報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
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 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「滞在最終日」

2021-08-28 20:51:37 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月24日23:00.天候:雨 宮城県仙台市青葉区 スーパーホテル仙台・広瀬通り]

 愛原:「さーて、夜も遅くなってきたし、そろそろ寝るとするか。今日も疲れたし」

 風呂上がり、私は部屋に戻って高橋やリサと晩酌していた。
 もちろん、リサはジュースであるが。

 リサ:「…………」

 リサのヤツ、一番先に船を漕いでやがる。

 高橋:「おう、リサ。そこは先生のベッドだ。そこで寝るんじゃねぇ」
 リサ:「クー……スー……

 リサが一番運動して食べたのだから、眠くなりやすいと言えば当然だ。
 それに、私の前では時折マセるが、まだ15歳の子供だ。

 愛原:「どれ、俺がお姫様抱っこで連れて行ってやるか」
 リサ:(^_-)

 その時、私はリサが一瞬片目だけ開けたのを見逃さなかった。
 ははぁ、こいつワザと私のベッドで寝る為に寝たふりしていたな。
 あわよくば、私にお姫様抱っこされるので反応したのだろう。
 ならば……。

 愛原:「高橋、高橋」

 私は小声で高橋を呼び寄せた。

 高橋:「はい?」
 愛原:「リサも寝ちゃったことだし、2人でこっそり『仙台駅限定!激甘ずんだケーキ』でも食おうか?」
 高橋:「え?そんなのいつの間に買ったんスか?さすが先生っス」
 リサ:「ケーキ?!私も食べたい!」

 リサは慌てて飛び起きた。

 リサ:「あ……!」
 愛原:「やっぱり……」
 高橋:「ほお……!」

 その後、高橋に頭を拳でグリグリ攻撃されるリサ。

 高橋:「テメェは先生を騙そうとしやがって!あぁ!?」
 リサ:「ごめんなさーい!」
 愛原:「まあまあ、高橋。この辺にしといてやれ」
 高橋:「はあ、先生がそう仰るのでしたら……」

 高橋は素直に手を離した。

 リサ:「先生!早くケーキ!」
 愛原:「冗談だよ。あるわけねーだろ」
 リサ:「ええ~っ!」orz
 高橋:「へっ、まだガキのくせに先生を騙そうとした罰だ!」
 リサ:「しくしくしくしく……

 あーあ、泣いちゃった……。

 高橋:「ウソ泣きやめろ。先生は騙せても俺は騙せねーぞ」
 愛原:「さすが女殺しのイケメン……って、おい!」
 高橋:「あっ……!」

 今度は私が高橋をグリグリ攻撃。

 愛原:「騙されやすいくらい非モテで悪かったなぁーっ!!」
 高橋:「サーセン!い、いや、すいません!」
 リサ:「ちっ……」(←本当にウソ泣きだった)
 愛原:「さっさと歯磨きして寝ろ、オマエら!」
 高橋:「はいはいーっ!」
 リサ:「おやすみなさー!」

 高橋はバスルームに駆け込み、リサは隣の部屋に戻った。
 リサの部屋とは、室内の扉で繋がっている。
 私がこちら側からドアを閉めようとすると……。

 リサ:「ヤダ!閉めないで!」
 愛原:「いいのか?」
 リサ:「1人ぼっちは嫌なの!」
 愛原:「しかし、家では1人で寝てるじゃないか」
 リサ:「あれはマンションの部屋自体が私にとっては1つの部屋みたいものだし、先生が1人で寝ろって言うから……」

 ということは、ここで私が『ここでも1人で寝ろ』と命令すれば聞くのだろう。

 愛原:「マンションの自分の部屋は気に入らないか?」
 リサ:「素敵な部屋だよ。研究所みたいな地下牢でもなければ、殺風景な倉庫みたいな部屋でもないし……」

 旧アンブレラの連中、日本版リサ・トレヴァー達にどんな生活させてたのやら……。
 アメリカのオリジナルも、洋館の敷地内の掘っ立て小屋で寝泊まりしていたらしいが……。

 リサ:「生き延びれたリサ・トレヴァーの特権なんだって思うよ」
 愛原:「人喰い生物兵器でありながら、1人も人喰いをしなかった御褒美でもある」

 日本版リサ・トレヴァーの用途には単なる実験体の他、『体内に有するゾンビウィルスを散布する』というのもあることが分かっている。
 だが、人の姿のままでは効率が悪いと判断されたのか、実用化はされていない(結局はゾンビのように噛み付いたり、触手を通して流し込んだり、排泄物に混ぜる程度)。
 ゾンビウィルスを撒き散らす者として、2013年にアメリカや香港で発生したバイオテロで使用されたBOWの出現まで待つことになる。
 ウィルスの散布に特化したBOWの為、辛うじて2足歩行であるだけで、外見は醜悪な物となっている。

 愛原:「分かった。じゃあ、ドアは開けておくよ」
 リサ:「ありがとう」
 愛原:「寝惚けて襲いに来ないように」
 リサ:「分かった。先生は私を襲いに来ていいからね?」
 愛原:「え?」

 バンッ!(バスルームのドアが思いっ切り開けられる音)

 高橋:「くぉらっ!」
 リサ:「ちぇっ。私は本当にいいのに……」
 愛原:「命がいくつあっても足りないような気がするなぁ……」
 高橋:「先生、ガチで騙されちゃダメですよ?リサのヤツ、絶対小悪魔どころか、大人になったら、とんでもない悪女になりそうです」
 愛原:「そうなのか。そうなる前に、ちゃんと躾とかしなきゃダメかなぁ……」
 高橋:「そうですよ」
 リサ:「躾けして!」

 リサは自分の部屋から鞭と蝋燭を持って来た。

 リサ:「これで……これで私を引っ叩いて!そしたらわたし、きっとイイコに……」(;゚∀゚)=3ハァハァ
 愛原:「これ、AV業界では『躾』じゃなく、『調教』っていうんだよね」
 高橋:「てか、鞭と蝋燭どっから持って来やがった!?」
 愛原:「よくこんなの知ってるな。どこで覚えた?」
 リサ:「日本アンブレラの研究所」

 リサが人間からBOWに改造された時、彼女はまだ小学生くらいだったはずだ。
 そんな幼女に何しやがったんだ、旧アンブレラの連中は……。

 高橋:「先生。やっぱリサは別の意味でも化けモンですよ」
 愛原:「リサを預かった時点で、そんなのは想定内だ。とにかく、歯磨きは終わったのか?」
 高橋:「俺は終わりました」
 リサ:「私はまだ」
 愛原:「俺も歯磨きするから、リサも早く歯磨きして寝ろ」
 リサ:「はーい」

 何だか急に賑やかな夜になってしまった。
 いつの間にか雨足は静かになっていたので、何とかゲリラ豪雨はやり過ごせたようである。
コメント
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