石油と中東

石油(含、天然ガス)と中東関連のニュースをウォッチしその影響を探ります。

BPエネルギー統計レポート2013年版解説シリーズ:石油+天然ガス篇14 消費量(6)

2013-09-04 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0277BpOilGas2013.pdf

 

(自給率が下がり続ける中国、上昇気流に乗った米国。日本は昔も今も0%!)
(6)日本と米国、中国、インドのエネルギー自給率(2000年~現在)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/3-3-G05.pdf 参照)
 2012年の統計で見ると米国、中国、日本及びインドはそれぞれ世界1位、2位、4位及び6位の石油・天然ガスの消費国である(本章国別消費量参照)。このうち日本を除く3カ国は同時に石油・天然ガスの生産国であり、特に米国はロシアに次ぐ世界2位の生産国、中国は世界6位である(第2章国別生産量参照)。またインドも石油・天然ガスの合計生産量は159万B/Dで世界24位である。これに対して日本は殆ど全てを輸入に依存している。

 2000年から2012年までのこれら4カ国について消費量を生産量で割ったエネルギー自給率を計算すると、日本は当然ながら自給率0%である(日本の国内統計上では自給率は石油0.3%、天然ガス数%程度とされているがBP統計では無視されているため自給率0%とみなす)。これに対して米国、中国及びインドの場合、2000年時点では中国は72%の自給率である。そして米国及びインドの自給率はそれぞれ55%、45%であり、消費量の1/2前後は国産の石油・天然ガスでまかなっていることがわかる。もっとも中国とインドの場合、2000年時点では天然ガスを外国から輸入する手段がなかったため天然ガスは生産=消費(即ち名目上の自給率は100%)の制約があった訳であるが、ともかく3カ国の石油・天然ガス合計の自給率はかなりの水準だったのである。

 その後中国とインドでは経済発展によりエネルギー消費が急拡大し、米国も生産が消費に追いつかず、3カ国とも自給率は低下した。特に中国の自給率は2000年以降急激に下落し2002年に60%台、2004年には50%台に落ち、2011年にはついに50%を割り込んだ。インドも2000年の45%から2006年には39%に落ち込み現在は35%となっている。

 ところが米国は2005年に50%すれすれまで落ち込んだが、その後自給率は上昇傾向を続けており2012年にはついに自給率67%を達成しているのである。このところシェールガス或いはシェールオイルの生産が急上昇しており、将来は自給率100%も夢物語ではなくなっている。現にシェールガスについては数年内に輸出が開始される計画である。

 米国と言う世界最大のエネルギー消費国が世界最大の生産国に変貌し、あまつさえ石油或いは天然ガスの輸出国になろうとしている。そして巨大な人口を抱えた中国及びインドは今後ますます世界中の石油・天然ガスを買い漁るようになる。このような現状を考えると石油・天然ガスの自給率0%を運命づけられている日本がエネルギー問題について重大な岐路に立たされていることは間違いないと言えよう。

(続く)

本稿に関するコメント、ご意見をお聞かせください。
 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
   Tel/Fax; 042-360-1284, 携帯; 090-9157-3642
   E-mail; maeda1@jcom.home.ne.jp

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BPエネルギー統計レポート2013年版解説シリーズ:石油+天然ガス篇13 消費量(5)

2013-09-03 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0277BpOilGas2013.pdf

 

(石油・天然ガスの消費が急増する中国とインド、日本は12年間で8%減!)
(5)主要5カ国の消費量推移(2000年~2012年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/3-3-G04.pdf 参照)
 米国、日本、中国、ロシア及びインドの5カ国について2000年から2012年までの各国の石油と天然ガスの合計消費量を見ると、米国の消費量は他の国を圧倒しており2000年時点で3,109万B/Dとロシア(875万B/D)の3.6倍、日本(684万B/D)の4.5倍、中国(519万B/D)の6.0倍あり、インド(272万B/D)に対しては10倍以上の差があった。

 米国の消費量はその後横ばい状態が続き2012年は3,100万B/Dである。これに対して中国の消費量は爆発的に増加しており、2004年には日本を超え、さらに2009年にはロシアを追い抜き米国に次ぐ世界第2位の石油・天然ガス消費国となり、2012年の消費量は2000年比2.5倍の1,270万B/Dに達している。この結果かつて6倍であった米国と中国の差は2.4倍にまで縮まっている。

 インドも中国程ではないが年々増加しており2000年に272万B/Dであった消費量は、2004年には300万B/D、そして2009年には400万B/Dを突破、2012年の消費量は2000年比1.7倍の459万B/Dに達している。日本との差は未だ210万B/Dあるが現在の趨勢が続けば近い将来インドの消費量は日本を上回ることになろう。

 日本の石油・天然ガスの消費量は2000年から2009年まではほぼ一貫して減少し、2009年には600万B/Dを下回ったが、その後は再び増加傾向に転じ2012年の消費量は673万B/Dに達している。しかしそれでもなお2000年を2%下回っている。これは景気低迷によりエネルギー消費が減少したこと及び省エネ政策によりエネルギー効率が向上したためと考えられる。省エネ政策や再生エネルギー利用は今後も継続的に発展することが見込まれるが、一方では原発の停止により火力発電用石油・天然ガスが増えることは避けられず、当面は石油・天然ガスの消費量が増加することが考えられる。

(続く)

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 前田 高行 〒183-0027 東京都府中市本町2-31-13-601
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BPエネルギー統計レポート2013年版解説シリーズ:石油+天然ガス篇12 消費量(4)

2013-09-02 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0277BpOilGas2013.pdf

 

(重みを増すアジア・大洋州!)
(4)地域別の消費量の推移(1990年~2012年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/3-3-G03.pdf 参照)
 全世界の消費量に占める地域別の割合の推移を見ると1990年は欧州・ユーラシアが世界全体の40%を占めて最も多く、次いで北米が31%、アジア・大洋州が17%を占め、その他の地域(中南米、中東及びアフリカ)は13%であった。欧州・ユーラシアと北米を合わせた欧米先進国だけで全世界の4分の3近くの石油・天然ガスを消費しており、これに新興国家が多いアジア・大洋州を加えると9割近くに達する。

 その後欧州・ユーラシア地域の消費量は緩やかに減退し1990年代半ば以降は37百万B/D前後で推移している。これに対し1990年に17百万B/Dであったアジア・大洋州の消費量は年々上昇し、2012年には4千万B/Dを突破、北米、欧州・ユーラシアを抜き去り世界で最も多く石油・天然ガスを消費する地域になった。

(続く)
 
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BPエネルギー統計レポート2013年版解説シリーズ:石油+天然ガス篇11 消費量(3)

2013-09-01 | その他

(注)本レポートは「マイライブラリー(前田高行論稿集)」で一括してご覧いただけます。

http://members3.jcom.home.ne.jp/3632asdm/0277BpOilGas2013.pdf

 

 (ジリジリ上がる天然ガスの比率。2012年は40%弱!)
(3)石油と天然ガスの消費量の推移(1990年~2012年)
(図http://members3.jcom.home.ne.jp/maedaa/3-3-G02.pdf参照)
 1990年から2012年までの石油と天然ガスの合計消費量の推移を追ってみると、1990年の石油と天然ガスの合計消費量は石油が6,668万B/D、天然ガスは1兆9,587億㎥(石油換算3,375万B/D)であった。合計すると石油換算で1億44万B/Dとなり、両者の比率は石油66%、天然ガス34%であった。

 その後消費量は2009年を除き2012年まで毎年増加の一途をたどり、2012年の消費量は石油換算で1.47億B/D(内訳:石油8,977万B/D、天然ガス3.3兆㎥)であり1990年の1.5倍に達している。石油と天然ガスそれぞれにについて見ると、石油は1.3倍、天然ガスは1.7倍と天然ガスの伸び率は石油より高い。この結果、2012年の消費量に占める石油と天然ガスの比率は61%:39%であり、天然ガスの比率は過去20年の間に5ポイント上昇している。地球環境問題の高まりにより石油に比べてCO2発生量が少ない天然ガスの導入が進んだことがわかる。特に日本の場合は原発の新設がほぼ不可能になり、既設原発の再稼働にも多くの制約が課されるであろうことを考慮すると、(燃料調達コストの問題はあるにしても)今後天然ガスの比率が増えることは間違いないであろう。

(続く)
 
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2013-09-01 | 今日のニュース

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