報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「国道13号を往く」

2021-08-16 20:58:53 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月23日14:15.天候:晴 山形県村山市 道の駅むらやま→国道13号線山形北バイパス]

 車に乗って、再び国道13号線を南下する。
 今度は国道をひたすら南下した。
 少し離れた所に東北中央自動車道が通ってはいるのだが、そこまでアクセスするのに却って遠回りであるし、山形北バイパスは高規格道路である為、大して所要時間は変わらないことが分かったからだ。

 愛原:「おっ、何か地元の走り屋さんっぽい車が行ったぞ」
 高橋:「キング・オブ・山形かもしれないっスね。俺1人だけだったら、『挨拶』でもするところですが……」
 愛原:「今回はやめてくれよ」
 高橋:「分かってますって」
 愛原:「ゴツいウイング付けてるな。あれ、絶対純正じゃないだろ?」
 高橋:「当たり前ですよ。あれはどこかで拾って来たヤツでしょう。たまにいるんですよ。イキがってゴツいウイングとか付けたがるヤツ。いやぁ~、若い若い」
 愛原:「オマエは?」
 高橋:「俺のチェイサーは、あそこまでゴツくなかったです」
 愛原:「はは、そうかそうか」
 リサ:

 そんな話をしながら南下する。
 途中、進行方向右手に山形空港が見えた。
 また、道路からは見えないが、左には自衛隊の駐屯地もある。
 まあ、だから偶然だろう。
 軍用ヘリが飛行していて、私達を上空から見張るように旋回しているのは。
 うん、あれは自衛隊のヘリじゃないな。
 多分きっと……BSAA極東支部日本地区本部のヘリ……何でじゃい!?

 愛原:「BSAAのヘリが飛んでるんだが、あれは俺達の護衛機か?」
 高橋:「さすが先生!VIP待遇っスね!」
 愛原:「むしろVIP待遇したがるのはリサの方じゃないか」
 高橋:「そうですねぇ……」

 運転席に座る高橋はルームミラー越しにリアシートに座るリサを、助手席に座る私は直接後ろを振り向いてリサを見た。

 リサ:「ゲヘヘヘ……!先生美味シソウ……!

 リサが寝惚けて第2形態まで変化してるぅ!
 直後、ピーピーピーと私のスマホから警報音が鳴り響いた。
 画面一杯に赤く『BOW接近警報』という文字が表示されていた。
 第1形態までは警報は鳴らないが、暴走の危険性が現れるようになる第2形態以降はアラームが鳴るようになっている。

 愛原:「もしかして、あのBSAAってそれで出動した!?」
 高橋:「くぉらっ!リサ、起きろ!!」

 第2形態になると、背中からも触手が生える。
 また、顔つきもより化け物じみたものになり、角も一本角から二本角へと変わる。

 リサ:「……はっ!」

 居眠りしていたリサは、私達の必死の呼び掛けに目を覚ました。

 愛原:「早く、第0形態になれ!」
 リサ:「おっ!?いつの間に?!」

 リサは急いで、まずは第1形態に戻る。
 恐ろしい鬼娘の形態ではあるが、これくらいなら私が慣れたせいか、愛らしい印象を持つこともできる。
 もちろん、人喰い鬼を模した形態なんですよ。
 それから更に、人間同然の姿である第0形態になった。
 今のリサの正体が先ほどの鬼娘であり、第2形態も第0形態も意図的に変化した姿なのである。
 人間の姿を1の1つ手前である0にしたのは、私達としてはその姿を本来の姿にすることが目的だからである。

 リサ:「これでいい?」

 すると、スマホのアラームが消えた。

 愛原:「大丈夫だ。多分」

 それでもヘリはしばらく付いて来た。
 一応念の為、しばらくは監視することにしたのだろう。

[同日14:35.天候:曇 山形県天童市 道の駅天童温泉]

 そしてどうにか無事に、3つ目の道の駅に到着することができた。
 ここは規模的には今までの中で1番大きく、設備も充実している。
 何しろ、足湯があるのだ。

 リサ:「おおっ!将棋の駒!」
 愛原:「天童市は将棋の駒の生産地で有名なんだ」
 高橋:「さすが先生、博識ですね」
 愛原:「ただの雑学だよ」

 もっとも、最初に知ったのはゲームの“桃鉄”であるということは黙ってておこう。

 愛原:「あったぞ、あそこ。足湯」
 高橋:「あれですか。じゃあ、あそこの近くに止めましょう」

 道の駅の駐車場に入ると、BSAAのヘリは去って行った。
 どうやら、安全が確保されたと判断したのだろう。
 が、どうも違うようだ。

 リサ:「先生。あそこに黒い雲」
 愛原:「なにっ!?」

 西の方の空に、どんよりとした雲がこちらに向かって来るのが分かった。

 愛原:「ありゃゲリラ豪雨の雲だ。降られる前に、さっさと入ろう。タオル忘れるなよ」
 高橋:「はい」
 リサ:「はーい」

 私達は車を降りると、早速足湯に向かった。
 足湯の名前は“駒の湯”という。
 実際、浴槽が将棋の駒の形をしていた。

 愛原:「早速入ろう」

 靴と靴下を脱いで、足湯に入る。

 愛原:「熱ゃ、いい湯だ」
 高橋:「長旅には、いいポイントですね」
 愛原:「そうか。運転してくるから、足が疲れるもんな」
 高橋:「ついで言うと、全身湯にも入りたいです」
 愛原:「任せろ。ここでは足湯だけだが、宿泊先はちゃんとした温泉に入れるように計画してある」
 高橋:「さすが先生です。……まさか、天童温泉ですか?」
 愛原:「いや、さすがに仙台からは少し遠い。国道48号線が通っているとはいえ、な」
 高橋:「そうか!確かに仙台西道路も48号線でしたね!」
 愛原:「48(ヨンパチ)は48で旅情はあるんだが、高橋としては高速をかっ飛ばしたいだろ?」
 高橋:「俺なんかの為に、サーセン……」
 愛原:「だから、宿泊先は高速の近くにしたよ」
 高橋:「さすが先生です」
 愛原:「温泉にも入れて、遊ぶ所もある。リサも遊べた方がいいだろ?」
 リサ:「もちろん!」

 そんなことを話しているうちに、どんどん空が暗くなっていった。
 そして、リサが耳を澄ませる。
 見た目は人間同然の姿をしているが、身体能力については人外同然である。

 リサ:「雷の音が聞こえる」
 愛原:「マジか。もう少しゆっくり入っていたかったが、早く出よう。ここに取り残されたら身動きが取れないぞ」
 高橋:「はい。どうします?車に戻りますか?」
 愛原:「いや、そっちの本館?に入ろう。そこならゲリラ豪雨に遭っても安全だろう」
 高橋:「はい」

 私達は足をタオルで拭くと、急いで靴下と靴を履き、土産物店やレストランが入っている建物に向かった。
 この時点で、雷鳴は私の耳にも聞こえるようになっていた。
コメント (1)
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