石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

吸い上げる米国と中国、吐き出す日本:UNCTAD「世界投資レポート2020年版」(2)

2020-06-25 | その他
(世界ランクシリーズ その9 2020年版)

1. FDI インバウンド(FDI Inflows, 直接投資流入額) 
(世界の投資資金の2割を吸い上げる米国!)
(1)2019年のFDI インバウンド(FDI Inflows, 直接投資流入額)
(表http://rank.maeda1.jp/9-T01.pdf参照)
 2019年の世界のFDIインバウンド総額は1兆5,400億ドルであった。流入額が最も多かったのは米国であり、金額ベースでは2,460億ドル、世界全体の16%を占めている。米国1国だけで実に全体の2割近い投資を吸い上げている。米国に次いで流入額が多いのは中国の1,400億ドル(9%)であり、米国と中国の2カ国で世界のFDIインバウンドの4分の1を占めている。

米国、中国以外の各国は1千億ドル以下である。3位から5位までに名を連ねているのは、シンガポール(920億ドル)、オランダ(840億ドル)及びアイルランド(780億ドル)であり、その他主要な国を見ると、インドは500億ドル(世界10位)、ドイツは360億ドル(世界12位)、ロシアは320億ドル(世界17位)である。日本のFDIインバウンドは150億ドルで世界で24番目に多い。

中東各国のFDI流入額を見ると、イスラエル及びUAEはそれぞれ180億ドル及び140億ドルであり、イスラエルは日本より多く(世界22位)、UAEは日本よりやや少ない世界26位である。これら2カ国以外の中東諸国はエジプト(90億ドル)、トルコ(84億ドル)、サウジアラビア(46億ドル)のようにいずれも100億ドル以下であった。因みにイランのFDI流入額は15億ドルにとどまっており、米国の経済制裁の影響が強く表れている。

FDIインバウンドの金額及び世界ランクを前年(2018年)と比較すると、1位米国、2位中国は変わらない。但し米国は3%、金額にして74億ドル減少し、一方中国は29億ドル(2%)増加しており、両国の差は縮小している。日本の2018年流入額は99億ドルであり、今回は5割近く増え、世界ランクも31位から24位にアップしている。これに対してドイツは前年に比べ370億ドル、率にして5割と大幅に減少している。

中東諸国は2018年比でFDI流入額の増加した国と減少した国が混在している。UAEは34億ドル増加したのに対し、イスラエルは26億ドル減少している。サウジアラビアは金額ではわずかに増加しているが順位は46位から49位に下がっている。イランは2018年の24億ドルから9億ドル、4割近く減少している。またトルコも対前年比で45億ドル減少、金額、順位ともにUAEに逆転されている。
 
(続く)

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前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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