ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

パイオニアの苦悩

2009年05月01日 | ITS
このブログでもパイオニアの動向、とくに通信タイプのPND「AVIC-T10」に関していろいろと書いてきた。
要約すれば、お手軽タイプのPNDに対して年額1~2万円の通信料を支払う消費者がいるとは思えない、パイオニアにとっては失敗の許されないコアビジネスで通信タイプで勝負をかけることに危惧を感じる、ということだ。

そして同社の現状はご存じのとおり。
はたして通信型ナビで勝負をかけたことが裏目に出たのかどうかまではわからないが、コアであるナビ事業がふるわないことは確かだ。

私も国内でPNDがここまで販売を拡大するとは思っていなかった。
新車販売、特に普通車の販売が不振で、軽自動車や大衆車ばがりが売れる中、車両本体価格の20%にもなるインダッシュナビが売れないのも仕方がない。

国内のナビゲーションメーカーにとってPNDはパソコンメーカーにとってのUMPCに似ている。低付加価値商品だから参入はしたくないが、看過すればどんどんシェアを侵食されてしまう。

ソニーはVAIOタイプPで独自の答えを出し、成功した。
一方でNECはLaVie Lightという、あえて古臭い筐体デザインで自社の高価格商品とのカニバリを防ごうとしたと思われる商品を発売したが、あまりぱっとしない。そりゃそうだろう。

ナビに関していえば、インダッシュの市販から撤退しているソニー・三洋以外は同じように苦悩している。
パイオニアが自社の資産であるスマートループで付加価値をつけたPNDを発売したのは自然の流れなのかもしれないが、思った結果は出ていないということだろう。

高額な市販のインダッシュナビが売れない市場環境の中で、パイオニアが事業を伸ばしていくためにはカーメーカーへのOEM拡大しかない。
そういう意味でホンダの支援や三菱電機との提携は残されたチャンスを生かす正しい方向だと思う。