[7月23日22:30.天候:濃霧 宮城県仙台市宮城野区福室 コロナワールド仙台]
何故か突如として現れた、もう1人のリサ。
それはかつてリサが研究所で『制服』と称して着せられたセーラー服を着ているので、便宜上、『制服リサ』と呼ぶことにする。
一方、そんな制服リサに導かれるようにしてホテルを出た本物のリサ。
彼女は私服を着ているので、便宜上、『私服リサ』と呼ぶことにする。
そんな彼女達は、レヴェナントと呼ばれるクリーチャーを回避しながら進まなければならない。
今の私服リサには攻撃力は無いとされるが、それは誤りである。
例え1番弱い第0形態であっても、身体能力そのものは常人を超える。
但し、攻撃力が弱いだけだ。
特に、レヴェナントなるクリーチャーはリサにとっては初見の敵。
どのような攻撃をしてくるか分からない以上、回避して進むのが無難と思われた。
レヴェナントA:「ウゥ……」
レヴェナントB:「アァ……」
私服リサ:「くそっ、敵が多過ぎて進めない……!」
私服リサは駐車場に止まっている車の陰に隠れながら、コロナワールドの正面入口を目指した。
幸いレヴェナントは普段の動きは非常に遅く、また、体のパーツが不自然なほどにメチャクチャに付いているので、歩き方もぎこちない。
例えば右足と左足が逆に付いていたり、脇腹から足がもう一本生えていたり、首が斜め45度に傾いた状態で固定されていたりと個体によって体つきはバラバラだ。
共通点としては顔が変な方向を向いており、首が動かせない状態の為、彼らの視界は狭く、聴覚も並みの人間程度のものと思われ、静かに移動しながら彼らの視界に入らなければ襲って来ることは無いようだ。
また、肥満ではないのだが、体はそこそこ長身で肉付きもそれなりに良い為、車と車の間は通れないようである。
その為、リサが隠れている車と車の陰にまで入って来ることはない。
リサが舌打ちしたのは、正面入口の前にレヴェナントが3体も徘徊していたからだ。
私服リサ:「ん?」
その時、リサは車の下に何かが落ちているのが分かった。
私服リサ:「これは……?」
制服リサ:「おー、いいもの見つけたじゃない」
それは発煙筒だった。
車に積まれていたものが落ちたのだろうか。
制服リサ:「これで奴らを撒けるかもしれないよ」
私服リサ:「どうやって使うの?」
制服リサ:「そこに書いてあるでしょ」
私服リサ:「んん?」
私服リサはキャップを外して、発煙筒を焚いた。
レヴェナントA:「!?」
その時、レヴェナント達がリサ達に気づいた。
と、同時にリサはレヴェナント達に発煙筒を投げつける。
煙がモクモク噴き出し、レヴェナント達はそれに巻き込まれた。
制服リサ:「今のうちに行こう!」
私服リサ:「分かった!」
2人のリサは煙に巻かれて視界を失い、パニックになっているレヴェナント達をよそに建物の中に入った。
だが、ホールにもレヴェナントが何匹か徘徊していた。
私服リサ:「また発煙筒が落ちている」
制服リサ:「それは発炎筒だね」
私服リサ:「え???」
制服リサ:「さっきのはただ煙をモクモク出すだけの物。でもこれは、出る煙は少ないけど、炎も出す物だよ。まあ、少し大きな花火だと思えばいい」
私服リサ:「おー、花火!」
レヴェナントC:「ガァーッ!」
私服リサ:「しまった!見つかった!」
レヴェナント数匹のうち、いつの間にかリサ達に接近していた個体がリサ達の存在に気づいて追って来た。
制服リサ:「しょうがない。それを投げつけて、燃やしてやりなさい」
私服リサ:「そんなことできるの!?」
リサは発炎筒を焚いた。
確かに先ほどの発煙筒と違い、煙よりも眩い赤い炎のの方が目立つ。
私服リサ:「うりゃっ!」
私服リサは焚いた発炎筒を大股で向かって来たレヴェナントCに投げつけた。
発炎筒の炎がレヴェナントCに当たる。
レヴェナントC:「ギャアアアアッ!!」
するとレヴェナントCは、たちまち炎に包まれた。
私服リサ:「凄い!よく燃える!」
制服リサ:「ザイン島にいた奴らも火に弱かったらしいけど、ここにいる奴らも同じだったみたいだね」
私服リサ:「ザイン島?」
制服リサ:「こいつらが現れた外国の島のことだよ。ま、ここじゃ関係無いか。幸いここのレヴェナント達は耳も聞こえないのか、今の騒ぎでも他の奴らは気づいてないよ。今のうちに先に進みましょう」
私服リサ:「分かった」
リサ達はパチンコ店に入った。
パチンコ店も驚くほど静かで、やはりここもレヴェナントが何体が徘徊していた。
私服リサ:「一体、どこにいるんだろう?」
パチンコ台には電源が入っているにも関わらず、全く音声が聞こえてこない。
それどころか、店内には客も店員も誰一人いなかった。
いるのはレヴェナントくらい。
幸いパチンコ店はそんなに入り組んだ構造になっているわけではないので、捜すのは簡単だった。
私服リサ:「おかしい。先生達がいない……!」
制服リサ:「もうここにはいないのかもね」
私服リサ:「どこに行ったんだ?」
制服リサ:「知らないよ。それより、今度はテディベアを探しましょう」
私服リサ:「ここにいるの?」
制服リサ:「ここじゃなくて、隣のゲームセンターだよ。大丈夫。そっちにあのブサイク共はいないから」
私服リサ:「……?」
私服リサは制服リサの後をついて、ゲームセンターに移った。
そこにも誰もいなかったが、確かにレヴェナントもいなかった。
ゲームセンターにはクレーンゲームが何機も設置されていたが、そのうち、大型景品を扱う筐体にテディベアがあった。
制服リサ:「これだよ。あなたに会いたがっているテディベア。さあ、早いとこ取ってあげて」
私服リサ:「私、こんなのやっとことないよ」
制服リサ:「大丈夫。私の言う通りにやればいいから。まずは、このボタンを押して……」
私服リサ:「このボタン……」
私服リサは言われた通りのボタンを押した。
だが、突然彼女に強い眠気が襲う。
制服リサ:「次はこのボタンだよ。……聞いてる?」
私服リサ:「う、うん……」
制服リサ:「ほらぁ、失敗した。もう1回やり直し。もう1度このボタンを押して……」
私服リサ:「か、体が……動かない……」
ついにリサは体から力が抜けて、筐体の前に倒れ込んだ。
目の前には景品取り出し口がある。
すると、その穴からテディベアが顔を覗かせた。
制服リサがしゃがみこんで、そこからテディベアを取り出す。
制服リサ:「完全体になるのは、まだまだ先のようだね」
そこでリサは完全に意識を失ってしまった。
何故か突如として現れた、もう1人のリサ。
それはかつてリサが研究所で『制服』と称して着せられたセーラー服を着ているので、便宜上、『制服リサ』と呼ぶことにする。
一方、そんな制服リサに導かれるようにしてホテルを出た本物のリサ。
彼女は私服を着ているので、便宜上、『私服リサ』と呼ぶことにする。
そんな彼女達は、レヴェナントと呼ばれるクリーチャーを回避しながら進まなければならない。
今の私服リサには攻撃力は無いとされるが、それは誤りである。
例え1番弱い第0形態であっても、身体能力そのものは常人を超える。
但し、攻撃力が弱いだけだ。
特に、レヴェナントなるクリーチャーはリサにとっては初見の敵。
どのような攻撃をしてくるか分からない以上、回避して進むのが無難と思われた。
レヴェナントA:「ウゥ……」
レヴェナントB:「アァ……」
私服リサ:「くそっ、敵が多過ぎて進めない……!」
私服リサは駐車場に止まっている車の陰に隠れながら、コロナワールドの正面入口を目指した。
幸いレヴェナントは普段の動きは非常に遅く、また、体のパーツが不自然なほどにメチャクチャに付いているので、歩き方もぎこちない。
例えば右足と左足が逆に付いていたり、脇腹から足がもう一本生えていたり、首が斜め45度に傾いた状態で固定されていたりと個体によって体つきはバラバラだ。
共通点としては顔が変な方向を向いており、首が動かせない状態の為、彼らの視界は狭く、聴覚も並みの人間程度のものと思われ、静かに移動しながら彼らの視界に入らなければ襲って来ることは無いようだ。
また、肥満ではないのだが、体はそこそこ長身で肉付きもそれなりに良い為、車と車の間は通れないようである。
その為、リサが隠れている車と車の陰にまで入って来ることはない。
リサが舌打ちしたのは、正面入口の前にレヴェナントが3体も徘徊していたからだ。
私服リサ:「ん?」
その時、リサは車の下に何かが落ちているのが分かった。
私服リサ:「これは……?」
制服リサ:「おー、いいもの見つけたじゃない」
それは発煙筒だった。
車に積まれていたものが落ちたのだろうか。
制服リサ:「これで奴らを撒けるかもしれないよ」
私服リサ:「どうやって使うの?」
制服リサ:「そこに書いてあるでしょ」
私服リサ:「んん?」
私服リサはキャップを外して、発煙筒を焚いた。
レヴェナントA:「!?」
その時、レヴェナント達がリサ達に気づいた。
と、同時にリサはレヴェナント達に発煙筒を投げつける。
煙がモクモク噴き出し、レヴェナント達はそれに巻き込まれた。
制服リサ:「今のうちに行こう!」
私服リサ:「分かった!」
2人のリサは煙に巻かれて視界を失い、パニックになっているレヴェナント達をよそに建物の中に入った。
だが、ホールにもレヴェナントが何匹か徘徊していた。
私服リサ:「また発煙筒が落ちている」
制服リサ:「それは発炎筒だね」
私服リサ:「え???」
制服リサ:「さっきのはただ煙をモクモク出すだけの物。でもこれは、出る煙は少ないけど、炎も出す物だよ。まあ、少し大きな花火だと思えばいい」
私服リサ:「おー、花火!」
レヴェナントC:「ガァーッ!」
私服リサ:「しまった!見つかった!」
レヴェナント数匹のうち、いつの間にかリサ達に接近していた個体がリサ達の存在に気づいて追って来た。
制服リサ:「しょうがない。それを投げつけて、燃やしてやりなさい」
私服リサ:「そんなことできるの!?」
リサは発炎筒を焚いた。
確かに先ほどの発煙筒と違い、煙よりも眩い赤い炎のの方が目立つ。
私服リサ:「うりゃっ!」
私服リサは焚いた発炎筒を大股で向かって来たレヴェナントCに投げつけた。
発炎筒の炎がレヴェナントCに当たる。
レヴェナントC:「ギャアアアアッ!!」
するとレヴェナントCは、たちまち炎に包まれた。
私服リサ:「凄い!よく燃える!」
制服リサ:「ザイン島にいた奴らも火に弱かったらしいけど、ここにいる奴らも同じだったみたいだね」
私服リサ:「ザイン島?」
制服リサ:「こいつらが現れた外国の島のことだよ。ま、ここじゃ関係無いか。幸いここのレヴェナント達は耳も聞こえないのか、今の騒ぎでも他の奴らは気づいてないよ。今のうちに先に進みましょう」
私服リサ:「分かった」
リサ達はパチンコ店に入った。
パチンコ店も驚くほど静かで、やはりここもレヴェナントが何体が徘徊していた。
私服リサ:「一体、どこにいるんだろう?」
パチンコ台には電源が入っているにも関わらず、全く音声が聞こえてこない。
それどころか、店内には客も店員も誰一人いなかった。
いるのはレヴェナントくらい。
幸いパチンコ店はそんなに入り組んだ構造になっているわけではないので、捜すのは簡単だった。
私服リサ:「おかしい。先生達がいない……!」
制服リサ:「もうここにはいないのかもね」
私服リサ:「どこに行ったんだ?」
制服リサ:「知らないよ。それより、今度はテディベアを探しましょう」
私服リサ:「ここにいるの?」
制服リサ:「ここじゃなくて、隣のゲームセンターだよ。大丈夫。そっちにあのブサイク共はいないから」
私服リサ:「……?」
私服リサは制服リサの後をついて、ゲームセンターに移った。
そこにも誰もいなかったが、確かにレヴェナントもいなかった。
ゲームセンターにはクレーンゲームが何機も設置されていたが、そのうち、大型景品を扱う筐体にテディベアがあった。
制服リサ:「これだよ。あなたに会いたがっているテディベア。さあ、早いとこ取ってあげて」
私服リサ:「私、こんなのやっとことないよ」
制服リサ:「大丈夫。私の言う通りにやればいいから。まずは、このボタンを押して……」
私服リサ:「このボタン……」
私服リサは言われた通りのボタンを押した。
だが、突然彼女に強い眠気が襲う。
制服リサ:「次はこのボタンだよ。……聞いてる?」
私服リサ:「う、うん……」
制服リサ:「ほらぁ、失敗した。もう1回やり直し。もう1度このボタンを押して……」
私服リサ:「か、体が……動かない……」
ついにリサは体から力が抜けて、筐体の前に倒れ込んだ。
目の前には景品取り出し口がある。
すると、その穴からテディベアが顔を覗かせた。
制服リサがしゃがみこんで、そこからテディベアを取り出す。
制服リサ:「完全体になるのは、まだまだ先のようだね」
そこでリサは完全に意識を失ってしまった。