Fish On The Boat

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『にんげんだもの<逢>』

2010-07-17 11:29:43 | 読書。
読書。
『にんげんだもの<逢>』 相田みつを
を読んだ。

相田みつをさんという名前と言葉、書体には、
うちのトイレでお目にかかっていました。
なぜだか、一枚紙の小さめのポスターが貼ってあった。
とくに内容を読むことはなかったのですが、
「相田みつを」という名前はたまに見かけるし、
ちょっと流行ったことのある人なんだろうなぁ
くらいにしか考えていなかった。

暇つぶしに入った隣町の本屋さんは、
小さないながらも品ぞろえのセンスが良く、
少ない本棚から目に飛び込んでくる本のタイトルが
実に粒ぞろいだったります。
あ、この作家さん、こういう本も出していたの、と
気になって手に取ってみたり。
大手の本屋さんのように、ふわーっと売れ線の本や有名な本ばかりが
並んでいるのとは訳が違い、
本を仕入れる時の店主の苦慮というか、
感性を使っているなぁっていうのが
わかる感じがするのでした。
店員の40歳くらいのメガネのかけた女性(店主か、店主のおかみさんでしょう)なんかは、
国語が好きで得意でしたとい雰囲気を感じさせる人でした。
まぁそれと、品ぞろえに好感を持つのって、
そのお店の店主と気が合いそうだっていう気がするのかもしれないですねぇ。

さて、本書は、漫画を読むよりも簡単に読めてしまう文庫本です。
人生訓のように読めてしまうけれど、巻末の解説を読んでみると、
人生訓ではなくて詩なのです、とみつをさんの息子さんが
書いてらっしゃる。

書体に味がある、言葉にも味がある。
言葉の何が良いかって、
読む人が心のどこかで感じているようなことを
平素な言い方でボロっとこぼしてくれるところなのかもしれません。
そういう簡略的な凝縮の形ってあるのなぁって思います。
そして、自然や人間をありのままに見ることができる眼をお持ちなんです。
普段からそう見えるものなのか、創作に臨む姿勢で、沈黙に向き合うことで
研ぎ澄まされる、あるいは邪魔なものが消え去ってシンプルな感性になる感覚なのか、
知りたいところです。

一気に読むと、ちょっと穏やかになる感じがします。
人によっては、毎日のギスギスした生活での凝りがほぐされる人もいるでしょう。
憑きものが落ちたようになる人もいるんじゃないかなぁ。

そんな相田さんは若い頃は広告の仕事をちょっとしていたんだそうです。
糸井重里さんの「ほぼ日」をよく読みますが、糸井さんの言葉の感覚のある一面に
近いものがあるようにも読めました。
広告って、まぁ、どんなものか深く考えたことはないけれど、
難しいことを言っちゃ、伝えることができる人の絶対数が限られてきますよね。
だから、誰にでも届くような言葉づかいだったり感覚だったりってものを
心がけて仕事している部分もあるんじゃないのかねぇ。
それが、作風にも出るんだと思われます。
立場によって人が作られる、という言葉がありますが、
その例に当てはまってませんかねぇ。
っていうか、誰でも少なからずそういうのはありますがね。
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