読書。
『犬の行動学』 エーベルハルト・トルムラー 渡辺格 訳
を読んだ。
日本では1996年に単行本が発行され、
この文庫版で出たのは2001年のことですが、
オリジナルのドイツ版は1974年に発行されている、
いわば犬学の古典ともいえる本です。
犬を人間の良きパートナーとしながらも、
擬人化するところなく、
生物学的に犬を捉えています。
犬の、生物学的なスケッチみたいな考察でした。
人間を中心として、そのなかに犬を取り入れるような見方ではなくて、
あくまで犬を中心にしてその周縁に人間がいてコミュニケーションを取っている
というような視座で客観的に犬という存在を語っています。
著者自身、犬舎に多数の犬を飼っていて、
その観察から得た知見が軸になっています。
また遺伝学から考えて、どう繁殖していくのがいいのか、
また、どう繁殖させずに淘汰させていくのがいいのかについても語られています。
ときには子犬の安楽死を行うことにも迷いを見せません。
このようなところから、命を重く考える多数の人びとにとっては、
犬を繁殖させて飼うという行為、そのシステムにたいして罪を感じるところかもしれない。
いわゆる血統書つきの犬などの家犬については純血犬として本書では扱われていて、
序盤から、野生の犬のディンゴやら狼やらの記述をもってして、犬を説明しています。
それには、犬本来の性質を見ることの大切さを著者が痛切に感じていることからくることであり、
人間の側に引き寄せて考える犬の一面を取り上げるより、
犬の側に寄り添って考えてやることの方が、犬を大切に考えていることだからなのでしょう。
185ページの文章を引用します。
_______
なぜならば、動物の真の友人とは、その動物の本性をよく理解し、
それに合致した取扱いをおこなうべきであると考えている人たちであり、
決して、「私は人間を愛するように動物を愛している」などという人々ではないのです。
「人間を愛するように・・・・・」などと語る、自称動物愛護家にとって、
動物の真の友人とは愉快な存在ではありません。
_______
なるほどな、と思いました。
どうしても、人間のエゴからというか、
人間中心のなかに犬などの動物を引きこんで考えがちな人って
僕もそのようなところもありますが、けっこういるような気がするんですが、
犬などの動物の幸せも考えてやると、
その動物の性質をしっかりと知る必要ってあるんだなあと気づかされたのでした。
『犬の行動学』 エーベルハルト・トルムラー 渡辺格 訳
を読んだ。
日本では1996年に単行本が発行され、
この文庫版で出たのは2001年のことですが、
オリジナルのドイツ版は1974年に発行されている、
いわば犬学の古典ともいえる本です。
犬を人間の良きパートナーとしながらも、
擬人化するところなく、
生物学的に犬を捉えています。
犬の、生物学的なスケッチみたいな考察でした。
人間を中心として、そのなかに犬を取り入れるような見方ではなくて、
あくまで犬を中心にしてその周縁に人間がいてコミュニケーションを取っている
というような視座で客観的に犬という存在を語っています。
著者自身、犬舎に多数の犬を飼っていて、
その観察から得た知見が軸になっています。
また遺伝学から考えて、どう繁殖していくのがいいのか、
また、どう繁殖させずに淘汰させていくのがいいのかについても語られています。
ときには子犬の安楽死を行うことにも迷いを見せません。
このようなところから、命を重く考える多数の人びとにとっては、
犬を繁殖させて飼うという行為、そのシステムにたいして罪を感じるところかもしれない。
いわゆる血統書つきの犬などの家犬については純血犬として本書では扱われていて、
序盤から、野生の犬のディンゴやら狼やらの記述をもってして、犬を説明しています。
それには、犬本来の性質を見ることの大切さを著者が痛切に感じていることからくることであり、
人間の側に引き寄せて考える犬の一面を取り上げるより、
犬の側に寄り添って考えてやることの方が、犬を大切に考えていることだからなのでしょう。
185ページの文章を引用します。
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なぜならば、動物の真の友人とは、その動物の本性をよく理解し、
それに合致した取扱いをおこなうべきであると考えている人たちであり、
決して、「私は人間を愛するように動物を愛している」などという人々ではないのです。
「人間を愛するように・・・・・」などと語る、自称動物愛護家にとって、
動物の真の友人とは愉快な存在ではありません。
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なるほどな、と思いました。
どうしても、人間のエゴからというか、
人間中心のなかに犬などの動物を引きこんで考えがちな人って
僕もそのようなところもありますが、けっこういるような気がするんですが、
犬などの動物の幸せも考えてやると、
その動物の性質をしっかりと知る必要ってあるんだなあと気づかされたのでした。