報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「今日の探偵物語はお休みです」

2021-08-03 19:45:34 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月21日18:00.天候:雨 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]

 リサ:「あー、雨だー。雷だー」

 私の名前は愛原学。
 都内で小さな探偵事務所を経営している。
 今は仕事を終えて事務所を閉め、マンションに戻って来ている。
 リサがリビングの窓を開けて、空を眺めた。

 愛原:「ゲリラ豪雨だな。今のところまだ台風は発生していないから、当面はゲリラ豪雨に注意ってところか」

 私は窓を閉めた。
 と、風がビュウビュウ吹いて、雨粒が窓に当たって来る。

 愛原:「ホラー展開に打ってつけの天候だな」

 するとリサ、何を思ったか、リビングの電気を消して、そして自分のスマホを取り出した。
 そこに入っている音楽から、ホラーの曲を流す。

 https://www.youtube.com/watch?v=BayW7aXI0zI(著作権フリー音楽“終焉の始まり”、転じて当作品内においては“愛原リサのテーマ”)

 愛原:「今、故意にホラー展開しなくていいんだぞ」

 私はそう言うと、電気を点けた。

 リサ:「これで私のキャラソン作って」
 愛原:「俺に言うな。原作者に言え」

 雲羽(←原作者):「俺に言うな。アニメ製作委員会に言え」
 多摩(←監修者):「アニメ化以前に、商業化されるわけねーだろ」

 と、そこへ……。

 高橋:「ただいま帰りました!」

 高橋がピザの入った箱を手に帰って来た。
 今日の夕食はピザ。
 宅配ではなく、持ち帰りで高橋に買いに行かせた。
 持ち帰り限定で、『平日限定!2枚目はタダ』というキャンペーンが行われており、それに乗った形だ。

 愛原:「おー、お帰り。雨に当たらなかったか?」
 高橋:「マジギリでした!エレベーターに乗り込む瞬間、降って来たっス!」

 もちろんエレベーターに乗った時点ではなく、マンションの中に入った時点で勝ったも同然なのだが、どうしてもバイオハザードを潜り抜けていると、エレベーターのドアが閉まり切って安全という感覚が染み付いている。
 もっとも、リサくらいの上級BOW相手になると、エレベーターで振り切ったと思っても先回りしていたり、壁やら天井ブチ破って追い掛けたりしてくるので、全く安心はできない。

 愛原:「それは良かったな」
 リサ:「早く食べよ!早く食べよ!」

 リサは台所から紙の皿を持って来た。

 愛原:「慌てなさんなって」

 Lサイズのピザが3枚だから、相当な量だ。
 それでもリサは、Lサイズのピザをまるまる1枚分ペロリと平らげるくらいの食欲はある。
 1枚は半額クーポンで半額で買い、もう1枚は定価だが、オマケで買った1枚がタダだ。
 それらのうち、最低1枚はリサがまるっと平らげることになる。

 リサ:「ミートピザはどれ!?……これだッ!」

 リサは匂いで嗅ぎ当てた。

 高橋:「犬か、オマエは!」
 リサ:「BOWです!」
 高橋:「先生の御注文は、マルゲリータでいいんスか?」
 愛原:「いいよ。これくらいが食べやすい」
 リサ:「マルゲリータだと肉入ってないから、物足りないんだよね」
 高橋:「俺も……昼飯として食う分にはいいんスけどね」
 愛原:「オマエらは若いから当然だよ」

 明日の朝から出かけるので、なるべく後で片付けを必要としないよう、今夜はこういう形の夕食にしている。
 明日の朝食も簡易的なものになる予定だ。

 愛原:「で、俺はビールに合うものであればいいわけだ」

 サイドメニューでフライドボテトや唐揚げも高橋は買って来た。
 これらがビールに合うのである。

 高橋:「今回の帰省は随分とスタンダードなスタートですね」
 愛原:「東京駅まで都営バスで行って、そこから新幹線ってか?まあ、そうだな」
 高橋:「御実家に泊まれないのが残念ですね」
 愛原:「ただでさえ首都圏はコロナが蔓延しているのに、両親をその危機に晒すわけにはいかない。それに何より、うちにはリサ・トレヴァーという生物兵器もいる」
 高橋:「確かにそうっスね」
 リサ:「? 私がどうかした?」
 愛原:「いいから、お前はミートピザ食ってろ。食材の肉はいくら食べてもいいが、人肉は絶対ダメだぞー?」
 リサ:「分かってるよ」

 私達は既にTウィルスなどの抗体ができあがっており、今更Tウィルス保有者のリサに移されても感染しない。
 また、同じく保有しているGウィルスに至っては、リサが胚を直接対象者に植え付けて感染させるタイプなので、それも心配無い。

 リサ:「ねーねー、お兄ちゃん。明日の朝ごはんはなに?」
 高橋:「オマエ、夕飯食いながら朝飯聞くなよ。……これから作るけど、明日はお握りとかだよ」
 リサ:「それだけか……」
 愛原:「まあ、そう言うな。ほら、東京駅で駅弁買ってやるから」
 リサ:「ほんと!?」
 愛原:「ほんとほんと」
 リサ:「それならいい!」

 現金なヤツだ。
 だが、そこがまだかわいいところでもある。

[同日22:00.天候:晴 愛原のマンション]

 ゲリラ豪雨は1時間ほど降った。
 その後は晴れて、今ではウソみたいに、空には月が見えている。
 リサが風呂に入っている間、私はリビングで高橋と話した。

 高橋:「表向きは先生の帰省ですけど、実際は善場の姉ちゃんの依頼とは……」
 愛原:「実際は白井の足取りを追うという依頼がある。白井が東北に潜伏しているという情報があるからな」
 高橋:「この前秋田に行ったり、栃木に行ったりしましたけど、結局ダメでしたね」
 愛原:「だけど、善場さん達からしても関東に戻って来た足取りを掴めていないんだ。となると、そう見たくなる気持ちも分かるよ」
 高橋:「『4番』と戦った仙台の廃校とかですか?」
 愛原:「そういう所も、候補としてはあるかもな。だけど、今はもうあの廃校舎は無いらしいぞ。『4番』がメチャクチャに壊したせいで」
 高橋:「でしょうね。ゴジラ並みの最終形態に変化してましたもんね!」
 愛原:「とにかく俺達は、『ついでにちょっと遊びに行く』のを装えばいい。那須の時みたいに、リサの姿を見て、他のBOWが寄って来ることだってあるわけだからな」
 高橋:「むしろ、そっちが目的って感じもしますね」
 愛原:「まあな。日本アンブレラを含んで、各地にBOWが潜んでいるらしいから、それを掃討するのもBSAAの仕事だからさ」
 高橋:「遊びながらその手伝いってのも、なかなかいいポジションっスね」
 愛原:「まあな」

 もっとも、リサがいるからできることだ。
 もしリサがいなかった、完全に人柱ってことだからな。

 リサ:「先生、上がったよー」

 そこへリサが白いTシャツと黒い短パン姿でやってきた。

 愛原:「よし。明日は始発の都営バスで東京駅に行くからな?夜更かしするなよ」
 リサ:「りょ!宿題やってから寝るー」
 愛原:「そうしてくれ」

 私も明日に備えて、今夜は早めに寝ることにした。
コメント (1)
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