Fish On The Boat

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『あたまのなかにある公園。』

2014-12-15 00:49:22 | 読書。
読書。
『あたまのなかにある公園。』 糸井重里
を読んだ。

糸井さんの「小さい言葉シリーズ」第四作目が本書です。
2009年に書かれたものを編集してできています。

このシリーズは大好きなんですよね。
毎回、大事に、全幅の信頼を置くようにして読んで、
勉強させてもらったり、笑ったり、ためになったりです。
シリーズはまだ、『あたまのなかにある公園。』よりも
新しいものが、かなりまえから数冊積読になっていますが、
やっぱりこれには僕のなかの貧乏性性質の部分がおおきく
関係しているような気がします。なにせ、
シリーズが読み終わってしまったときの飢餓感みたいなものが
恐ろしいのですから。

今作もやはり素晴らしかったです。
印象としては、物事のとっかかり、初心、出合い頭に関係するような、
起承転結の「起」のところをつぶさにみているように感じました。
最初が肝心だ、とも言えますから、
そこであまりにおかしなことにならないような、
ちょっとした指針だとかヒントだとかを教えてくれているよう気がしました。

そういう、始まりの部分をあつかう言葉が多かったので、
いろいろな初心にあてはまるので、
最初からこじれないで始められる助けになるように思いました。
また、ある程度進んだ人が伸び悩んでいる時にも、
そのそもそものきっかけはなんだろう、と考えれば、
バックトゥベーシックで、初心を見直すことになると思うのです。
そういう人にも、基本の立位置から修正するのに役立ちます。

起点っていうものは、その後のあれやこれやよりも
よっぽど多くの人が直面するものです。
それは、人が何かをやろうとすれば、まずその1歩目にあたるからです。
それから3歩しか歩かない人もいるかもしれないし、
50歩進む人もいるかもしれないですけれども、
30歩目を話題にするよりか、
1歩目のことを扱うほうが万人向きなのってわかりますよね。
そして、その起点での角度の差が、
50歩進んだ時の大きな進路の違いに結びついていきます。
ボウリングでもそうだけれど、投げたときに数度角度がずれれば、
狙ったピンに転がっていくまでにそのズレが大きくなって、
結局あたらなかったりします。
起点って大事なんですよねえ。

また、本作でも糸井さんの愛犬のブイヨンの写真がみられます。
繊細なところというか、心の機微がちゃんとありそうな、
きれいでめんこいわんちゃんだなぁって見ています。

というわけですが、
僕が今回の「小さい言葉シリーズ」である本作で「あぁ、それなんですか」
と気持ちに残ったのは、「ねばれ」という言葉でした。
読む人によって、きっと、気持ちに残るフレーズや文章は違うと思います。
それだけ、多方面を向いていて、それぞれに力のある言葉でした。

装丁は荒井良二さん。
それまでのシリーズ同様、大事にしたくなる本です。
物体としても。


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