Fish On The Boat

書評中心のブログです。記事、それはまるで、釣り上げた魚たち ------Fish On The Boat。

『幸いは降る星のごとく』

2020-01-07 23:27:52 | 読書。
読書。
『幸いは降る星のごとく』 橋本治
を読んだ。

女芸人不毛の時代から、女芸人ブームがやってくるまで。
その時代を生き延びていった女芸人たちの物語。

帯に、椿鬼奴さんが
「主人公の女性芸人に、あの芸人に似てるな、
あの後輩こういうとこあるな、わかる!と
フンフン共感しました。」
とコメントを寄せています。
で、読んでいると、最後の方に
「阿蘭陀おかね」という女芸人が登場するんですけれども、
これは椿鬼奴さんをベースにして書いているんじゃないのかな、
というキャラクターでした。

主人公コンビのモンスーンパレスにしても、
なんとなくですが、オアシズの二人が連想されて、
まあ、もっと過剰にキャラクターを作り込んでいる感じですが、
現実のお笑い業界事情をちゃんと見ていて
書いたのかなあと思うところ。

物語の語り方、構成については、
結末がもうほんと、最後の最後のところでオチがついて、
そこに収束するものはあるんだけれど、
小説の面白さとしては、ただ雑多(ではないかもしれないけれど)な
あれこれの記述・描写にあると思いました。
くだけた感じで構成されていますかね。

自己完結がいけない、っていうのがよく出てきたんですけど、
今の時代って、自己完結するのが楽っていう方向に
たとえば40代以上の世代にとっては進んでいっていないかなあと思いました。
僕自身も、自己完結で何が悪いんだろう、って思いますから。
とはいえ、僕が考えている自己完結は完全に完結していないでしょうけども。

ときたま、著者の、世のあれこれに対する造詣の深さが
キラリと光るところがあるんですが、
小説というものにとって、そういうのって本当に必要かな?
という疑問も抱きました。
チラっと光のがそういう経済だとか社会だとかに対する答えめいたものだと、
なんか、それは違うようにも思えてしまう。
頭の良し悪しもあって、僕はそうでもないからなのかもしれないけれど。

橋本治さんの小説は二つ目の読書でした。
また、そのうち違うものを手に取ろうと思います。


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