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ロシアでのバリアフリー社会実現に向けて

2010-12-06 | 障害者・福祉
国連のデータによると世界中で身体に障害を持っている人は6億5千万人ということだが、それは地球人口の8%に当たる。
12月3日には世界障害者デーが祝われるが、障害者の皆さんが直面している問題をより多くの人に知ってもらい、お互いに平等な関係を築いていくことを目的としているものだ。
国連の障害者権利条約にはロシアは2008年に調印し、その一年後には欧州社会憲章を批准した。
この憲章は障害者らを健常者らと同じく、社会生活に受け入れていくことを手段としている。

ロシア議会下院国家会議のチェレンチェフ議員は、障害者の問題を医学的依存の観点からではなく、人権の問題として捉えなおすことを指摘している。
「障害者の問題は社会の問題であり、障害者の権利を妨げるような多くのバリアを作ってしまっているのが現状だ。
そのようなバリアと言うのは歴史的に形成されて来たものであり、一度に全てを克服するすることは困難だが、社会が取組んでいかなくてはならないものだ。
社会憲章はそのための基礎となるべきものなのだ」
チェレンチェフ議員は、このように話している。
(正しくは国家会議だと思うのだが、男性アナウンサーは「こっかいぎ」と言ってる)

チェレンチェフ議員にとって障害者の問題は単なる抽象的な話題ではない。
バイアスロンをしていた議員は16歳のときに脊椎を骨折し、重傷を負った経験を持っている。
10年を経て競技に復帰したが、すでに車いすに乗っての参加だった。
パラリンピックにも6度、参加した実績を持ち金メダルに輝いたこともある。またスポーツの傍ら二つの高等教育を受け、現在40歳であるチェレンチェフ議員はロシア議会下院国家会議の、国際問題委員会のメンバーであり、ロシアパラリンピック委員会の委員長も努めている。

先日のメドヴェージェフ大統領の年次教書演説でも触れられており、障害を負った人々はスポーツや芸術分野で、ロシアの栄光となる結果を治めて来た。
大統領は障害者らの、このような活動をロシアが国としても支援していく必要があると指摘している。
障害者支援のための新しい国家プログラムは、来年から開始される予定で23億ルーブル、約7億7千万ドルが割り当てられている。
ロシアでは1300万人の障害者がおり、そのうち55万人が子どもであるという状況の中、世界水準を指標にしてロシアのバリアフリー社会の実現に向けての努力が行われることとなる。

プーチン首相はこの分野において、ある程度の経験がすでに蓄積されていると述べている。
「ソチ・オリンピックに向けた準備の中でも、障害者のためのインフラ整備には特に重点が置かれている。
またロシアの多くの地方においても障害者にとって、快適な環境づくりの整備が進んでいる。
例えばモスクワ、サンクトペテルブルグ、 ニジニ・ノヴゴロド州、 スモレンスク州などで、そういった環境づくりが進んでいる。
それらの地方での経験を他の連邦地帯にも広げていく必要がある。ロシア全国で障害者らが日常生活、学業、職業などの場で快適に生活出来ることが重要なのだ。また新しいレベルのインフラ整備に向けては、最新技術も活用していかなくてはならない」
プーチン首相は、このように話している。

優先課題の一つとしては、身障者児童のためのプログラムがある。今日では全ロシアの学校の2%ほどしか、身障者児童のための対策をとれてはいない状況があるからだ。
将来的には身障者児童たちが、他の生徒たちと机を並べて勉強できる環境が全ての学校で整備されることが望まれる。

この男性アナウンサー「こっかかいぎ」と言えないみたい

障害者の権利条約

長瀬 修,川島 聡
明石書店


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12月3日放送 ロシアの声・ラジオジャーナル