ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

ITS無線システム 市場規模のまやかし

2009年05月24日 | ITS
アナログTV地上波の空き地となる700Mhz帯をITSのために割り振ることが決定され、それに対する研究会「ITS無線システムの高度化に関する研究会」が総務省のもとで進められている。以下はその4月8日の作業班活動のリリース。
総務省リリース

私は、どう考えてもこの施策は無理筋だと思っている。
それに対して、先日のエントリーに「てらぼう」氏から、「そんなの関係者はみんな分かってやってるのよ」というコメントをいただいた。たぶん、多かれ少なかれそうなんだろう。

しかし、この研究会報告を見るに、少なくとも無理筋だろうがなんだろうか「決めたことはやる」んだろう。
普及のためにはカーメーカーが標準装備を進める必要がある、という結論にして、カーメーカーに尻を持っていくというあたりが落とし所かとも見える。
この内容に対して言いたいことはいっぱいあるが、まずどうしても許せないことを指摘しておこう。

リンク先にある「ITS無線システムの高度化に関する研究会報告書(案)」の67ページに次の記載がある。
「ITS無線システム(車載器)の市場規模は2021年(導入開始10年目)に単年で6,685億円」

しかし、その前段でITS無線システムに対する消費者評価は4000円なので、その価格をカーナビに上乗せした車載器全体の価格を算出した、とある。

つまり、この市場規模はカーナビの価格+ITS分の台あたり4000円の合計、ということなのだ。

普通に考えれば、ITS無線システムの市場規模として検討に値する金額はあくまで+4000円の部分だけだろう。
ITSがあろうが無かろうがナビの市場は存在するんだから。
それをベースに計算すると、おそらく2021年単年で100~200億円にしかならない。

確かに表題は「ITS車載器の市場規模」であり、新規に創出される市場規模だとはどこにも書かれていないが、私にはでかい金額の市場規模を提示して計画を正当化しようとしているとしか思えない。

こんな「まやかしの市場規模」が独り歩きすることがないようにしてもらいたい。