マーリンの美味しい生活

ストレス解消は観劇と食べ歩き。

リチャード三世

2012年10月15日 | 舞台・映画
新国立中劇場で。

10列目ということだったけど行ってみたらナント最前列でした。端っこでしたが・・・

お陰で照明の暗い舞台でしたがよく見えましたよ。

岡本健一さんは、以前市村さんが演じられたのとはまた違ったリチャード像を熱演されていました。

市村さんにはものすごいコンプレックスと恐ろしいほどのねちっこさを感じたのですが、岡本さんはもっと淡々と時にコミカルに演じられていたのが印象的。

そのせいか憎らしいというより哀れに思えました。

それにしてもこのリチャードという男の狡猾で口の上手いこと!

彼に夫や父を殺されたばかりのアンがリチャードの口説き文句にコロリと参ってしまうところは、何度見ても不思議。

脇を固める俳優さん達が皆お上手で素晴らしいため、ラストに登場するリッチモンド役の浦井健治くんがとても初々しく清新な若者に見えました。

軍服姿がとても凛々しくてカッコ良かったまるでオスカルのようでした。

それに引き換え、岡本健一さんは実の母にも蔑まれ、女性にも愛されず、亡霊たちに「絶望して死ね!!」と呪われるせむしでびっこのリチャードを毎日演じるのは、いかに演技とはいえさぞや辛いことでしょうね。

本当はカッコいいのに小賢しくイヤーな男に見えるところは流石の演技力。

この二人の対比が際立っているところが今まで見たリチャード三世とは違っているように感じました。

マーガレット役の中嶋朋子さんをはじめ女性達の嘆きの場面も見応えありました。

バッキンガム公役の役者さんも良かったです。

途中、天井が降りてきたのは演出ではなく事故だったのかしら?

実は昨日から足の親指のあたりが激痛で歩くのもやっとという状態での観劇でした。

劇場に来る前に整形外科でレントゲンを撮ったら指の関節の周辺に石灰が溜まってると言われ

痛み止めの注射を打ってもらいモーラステープとかいう膏薬を貼っていただいた。

それでも痛みは取れず、行き帰りの道や劇場内のロビーなどをびっこをひき引き歩くのは我ながら惨めだった。

生まれながらの異形の人、リチャードはどんなにか惨めで辛かったであろう・・・他人に馬鹿にされまいと虚勢を張り

狡猾に立ち回るその姿にふっと今の自分を重ねた帰路であった。