ORSEは先月から「ETC車載器リース制度」という割引キャンペーンを始めた。
9月末まで、リースなどでETCを装着した先着70万台に5000円(税込み5250円)の助成をするというものだ。
機器の購入代金がETCの普及を阻害している。ならば、月々が安いリースを促進しよう。促進するために助成金を出そう、ということだ。
まあ、普及のためにはそういった努力は必要なんだろうな、とあまり気にしていなかったが、改めて内容をみると、随分間抜けなことがわかる。行政のやることは、よく見張っていないと大変なことになる。
この制度では、対象にリースだけではなく2年以上、2回以上の割賦販売を含めている。
そして、殆ど通常の感覚では理解できないのだが、クレジット一括払いや現金払いは助成の対象外となってしまうのだ。
現実の市場で何が起きているか。
ある販売店は
「購入時お支払い8400円、2年後に200円のお支払い」という割賦販売で助成金付き販売をしている。
助成金をもらうためにわざわざ2年後に200円を引き落とすのだ。
考えてみて欲しい。
あなたがETCを買いに行く。価格は13000円。欲しいと思っている人には特に問題のない金額だ。ところが、店員から次の説明がある。
「2年以上のローンにすれば、5000円安くなります」
普通は冗談としか思えないだろう。
13000円の品物を2年ローンで買いたいと思う人はあまりいない。しかし、5000円の助成があるなら、適用してもらった方が良いに決まっている。
結果として、上に書いたような支払いパターンとなるのだ。
そもそも「機器の購入代金がETCの普及を阻害している」という考えが単純すぎる。
さらに、「だからリースを推進する、そのために金で助成をする」という考えはそれに輪をかけて単純だ。
通常の消費者にとって欲しい商品なら15000円は問題ではない。ここは日本なのだ。
一般ドライバーに普及が進まないのは「月に一回程度しか使わない高速道路のためにわざわざ販売店まで出向き、諸手続をしてまで装着するのは面倒だ」ということではないのか。