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IMF決定にみる中国とアメリカとの関係

2010-12-01 | ラジオ
IMFは国際準備基金の構成比の見直しを行った。この構成比見直しは5年に一度行われるものだ。今回の見直しでは中国の人民元が構成通貨入りをすると見られていた。
それはここ5年間で中国経済が、目覚しい成功を収めたことによるものだ。
2010年には中国のGDPは世界第2位となり、体外貿易額では世界で1位を占めるまでになった。

それにも関わらずIMFは人民元の導入を見送った。中国は世界で3番目の輸出国となり、自国通貨の国際的流通(「ゆうつう」と聞こえる)に向けた方策をとってはいるものの、人民元は自由な取引および交換に付いての規準を満たしていないとIMFでは考えているようだ。

ロシア科学アカデミー極東研究所副所長は、人民元が構成通貨に含まれなかったのは、アメリカからの人民元切り上げ要求を聞かなかった、中国政府への処罰に他ならないとしている。
「もちろん中国人民元の欠点はコンバティビリティが制限されていることだ。恐らくそのことを根拠にして、通貨構成入り見送りの決定になったと考えている。しかし一方で動的に状況を捉えてみることも大切だ。
近年、中国は目覚しいテンポで成長している。世界経済危機のなかで、経済が支えられたのも中国で伸び続ける消費があったお陰だ。
今年、中国とASEANとの間で自由貿易圏が設定されたなかで、人民元は事実上地域通貨の地位を得た。人民元を構成通貨に含めないことによって、中国に関係する世界経済の大部分がIMFの影響外に置かれる、ということはIMF指導部でも理解されていると思う」
教授(ここでは副所長から教授になっている)はこのように話している。

中国政府はもちろんIMFの決定に満足してはいない。中国建設銀行の会長は、中国人民元にさらなる地位を与えることは、世界経済の安定化を促したであろう、と述べている。
現在の状況では多くの国は外貨準備の一部を人民元で保有していく必要があり、輸出国にとっては対外貿易決済を人民元建てにするのが望ましいと、会長は自らの意見を表している。

IMFの立場は、中国政府の通貨政策には何の影響も与えておらず、アメリカの長期国債の購入を継続することになる。アメリカの負債額はすでに8850億ドルを越えている。
中国は日本と並んで最大のアメリカに対する債権者となっている。そのような状況では、アメリカがIMFを通じて中国を処罰しようとしても、大した結果にはつながらないだろうと教授は考えている。逆にやっと正常化しつつあるアメリカ経済に対して、悪影響として跳ね返ってくる可能性があると言える。

通貨で読み解く世界経済―ドル、ユーロ、
人民元、そして円 (中公新書)


小林 正宏,中林 伸一
中央公論新社


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11月19日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル
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