Fish On The Boat

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『ハゴロモ』

2016-11-06 21:31:23 | 読書。
読書。
『ハゴロモ』 よしもとばなな
を読んだ。

東京で18歳から8年間愛人として暮らし、
その終焉とともに故郷へ帰ってきたひとりの女性が、
その川の多い土地でおくる生活を綴った小説。
柔らかで優しい、再生への息吹きが感じられます。

彼女がこれを書いたのが37,8歳のころと思われるのですが、
今これを読んだぼくがそれくらいの年齢であることもあるのか、
語られる考え方や思想めいたものにすごく共鳴するところがあった。
そこのところを考えている、感じている、
とぼくが内に宿しているものが表現されていた。

そして、その表現されていてぼくと共鳴する部分は、
きっとぼくも表現できる手合いのもので、
レイテストのぼくの小説にもちょっと重なるところはあったように思うし、
ぼくが書きたい方向性としても、すごく似ていた。
つまりこれは、ほんとうに縁があって読んだ小説でした。

他方で、オカルトタッチ、スピリチュアルタッチが強い部分があるのだけれど、
そこはぼくとは方向性を異にするところです。
いや、まあ、もしかするとわざと(あるいは自然の流れで)
そういったカラーを使うことがあるかもしれない。

あとがきから、
弱っているひとが読んで、すこしでも寄りそえたらいいな、
というような感じを著者自身が再読して思ったようなのですが、
ぼくはとくに弱ってはいませんが、
同じような読者を想定して書きたいなあと思うことがあるので、
そこらへんで引き込まれたのかなあ、と思いました。

しかし、まったくの想像で、
東京暮らししかしたことのない著者が
こういう地方の物語をかけてしまうのはすごいなあ。
地方に住む僕が、すんなり読めてしまうもの。

また、相手役の男が精神的にどっしりしていて、
何か宗教やってるの?と訊かれますが、
ぼくもこないだ仕事仲間に「精神が安定している」と評されて、
はじめてそんなことを言われたけれど、
そういうリンクもあり、
やっぱり読むべくして読んだ縁のある作品だった気がします。

おもしろかった。
好きな小説がまたひとつ増えた。
(でもまあ、たいてい、読んだら好きになるんだよね・・・)


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