Fish On The Boat

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『第5コーナー 競馬トリビア集』

2025-01-10 20:40:51 | 読書。
読書。
『第5コーナー 競馬トリビア集』 有吉正徳
を読んだ。

競馬読み物です。記録、データ、ジンクス、血統ドラマ、人間ドラマ、競馬にまつわるおもしろい偶然。そういったもののトリビア集。

書名の『第5コーナー』とは。競馬場は第4コーナーまでしかないコース形態をしています。そんな、存在しない「第5コーナー」という架空の名称を戴いたのは、まだ誰も触れたことの無い記録やエピソードを残すことに挑戦しようと決めたからだとありました。架空ではありますが、誰も走ったことの無いコーナーに読者を誘う意味合いにも取れ、ユーモアが感じられます。

日本軽種馬協会発行の『JBBAニュース』という月刊誌に著者が2008年から書いているコラムがこの『第5コーナー』で、本書が書かれた2020年5月時点までのデータが元になっているそうです。

繁殖の観点から、やっぱりサンデーサイレンスとディープインパクトはすごいなあ、とずば抜けた実績に今でも唸ってしまいます。競走馬として日本競馬の最高傑作と名高いディープインパクトの父がサンデーサイレンスですから、この馬が輸入されたことが日本競馬会の大転換点となったことは、素人目にもよくわかるくらいです。初年度産駒が走り始めたころから、「そのうち、歴史的大種牡馬たちと同じように、サンデーサイレンス系と呼ばれる血統の系列ができる」とこれまた素人のあいだでも囁かれていたくらいです。僕も当時、囁きました。

さまざまなトリビアエピソードが競馬好きにしてみるとどれも興味深いです。「あらま、そうだったのか」と著者に取り上げられたある出来事のちょっとした裏側を今になって知ってみたりと、おもしろいです。

そのなかで、ぼんやりと知っていた話ではありましたが、しっかりここで書き記されているものをひとつ引用します。屈腱炎という競走馬にとって致命的で「不治の病」である難しいケガの話です。一般的な骨折よりも屈腱炎のほうが競争能力への打撃が大きいのですが、近年のそのあたりの話でした。
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屈腱炎の治療としては日本で初めて行う「再生医療」だった。フラムドパシオン(馬名)の胸骨から「幹細胞」を摘出する。それを培養で増殖させた後に幹部へ注入する。そうすると、幹細胞は腱細胞に変化し、炎症で失われた部分が再生される。もともと自らの体内から採取した細胞なので、拒絶反応などの副作用も抑えられる。(p81)
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→フラムドパシオン号は屈腱炎の治療後、別のアクシデントで復帰が遅れますが、約二年間のブランクを置いての復帰戦を圧勝で飾るのでした。
近年の科学の進歩が、医療のあたらしい治療として結実し、こうして、競馬を好きな人からすると身近であるところで活用されているんですね。サラブレッドにはこうやって再生医療が施されていることがはっきりわかりましたけれども、人間への再生医療って、現時点でどのようなものがどのくらいの種類あるのかも気になってくるのでした。そもそも人間にたいしての再生医療って、認可されているんでしょうか。そして、医療保険適用内なのでしょうか。

というところですが、最後に、本書に書かれている「ヘビ年のジンクス」をご紹介。ヘビ年は、三冠レースの勝ち馬がすべてばらばらになるジンクスがあるそうです。二冠馬や三冠馬はでないジンクスです。さあ2025年(ヘビ年)、このジンクスは当たりますか、どうか?




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