石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

需給バランスを破壊したコロナ禍とOPEC:メジャーズとJXTG/出光興産の業績比較(6完)

2020-06-11 | 海外・国内石油企業の業績

(注)本レポートは「マイ・ライブラリー」で一括してご覧いただけます。

http://mylibrary.maeda1.jp/0505MajorJxtgIdemituMar2020.pdf

 

II.四半期別業績比較(続き)
(表http://menadabase.maeda1.jp/1-D-4-26.pdf参照)

(4) 売上高利益率 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-5-22.pdf 参照)
 Chevronは売上高利益率が押しなべて他社よりも高く、大幅な欠損を計上した昨年10-12月期以外は7社中のトップである。特に今期はJXTG▲13%、BP▲7.3%など各社が軒並みマイナスの利益率であったのに対し、二桁(11.4%)の高い利益率を達成している。

 JXTG及び出光の利益率はメジャーに比べて低い水準にあり、最も高い四半期でも2%強にとどまっている。そして今期はJXTG▲13%、出光▲6%と特に低くなっている。

(5) 上流部門の利益 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-5-23.pdf 参照)
 昨年1-3月期から7-9月期までの上流部門の利益はExxonMobil、BP及びChevron 3社はほぼ横並びの30億ドル前後で推移し、ShellとTotal2社は共に20億ドル弱であった。日系2社はJXTGが昨年1-3月期に▲2億ドル、今年1-3月期にも▲7億ドルの欠損を出しており、それ以外の四半期は1億ドル程度の利益水準を維持している。いずれにしてもメジャー5社とは大きな差があった。

前期(昨年10-12月)と今期(1-3月)のメジャー5社の上流部門の利益は各社によって大きく変動している。前期はExxonMobilの利益が大幅に増加、BP及びTotalもわずかながら増益となったのに対し、Chevronは大幅な減益、Shellも欠損に転落し明暗が分かれた。そして今期も明暗は別れChevronが急回復してトップに返り咲いたのに対し、他のメジャー4社はいずれも対前期比減益となっている。

(6) 下流部門の利益 (図http://menadabase.maeda1.jp/2-D-5-24.pdf 参照)
 昨年から今年初めまでの各社の上流・下流の損益幅を見ると、上流部門はプラス60億ドル(ExxonMobil10-12月期)から▲70億ドル(Chevron10-12月期)まで大きな差があるのに比べ、下流部門はプラス26億ドル(Shell7-9月期)から▲24億ドル(JXTG今期)まで各社の差異はさほど大きくない。

 このような中で各社の中で比較的下流部門の利益が高く安定しているのはShellあるいはBPであり、Total及びChevronも毎期4~11億ドル前後の利益を計上している。ExxonMobilは下流部門の利益が安定せず昨年と今年の1-3月期は赤字である。日系2社のうちJXTGは昨年中は数億ドル規模の利益を計上していたが、今期は7社中最大の赤字となっている。また出光の下流部門は経常的な赤字体質であり、直近5期のうち3期は欠損を出している。

以上

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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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