[7月22日09:30.天候:晴 東京都千代田区丸の内 JR東京駅構内]
夏の暑い日差しが照り付ける中、東京駅に到着した私達。
まずは在来線コンコースに入り、そこから新幹線改札口を目指していると、意外な人物達と会った。
栗原蓮華:「あれ?」
愛原:「おや?」
東京中央学園の制服に身を包んだ栗原蓮華と愛里の姉妹だった。
冬制服だとブレザーの型で高等部か中等部かが分かるのだが、夏服だと分からない。
一応、胸ポケットのワッペンのデザインで区別できるようになっているようだが。
姉の蓮華さんは学園盛夏服として取り入れられているポロシャツを着ていた。
蓮華:「愛原先生」
愛原:「はは、よう。偶然だな」
蓮華:「そうですね」
蓮華さんは身長170cmくらいあるので、私よりも高い。
もっとも、180cmある高橋よりは低いが。
リサ:「栗原先輩、こんにちは。この前の七不思議、ありがとうございました」
蓮華:「あれは……ちょっと想定外だったねぇ……」
愛原:「本当にあった話なのか?」
蓮華:「本当ですよ。太田君の首と胴体が切り離された死体が隅田川に浮かんでたってニュース、見たじゃないですか。しかも何故かポケットに、神田先輩を殺した旨の遺書まで入ってたとか……」
愛原:「キミ達の高校はどうなってるんだい?」
蓮華:「ミステリー・ハイスクールですよ。中等部でも小さな怪奇現象はあるみたいですが、高校はその何倍以上もの規模です。そんな所に妹を通わせて大丈夫なのかという不安はあるのですが」
リサ:「私みたいなヤツに、一口で食われてしまうかもね?」
愛里:「ひぃっ?!」
愛原:「リサ、やめなさい」
蓮華:「笑いごとじゃなく、実際にそういう化け物の目撃情報が昔あったのも事実です。多分犯人は、先生達が追っているアンブレラの関係者でしょうが」
愛原:「白井か……」
蓮華:「それより先生達はこれからどちらへ?」
愛原:「実家の仙台に帰省さ。まだ墓参りをしていなかったものでね。本当はお盆にやりたかったんだが、オリンピック期間中は感染爆発してそれどころじゃないって噂だから、今のうちにと思ってね」
蓮華:「そうでしたか。奇遇ですね。私達もです」
愛原:「キミ達も仙台なの?」
蓮華:「いえ、私達は大石寺です。感染爆発したら、なかなか御登山も難しくなると思うので」
リサ:「なるほど。すると、キミ達は東海道新幹線か」
蓮華:「そうです」
本所吾妻橋から浅草駅までは歩いて行き、そこから地下鉄銀座線で神田駅まで移動した後、山手線に乗り換えてここまで来たらしい。
蓮華:「もっとも、今日は親戚の家に前泊して、御開扉は明日ですけどね」
愛原:「そうか。キミ達も泊まり掛けか。向こうも暑いだろうけど、気をつけて」
蓮華:「先生達も。仙台も30度を超えるそうですから」
愛原:「ああ、そうだな」
私達は緑色の改札口へ向かい、栗原姉妹は青い改札口へ向かった。
高橋:「先生。あの姉貴、カチコミに行くみたいな感じでしたね」
愛原:「ああ、刀か。ちゃんと袋に入れているし、特別な許可があるというから大丈夫なんだろう」
高橋:「あの姉貴が乗っている新幹線でテロリストが現れても、何だか一刀両断で終わらせそうですね」
愛原:「テロリスト?」
高橋:「イスラムの自爆テロじゃなく、ナイフ振り回したり、焼身自殺のことですよ」
愛原:「ああ、あれか」
高橋:「あれはもうテロです、テロ」
愛原:「まあ、そうだな」
そんなことを話しながら、私達は新幹線コンコースに入る。
旧国鉄時代は東北新幹線も東海道新幹線も、同じコンコースだったのかもしれない。
しかしJRで分けられた今となっては、コンコースも別々になっている。
リサ:「先生、それより駅弁、駅弁!」
愛原:「そうだったな。それじゃ、ホームに上がろう」
私の偏見だろうか。
それとも、入った改札口にもよるのだろうが、あまり東北新幹線などのコンコースで駅弁を売っているイメージは無い。
在来線や東海道新幹線のコンコースなら売っているが(しかも東海道新幹線は、ホームでも売っている)。
その代わり、東北新幹線ではホームで売っているイメージである。
エスカレーターに乗って、ホームへ上がる。
高橋:「先生、これは1番端の車両ですか?」
高橋がキップを見て言った。
愛原:「そうだ。BSAAとの取り決めじゃ、仕方無いだろう」
私達が乗車する車両は1号車。
下りだと最後尾である。
リサが列車に乗る場合、基本的には先頭車か最後尾に乗らなくてはならないことになっている。
これは仮にリサが車内で暴走した場合、BSAAが外から攻撃する時に目標を定めやすくする為だ。
もしどうしても中間車に乗らなくてはならない場合は、事前に善場主任を通してBSAAに申告しなければならない。
善場主任の所属するNPO法人デイライトは、日本国内におけるBSAAの窓口になっている(自衛隊や在日米軍ではない。BSAAはそれらの軍隊とは完全に独立している)。
愛原:「それに、お前にとっては1号車で良いこともあるぞ?」
高橋:「えっ、何スか?」
愛原:「喫煙所に1番近い車両」
高橋:「マジっスか」
愛原:「今のうちに吸い溜めしておけ。東北新幹線は、東海道新幹線と違って車内で喫煙できないから」
高橋:「あざっス!」
JR東日本の新幹線ホームには喫煙所が2ヶ所ずつあるのに対し、東海道新幹線ホームは1ヶ所ずつしか無い。
多分これは、車内喫煙が可能か否かというのもあるのだろう。
斉藤絵恋:「リサさん!」
リサ:「サイトー!?」
ホームに上がると、また意外な人物達と会った。
斉藤秀樹:「これはこれは愛原さん。奇遇ですな」
愛原:「斉藤社長、これから御旅行ですか?」
秀樹:「ええ。那須の別荘です。これくらいなら、この連休でも行けると思いまして」
愛原:「そうですか。いいですなぁ……」
秀樹:「本当は愛原さん達もお誘いしたかったのですが、何ぶんこの感染状況ですので……」
愛原:「当然ですよ。親子水入らずですね」
秀樹:「愛原さん達は、確かお墓参りでしたな?」
愛原:「そうです。ここ何年も行ってなかったので」
秀樹:「賢明な判断です。恐らくお盆期間中は……無理になるかと」
愛原:「やはりそうですか」
秀樹:「もっとも、BOWリサ・トレヴァーを手懐けている愛原さんは新型コロナウィルスも手懐けそうですが」
愛原:「ご、御冗談を!」
リサ:「さすがはサイトーのお父さん。分かってる」
絵恋:「そりゃそうでしょ?日本一の製薬会社の社長ですもの!」
リサ:「ふーん……」
絵恋:「な、なに?」
リサ:「別に」
愛原:「私達は“はやぶさ”15号に乗ります。社長方は?」
秀樹:「私達はその次の“やまびこ”207号ですな。那須塩原で降りますので」
愛原:「那須の別荘ですと、そうなりますよね。でも、東京駅から乗られるなんて珍しいですね?」
秀樹:「仕事の関係で、昨日は帰りが遅くなりましてね。昨夜は都内のホテルに泊まりました。で、今朝娘と一緒に出発ですよ。娘は娘で、都内のマンションに泊まりましたから」
絵恋:「リサさんと東京駅で会える気がしたの!どう?私の愛の力?」
リサ:「ん?呪いの力?」
絵恋:「愛!あ・い!」
リサ:「分かった分かった」
絵恋:「ねえ、お父さん!リサさん達の方が先に出発するんですって。お見送りしていいでしょ?」
秀樹:「いいだろう。乗り遅れるなよ?」
絵恋:「分かってるよ。リサさんは何号車?」
リサ:「1号車。1番後ろ」
高橋:「先生、俺はタバコ吸ってきます」
愛原:「ああ、行ってこい。社長、私が見ておきますから」
秀樹:「ああ、すいませんね。報酬は後でお支払いします」
愛原:「あ、いや、こんなのサービスでいいですよ」
リサ:「駅弁買うー」
絵恋:「売店あっちにあったよー!」
愛原:「あ、こら、待ちなさい」
全く、子供は落ち着きが無いな。
夏の暑い日差しが照り付ける中、東京駅に到着した私達。
まずは在来線コンコースに入り、そこから新幹線改札口を目指していると、意外な人物達と会った。
栗原蓮華:「あれ?」
愛原:「おや?」
東京中央学園の制服に身を包んだ栗原蓮華と愛里の姉妹だった。
冬制服だとブレザーの型で高等部か中等部かが分かるのだが、夏服だと分からない。
一応、胸ポケットのワッペンのデザインで区別できるようになっているようだが。
姉の蓮華さんは学園盛夏服として取り入れられているポロシャツを着ていた。
蓮華:「愛原先生」
愛原:「はは、よう。偶然だな」
蓮華:「そうですね」
蓮華さんは身長170cmくらいあるので、私よりも高い。
もっとも、180cmある高橋よりは低いが。
リサ:「栗原先輩、こんにちは。この前の七不思議、ありがとうございました」
蓮華:「あれは……ちょっと想定外だったねぇ……」
愛原:「本当にあった話なのか?」
蓮華:「本当ですよ。太田君の首と胴体が切り離された死体が隅田川に浮かんでたってニュース、見たじゃないですか。しかも何故かポケットに、神田先輩を殺した旨の遺書まで入ってたとか……」
愛原:「キミ達の高校はどうなってるんだい?」
蓮華:「ミステリー・ハイスクールですよ。中等部でも小さな怪奇現象はあるみたいですが、高校はその何倍以上もの規模です。そんな所に妹を通わせて大丈夫なのかという不安はあるのですが」
リサ:「私みたいなヤツに、一口で食われてしまうかもね?」
愛里:「ひぃっ?!」
愛原:「リサ、やめなさい」
蓮華:「笑いごとじゃなく、実際にそういう化け物の目撃情報が昔あったのも事実です。多分犯人は、先生達が追っているアンブレラの関係者でしょうが」
愛原:「白井か……」
蓮華:「それより先生達はこれからどちらへ?」
愛原:「実家の仙台に帰省さ。まだ墓参りをしていなかったものでね。本当はお盆にやりたかったんだが、オリンピック期間中は感染爆発してそれどころじゃないって噂だから、今のうちにと思ってね」
蓮華:「そうでしたか。奇遇ですね。私達もです」
愛原:「キミ達も仙台なの?」
蓮華:「いえ、私達は大石寺です。感染爆発したら、なかなか御登山も難しくなると思うので」
リサ:「なるほど。すると、キミ達は東海道新幹線か」
蓮華:「そうです」
本所吾妻橋から浅草駅までは歩いて行き、そこから地下鉄銀座線で神田駅まで移動した後、山手線に乗り換えてここまで来たらしい。
蓮華:「もっとも、今日は親戚の家に前泊して、御開扉は明日ですけどね」
愛原:「そうか。キミ達も泊まり掛けか。向こうも暑いだろうけど、気をつけて」
蓮華:「先生達も。仙台も30度を超えるそうですから」
愛原:「ああ、そうだな」
私達は緑色の改札口へ向かい、栗原姉妹は青い改札口へ向かった。
高橋:「先生。あの姉貴、カチコミに行くみたいな感じでしたね」
愛原:「ああ、刀か。ちゃんと袋に入れているし、特別な許可があるというから大丈夫なんだろう」
高橋:「あの姉貴が乗っている新幹線でテロリストが現れても、何だか一刀両断で終わらせそうですね」
愛原:「テロリスト?」
高橋:「イスラムの自爆テロじゃなく、ナイフ振り回したり、焼身自殺のことですよ」
愛原:「ああ、あれか」
高橋:「あれはもうテロです、テロ」
愛原:「まあ、そうだな」
そんなことを話しながら、私達は新幹線コンコースに入る。
旧国鉄時代は東北新幹線も東海道新幹線も、同じコンコースだったのかもしれない。
しかしJRで分けられた今となっては、コンコースも別々になっている。
リサ:「先生、それより駅弁、駅弁!」
愛原:「そうだったな。それじゃ、ホームに上がろう」
私の偏見だろうか。
それとも、入った改札口にもよるのだろうが、あまり東北新幹線などのコンコースで駅弁を売っているイメージは無い。
在来線や東海道新幹線のコンコースなら売っているが(しかも東海道新幹線は、ホームでも売っている)。
その代わり、東北新幹線ではホームで売っているイメージである。
エスカレーターに乗って、ホームへ上がる。
高橋:「先生、これは1番端の車両ですか?」
高橋がキップを見て言った。
愛原:「そうだ。BSAAとの取り決めじゃ、仕方無いだろう」
私達が乗車する車両は1号車。
下りだと最後尾である。
リサが列車に乗る場合、基本的には先頭車か最後尾に乗らなくてはならないことになっている。
これは仮にリサが車内で暴走した場合、BSAAが外から攻撃する時に目標を定めやすくする為だ。
もしどうしても中間車に乗らなくてはならない場合は、事前に善場主任を通してBSAAに申告しなければならない。
善場主任の所属するNPO法人デイライトは、日本国内におけるBSAAの窓口になっている(自衛隊や在日米軍ではない。BSAAはそれらの軍隊とは完全に独立している)。
愛原:「それに、お前にとっては1号車で良いこともあるぞ?」
高橋:「えっ、何スか?」
愛原:「喫煙所に1番近い車両」
高橋:「マジっスか」
愛原:「今のうちに吸い溜めしておけ。東北新幹線は、東海道新幹線と違って車内で喫煙できないから」
高橋:「あざっス!」
JR東日本の新幹線ホームには喫煙所が2ヶ所ずつあるのに対し、東海道新幹線ホームは1ヶ所ずつしか無い。
多分これは、車内喫煙が可能か否かというのもあるのだろう。
斉藤絵恋:「リサさん!」
リサ:「サイトー!?」
ホームに上がると、また意外な人物達と会った。
斉藤秀樹:「これはこれは愛原さん。奇遇ですな」
愛原:「斉藤社長、これから御旅行ですか?」
秀樹:「ええ。那須の別荘です。これくらいなら、この連休でも行けると思いまして」
愛原:「そうですか。いいですなぁ……」
秀樹:「本当は愛原さん達もお誘いしたかったのですが、何ぶんこの感染状況ですので……」
愛原:「当然ですよ。親子水入らずですね」
秀樹:「愛原さん達は、確かお墓参りでしたな?」
愛原:「そうです。ここ何年も行ってなかったので」
秀樹:「賢明な判断です。恐らくお盆期間中は……無理になるかと」
愛原:「やはりそうですか」
秀樹:「もっとも、BOWリサ・トレヴァーを手懐けている愛原さんは新型コロナウィルスも手懐けそうですが」
愛原:「ご、御冗談を!」
リサ:「さすがはサイトーのお父さん。分かってる」
絵恋:「そりゃそうでしょ?日本一の製薬会社の社長ですもの!」
リサ:「ふーん……」
絵恋:「な、なに?」
リサ:「別に」
愛原:「私達は“はやぶさ”15号に乗ります。社長方は?」
秀樹:「私達はその次の“やまびこ”207号ですな。那須塩原で降りますので」
愛原:「那須の別荘ですと、そうなりますよね。でも、東京駅から乗られるなんて珍しいですね?」
秀樹:「仕事の関係で、昨日は帰りが遅くなりましてね。昨夜は都内のホテルに泊まりました。で、今朝娘と一緒に出発ですよ。娘は娘で、都内のマンションに泊まりましたから」
絵恋:「リサさんと東京駅で会える気がしたの!どう?私の愛の力?」
リサ:「ん?呪いの力?」
絵恋:「愛!あ・い!」
リサ:「分かった分かった」
絵恋:「ねえ、お父さん!リサさん達の方が先に出発するんですって。お見送りしていいでしょ?」
秀樹:「いいだろう。乗り遅れるなよ?」
絵恋:「分かってるよ。リサさんは何号車?」
リサ:「1号車。1番後ろ」
高橋:「先生、俺はタバコ吸ってきます」
愛原:「ああ、行ってこい。社長、私が見ておきますから」
秀樹:「ああ、すいませんね。報酬は後でお支払いします」
愛原:「あ、いや、こんなのサービスでいいですよ」
リサ:「駅弁買うー」
絵恋:「売店あっちにあったよー!」
愛原:「あ、こら、待ちなさい」
全く、子供は落ち着きが無いな。