

 リサ:「あー、美味しかった」
 愛原:「さようで」
 リサ:「先生はビール飲まないの?」
 愛原:「運転してくれている高橋が飲めないんだから、俺も遠慮しておくよ」
 高橋:「先生の大慈大悲に触れる時、心の底から湧き上がる大歓喜は何事にも代えられぬものであり、先生の御心を配する時、自分の不甲斐無さにいても立ってもいられぬもどかしさがこみ上げ、されば今回の大誓願を何としてでも……」
 愛原:「こらこらこら!途中で顕正会員みたいなことを言わない!」

 多摩:「よく顕正会部長の言葉覚えてるな?」
 雲羽:「『顕正会員は死ぬまで顕正会員』とはよく言ったものです。元顕のガチ勢が必死に自分の過去を否定しようと躍起になっていますがね。過去は消えないものです」
 AD:「カントク方、お静かに」

 愛原:「よし。じゃあ、食うもん食ったし、次はホテルに移動するか」
 高橋:「はい」

 私は伝票を手に取った。

 愛原:「リサの牛たん定食1.5人前が一番高い」
 高橋:「リサ、てめぇ、先生に御礼言わんかい」
 リサ:「ゴチになりましたー!」
 高橋:「俺のセリフを取るなぁ!」
 愛原:「仲いいな」

 私は苦笑してレジに向かった。

[同日18:40.天候:晴 同区福室 ホテルキャッスルイン仙台→コロナワールド仙台]

 愛原:「ここだ、ここ」
 高橋:「ここって……」
 リサ:「前にも来たことある」
 愛原:「そうだろそうだろ。前来た時、随分良かったからな。リピーターになってみた」
 高橋:「そうでしたか……」
 愛原:「言った通りだろ。高速のすぐ近くだって」

 私は高架を走る仙台東部道路を指さした。
 田園地帯では盛り土の上を通っていた仙台東部道路も、産業道路と合流すると高架線となる。

 高橋:「た、確かに」

 車を近くの駐車場に止め、荷物を降ろしてホテルに向かった。

 リサ:「おっ、七夕飾りが……」

 ロビーでは七夕飾りがされていた。

 愛原:「仙台では8月上旬に七夕祭りをやるからな、それだよ」
 リサ:「おー」
 フロント係:「いらっしゃいませ」
 愛原:「3名で予約している愛原と申しますが……」
 フロント係:「はい、愛原様でございますね」

 私がチェックインの手続きをしていると、リサがロビーにあるマンガを物色した。

 リサ:「“となりの沖田くん”置いてない?」
 愛原:「置いてない置いてない」

 鍵はカードキーだった。
 宿泊客は滞在中、施設内の大江戸温泉物語に自由に入れるという。
 これが目的のようなものだ。

 リサ:「私のカードキーで開かない?」
 愛原:「開くわけないだろう」

 そんなことを話しながら、館内着を持ってエレベーターに乗り込んだ。
 結局、リサが持っていたゴールドカードは天長会の物であることが分かった。
 天長会の信者だった白井伝三郎が、日本版リサ・トレヴァー達に持たせたのであった。
 『最も危険な12人の巫女たち』、今はリサ1人しか残っていない。

 愛原:「部屋着に着替えたら、すぐ温泉入りに行こう」
 リサ:「混浴!?」(;゚∀゚)=3ハァハァ
 愛原:「んなワケあるか!」
 リサ:「ちぇっ」

 私と高橋はツインの部屋に入った。

 高橋:「おっ、部屋から高速が見えますね」
 愛原:「だろ?トレインビューならぬ、ハイウェイビューだ」
 高橋:「いいっスね!」

 部屋着に着替える。
 その最中に、高橋が言った。

 高橋:「先生。ここに来た理由は、何も温泉だけとは限らんのでしょう?」
 愛原:「と、言うと?」
 高橋:「パチ屋もありますよね?」
 愛原:「うん、あるね」
 高橋:「確か先生、ここのパチ屋でボロ負けしましたよね?」
 愛原:「したねぇ……」
 高橋:「レッツ・リベンジですよ。ね?」
 愛原:「そのつもりだ。……まあ、明日でいいか。どうせ明日は夕方までやることないし」
 高橋:「マジっスか」
 愛原:「マジです。今日は疲れたから、温泉入ってすぐ寝ようと思う」
 高橋:「まあ、気持ちは分かります」
 愛原:「ただ、予行演習だけはしておきたいかな?」
 高橋:「え?」

[同日19:45.天候:晴 同地区内 大江戸温泉物語(仙台コロナワールド)]

 ホテルと温泉施設の間は、宿泊者専用の通路があり、そこを通って行き来ができる。
 その際、宿泊者以外が出入りしないよう、宿泊者は専用のカードキーが貸与される。
 リサが試しに天長会のゴールドカードを使用してみたが、案の定弾かれてしまった。

 リサ:「天長会の施設だったら自由に開けれるのに……」
 愛原:「当たり前だろ」

 そこでふと気づく。
 昔、探索した豪華客船“正信号”。
 船内では、リサのカードを使って開けられる箇所がいくつもあった。
 あの船、実は天長会が所有していたのではないか?
 今はもう顕正号共々爆破解体されて存在しないわけだが……。
 この温泉施設で過ごした私達だが、私が言った予行演習とは何か。
 それは温泉施設内の休憩所に設置されたゲームコーナーにあるパチンコ台である。
 パチンコ店に設置されていた機種の中古であり、実際に玉がジャラジャラ下から出て来るわけではない。
 当たるとメダルがもらえ、これを集めた枚数によって景品と交換できるというもの。
 しかし、難易度はアミューズメント仕様(パチンコ店に設置されているものと同じ仕様)に設定されている為、たかだか温泉施設のゲームコーナーのパチンコ台だからと言って当たりやすいわけではない。

 愛原:「くっ……!全然当たらねぇ!」

 魚群が動くだけで、たまにリーチが来るものの、全く当たらない。
 パチ屋と違い、こちらは1回100円なのだが、もう1000円分使ってしまった。

 愛原:「俺はマリンちゃんに会いたいだけだぁ!」
 リサ:「あァ!?」

 リサが右手だけ爪を長く鋭く伸ばした。

 愛原:「じょじょじょ、冗談だってば!爪をしまえ!」
 リサ:「私が代わりにやる」
 愛原:「誰がやっても同じだぞ」
 高橋:「そうだぞ。こんなクソ台……」

 パチ屋は18歳未満は入店禁止だが、ここでやる分には構わないだろう。

 リサ:「どうやってやるの?」
 愛原:「高橋、教えてやれ」
 高橋:「うス。まず、ハンドルは右手で……」

 機種によっては『右回り』『左回り』とかあるんだけど、特に指定されていない場合、私は『右回り』『左回り』交互にやっている。

 高橋:「そうそう。この“IN”て書いてある所に玉が入ると、画面の中の『魚群』と言って、魚の絵が右から左へ動くわけだ。そしたら……」

〔「リーチ!」〕

 高橋:「そうそう。3枚の絵のうち、2枚が揃うと『リーチ』と言って、あと1枚揃うか揃わないかの演出が……」
 愛原:「もうリーチなのかよ」

〔チャラララララーン♪〕(←通常の当たりが出た音)

 高橋:「そうそう。全部揃うと、これが当たりとなって……って、ええっ!?」
 愛原:「何いきなり当ててるんだよ!?」

〔「めんそーれ沖縄♪ちゅちゅちゅらちゅら沖海♪レッツゴー!……」〕

 その後もリサは当たらせ続け……。

〔「めでためーでたぁーの♪祭りの夜♪キミと2人きり♪ヤッショーマカショー!シャンシャンシャン!ヤッショーマカショー!シャンシャンシャン!ハイッ!!」〕

 愛原:「じゅ、16回転……」
 高橋:「俺、基本的なことしか教えてないっスよ?」

〔「桜舞う♪春の道♪裸足で駆け出す夏の海♪紅の♪秋の空♪雪降る冬の夜~♪どんぶらこ♪どんぶらこ♪寄せて~は返~す~♪波のように♪美しく♪心洗われるぅ~♪あっぱれジャパン♪春夏秋冬~♪四季の色♪染めらーれて♪幾重にも重な~る~♪帯揚げの花のよう~♪望む金色の夢~♪」〕
〔「めんそーれ沖縄♪ちゅちゅちゅらちゅら沖海♪レッツゴー!……」〕

 リサ:「レッツゴー!」
 愛原:「レッツゴー!」
 高橋:「レッツゴー!」

〔「……沖海フォーッ♪」〕

 リサ:「フォーッ!」
 高橋:「フォーッ!」
 愛原:「フォーッ!」

 幼女:「ねぇ、パパー。あの人達、何してるの?」
 トチロ~パパ:「見ちゃダメだよ」
コメント (2)
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