[7月24日10:00.天候:晴 宮城県仙台市宮城野区福室 コロナワールド仙台]
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
ホテルをチェックアウトした私達は、再び隣接するコロナワールドヘと足を運んだ。
正面入口はまだ封鎖されていたので、別の入口からアクセスする。
そして、その中にあるゲームセンターへ向かった。
愛原:「この筐体だが、間違いないか?」
リサ:「うん、間違いない……」
リサの夢に出て来たテディベアを扱うクレーンゲームの筐体である。
実際、私は昨夜、高橋とこのゲームをやった。
私の結果は散々なものだったが、高橋はものの見事にゲットした。
愛原:「やってみるなら、お金入れるぞ?」
リサ:「うん。ありがとう」
私は500円硬貨を入れた。
これなら6回操作できる。
リサ:「まずはこのボタンを押して……」
高橋:「おっ?」
リサ:「次にこのボタンを押す……」
1回ではなかなか取らせてもらえないが、それでもリサは初心者にしては珍しく、いい所に景品を持って行った。
リサ:「夢の中に出て来た、もう1人の私が教えてくれたの」
とはいうものの、やはりそこは初心者。
6回やっても取れなかった。
リサ:「まあ、そうだよね。夢の中では私が倒れた時、下から顔を覗かせてた……」
リサがしゃがみ込んで景品取り出し口を覗く。
私や高橋もつられて取り出し口を覗いた。
その時、ガタンという音がしたかと思うと、そこからテディベアが顔を覗かせた。
リサ:「え?」
愛原:「え?」
高橋:「え?」
今度は一斉にケースの中を覗く。
他のテディベアと一緒にケースの中で転がっていた1つが無くなっていた。
つまり、景品取り出し口に落ちて来たのだ。
リサ:「え……と?」
愛原:「何で落ちて来たんだ?そんなギリギリまで行ってたっけ?」
高橋:「えっと……」
私は景品取り出し口からテディベアを取り出した。
確かに、ケースの中に入っていた物と同じ物だった。
何らかの拍子に穴に入ってしまったのだろうか?
リサはいい所までクレーンで連れて行ったものの、ギリギリの所まで運んだわけではない。
まるで、テディベアが自らの意思で穴に飛び込んだかのようだ。
愛原:「何か仕掛けが……?」
しかし、外見上は特に不審な点は見当たらない。
やはり、何かの拍子に穴に入ってしまったのだろうか。
愛原:「まあいい。持って帰ろう。高橋、袋持って来てくれ」
高橋:「分かりました」
高橋はテディベアを入れる袋を取りに行った。
愛原:「2つともゲットしちゃったな」
リサ:「これはサイトーへのお土産にしよう」
愛原:「なるほど」
リサ:「私が取ったものだと言えば、喜んで受け取るはず」
愛原:「……確かにな。なあ、リサ。もしかしたら、オマエがやったから今の不可思議現象が起きたのかもしれない。もう1度やってみないか?」
リサ:「分かった」
私はもう1度、500円玉を入れてリサにやらせてみた。
リサは夢の中のもう1人のリサに教わった通りにやるのだが、やはりある程度上手くはできるものの、やはり6回では普通に取れない。
そしてさっきと同じように、景品取り出し口を覗かせた。
今度は私達はケースの方を見ている。
しかし、ケースの中のテディベアは動くことはなかったし、取り出し口に実はあったなんてこともなかった。
更に今度は高橋にやらせてみた。
景品の位置は店員に頼んで元の位置に戻してもらい、そこからやらせてみた。
ゲームの上手い高橋でさえも、毎回必ず取れるというわけではない。
前回はたまたま取れたのだろう。
それさえ、6回目でギリギリ取れたようなものだった。
で、今回は取れなかった。
それでも一応、景品取り出し口とケースを同時に見た。
やはり、不可思議現象は起こらなかった。
愛原:「……やっぱり、ただの偶然か……。偶然、何かの拍子に景品が穴の中に落ちたんだろうな」
高橋:「そ、そうですね……」
腑に落ちないものであったが、私達はそう考えることにした。
何だか私達も、リサの夢の中に取り込まれているような気がしてしまった。
愛原:「よ、よし。それじゃあ、ここを離れることにしよう。車を返しに行かないと」
高橋:「そ、そうですね」
再び別の出入口から外に出て駐車場に回り、私達は車に乗った。
[同日10:45.天候:晴 仙台市宮城野区榴岡2丁目 ENEOS]
車を返す前に、近くのガソリンスタンドに寄ってガソリンを満タンに入れる。
セルフスタンドではなく、店員が給油してくれるフルサービスの店であった。
リサ:「先生、車返した後はどうする?時間余るでしょ?」
愛原:「そうだな。まあ、どこかに遊びに行こうかとは思ってる」
リサ:「先生の御実家でゆっくりされるという手もありますよ?」
愛原:「どうせ夕方、食事会やるからな。今はコロナ禍だし、今回みたいな調査でも無ければ、本来は家で自粛しているべきはずなんだからな」
高橋:「そうは言いましても……」
愛原:「リサはどうしたい?」
リサ:「私は……思いっ切り体を動かしたい。あの変な夢のせいで、少し鬱になってるから」
愛原:「なるほど。分かった。それなら1つ思い当たる所がある。そこに行ってみよう」
リサ:「! おー!」
高橋:「しかし先生、車は返しちゃいますよ?」
愛原:「分かってる。ちゃんと電車で行ける所を知ってるさ」
高橋:「それならいいですが……」
給油が終わって、私達は駅レンタカーへ向かう。
高橋:「体を動かしたいっつっても、色々あるだろ」
リサ:「何でもいいんだけど……」
愛原:「まあまあ。一応知ってるから、そこに行ってみよう」
高橋:「先生にお任せします」
愛原:「おう。俺に任せとけ」
車を返却した後、私達は仙台駅に向かった。
私の名前は愛原学。
都内で小さな探偵事務所を経営している。
ホテルをチェックアウトした私達は、再び隣接するコロナワールドヘと足を運んだ。
正面入口はまだ封鎖されていたので、別の入口からアクセスする。
そして、その中にあるゲームセンターへ向かった。
愛原:「この筐体だが、間違いないか?」
リサ:「うん、間違いない……」
リサの夢に出て来たテディベアを扱うクレーンゲームの筐体である。
実際、私は昨夜、高橋とこのゲームをやった。
私の結果は散々なものだったが、高橋はものの見事にゲットした。
愛原:「やってみるなら、お金入れるぞ?」
リサ:「うん。ありがとう」
私は500円硬貨を入れた。
これなら6回操作できる。
リサ:「まずはこのボタンを押して……」
高橋:「おっ?」
リサ:「次にこのボタンを押す……」
1回ではなかなか取らせてもらえないが、それでもリサは初心者にしては珍しく、いい所に景品を持って行った。
リサ:「夢の中に出て来た、もう1人の私が教えてくれたの」
とはいうものの、やはりそこは初心者。
6回やっても取れなかった。
リサ:「まあ、そうだよね。夢の中では私が倒れた時、下から顔を覗かせてた……」
リサがしゃがみ込んで景品取り出し口を覗く。
私や高橋もつられて取り出し口を覗いた。
その時、ガタンという音がしたかと思うと、そこからテディベアが顔を覗かせた。
リサ:「え?」
愛原:「え?」
高橋:「え?」
今度は一斉にケースの中を覗く。
他のテディベアと一緒にケースの中で転がっていた1つが無くなっていた。
つまり、景品取り出し口に落ちて来たのだ。
リサ:「え……と?」
愛原:「何で落ちて来たんだ?そんなギリギリまで行ってたっけ?」
高橋:「えっと……」
私は景品取り出し口からテディベアを取り出した。
確かに、ケースの中に入っていた物と同じ物だった。
何らかの拍子に穴に入ってしまったのだろうか?
リサはいい所までクレーンで連れて行ったものの、ギリギリの所まで運んだわけではない。
まるで、テディベアが自らの意思で穴に飛び込んだかのようだ。
愛原:「何か仕掛けが……?」
しかし、外見上は特に不審な点は見当たらない。
やはり、何かの拍子に穴に入ってしまったのだろうか。
愛原:「まあいい。持って帰ろう。高橋、袋持って来てくれ」
高橋:「分かりました」
高橋はテディベアを入れる袋を取りに行った。
愛原:「2つともゲットしちゃったな」
リサ:「これはサイトーへのお土産にしよう」
愛原:「なるほど」
リサ:「私が取ったものだと言えば、喜んで受け取るはず」
愛原:「……確かにな。なあ、リサ。もしかしたら、オマエがやったから今の不可思議現象が起きたのかもしれない。もう1度やってみないか?」
リサ:「分かった」
私はもう1度、500円玉を入れてリサにやらせてみた。
リサは夢の中のもう1人のリサに教わった通りにやるのだが、やはりある程度上手くはできるものの、やはり6回では普通に取れない。
そしてさっきと同じように、景品取り出し口を覗かせた。
今度は私達はケースの方を見ている。
しかし、ケースの中のテディベアは動くことはなかったし、取り出し口に実はあったなんてこともなかった。
更に今度は高橋にやらせてみた。
景品の位置は店員に頼んで元の位置に戻してもらい、そこからやらせてみた。
ゲームの上手い高橋でさえも、毎回必ず取れるというわけではない。
前回はたまたま取れたのだろう。
それさえ、6回目でギリギリ取れたようなものだった。
で、今回は取れなかった。
それでも一応、景品取り出し口とケースを同時に見た。
やはり、不可思議現象は起こらなかった。
愛原:「……やっぱり、ただの偶然か……。偶然、何かの拍子に景品が穴の中に落ちたんだろうな」
高橋:「そ、そうですね……」
腑に落ちないものであったが、私達はそう考えることにした。
何だか私達も、リサの夢の中に取り込まれているような気がしてしまった。
愛原:「よ、よし。それじゃあ、ここを離れることにしよう。車を返しに行かないと」
高橋:「そ、そうですね」
再び別の出入口から外に出て駐車場に回り、私達は車に乗った。
[同日10:45.天候:晴 仙台市宮城野区榴岡2丁目 ENEOS]
車を返す前に、近くのガソリンスタンドに寄ってガソリンを満タンに入れる。
セルフスタンドではなく、店員が給油してくれるフルサービスの店であった。
リサ:「先生、車返した後はどうする?時間余るでしょ?」
愛原:「そうだな。まあ、どこかに遊びに行こうかとは思ってる」
リサ:「先生の御実家でゆっくりされるという手もありますよ?」
愛原:「どうせ夕方、食事会やるからな。今はコロナ禍だし、今回みたいな調査でも無ければ、本来は家で自粛しているべきはずなんだからな」
高橋:「そうは言いましても……」
愛原:「リサはどうしたい?」
リサ:「私は……思いっ切り体を動かしたい。あの変な夢のせいで、少し鬱になってるから」
愛原:「なるほど。分かった。それなら1つ思い当たる所がある。そこに行ってみよう」
リサ:「! おー!」
高橋:「しかし先生、車は返しちゃいますよ?」
愛原:「分かってる。ちゃんと電車で行ける所を知ってるさ」
高橋:「それならいいですが……」
給油が終わって、私達は駅レンタカーへ向かう。
高橋:「体を動かしたいっつっても、色々あるだろ」
リサ:「何でもいいんだけど……」
愛原:「まあまあ。一応知ってるから、そこに行ってみよう」
高橋:「先生にお任せします」
愛原:「おう。俺に任せとけ」
車を返却した後、私達は仙台駅に向かった。