ITSを疑う

ITS(高度道路交通システム)やカーマルチメディア、スマホ、中国関連を中心に書き綴っています。

国際免許に関するあれこれ

2017年08月21日 | 雑記
国際免許に関して最近思うことを2つ。

一つは中国人が日本でレンタカーを借りる際の免許の話。
中国はジュネーブ、ウィーンの運転免許に関する条約に参加していないので、海外で使える国際免許証を発行できない。
これら条約が締結されたころは人民が自家用車をもち、海外旅行をしてレンタカーを運転するなんて中国としても想像もできなかっただろう。

中国人も最近は団体旅行から個人旅行に変わってきており、特に沖縄や北海道は個人旅行にはレンタカーが不可欠になる。
しかし、上記の通り中国人は日本でレンタカーを借りすることができない。しかし実際にはかなりの訪日客がレンタカーで旅行をしている。

どういうことかというと、香港もしくはフィリピンを経由して国際免許を取得するのだ。
例えば香港は大陸住民に対して試験免除で免許証を発行している。中国にはこの仲介をする業者がおり、本人は出向かなくとも1-2週間で香港もしくはフィリピンの免許証と国際免許が手に入る。通販大手の淘宝網でもちょっと検索すると業者が沢山見つかる。これらは合法であるという。

このことに対してネットではそんな免許でレンタカーを運転させたら危険ではないか、事故が起きたらどうする、という意見がだされてる。
しかし、これはおかしい。条約を結んでいる国の国民と中国人でその運転に安全、危険の差は無いはずだ。一般論として中国の運転マナーは良くないが、それは個人にもよるし条約国でも運転マナーが中国と大差ない国は沢山ある。
免許の取得の適法性と運転が危険であるか否かの間には全く関連がないのだ。

少なくとも偽造や違法手段での取得でない以上、問題ない、としか言いようがない。彼らは悪事を働くために香港やフィリピンの免許を買っているわけではないのだ。
本来であれば、日本も中国からのインバウンド観光需要を重視するのなら条約とは別に地域限定で中国免許での運転を許可すればいい。
韓国は中国免許での運転を済州島で開放しているし、さらに欧州の多くの国やカリフォルニア州も認めている。

しかし、これに対しては相当な反対があるだろう。特に中国人ということでバイアスがかかった反対論がでる。
で、必ず事故は起きる。何人だろうが、いきなり左側通行の世界に放り込まれれば危険な場面には出くわす。私も昔アメリカでセンターラインのない道のすれちがいでとっさに左に避けてしまい非常に危険な思いをしたことがある。

中国人が事故を起こせばメディアは鬼の首を取ったような報道をし、その責任はどこにあるのかというようなことを言い始める。
したがって誰もこんな法改正はしたがらないので、将来にわたり今の不明瞭な状況が続くんだろう。

次に、日本の国際免許について。
国際免許ってのは、実は免許証ではなく役所が発行する日本の免許証の翻訳書である、ということを知る人は少ないと思う。
日本の免許にはアルファベット表示はなく、年号も西暦が使われていない。したがって翻訳書がないと海外では理解してもらえない。

一方、アルファベットを使う国の間では翻訳書がなくとも理解できるからその国の免許をそのままで使える、という協定を結んでいる事が多い。
(日本の免許もハワイやグアムでは国際免許が不要で、レンタカー会社は西暦と和暦の変換表を持っている)

国際免許は有効期間が一年しかない。次に海外にいくときには期限が切れている事が多く非常に煩雑だ。
免許証の表記をアルファベット併記にし、年号は西暦にするだけで国際免許なんていう面倒なものは多くの対象国で廃止できる筈だと思う。
こうした行政改革はなかなか進まないものだが、これは早急に改善してもらいたいものだ。