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『政治のしくみがわかる本』

2014-12-19 01:46:01 | 読書。
読書。
『政治のしくみがわかる本』 山口二郎
を読んだ。

たびたび選挙がありますが、
そういうときに、そもそも政治っていま、どうなっているのか、
政治の何がアツい話題なのかがわからなかったりします。
若い人はとくにそうだろうと思います。
僕くらいの30代の人にしてみれば、
なんとなく、起こっていることはわかるのだけれど、
善し悪しの区別がよくわからなくなったりします。
ちょっと考えるとよさそうなのですが、
深く考える、あるいは長期的な視点で考えるとよくなさげ、
でも、僕とは違った境遇の人にとってはよいことだ、
そんな葛藤が生まれたりしながら、やっぱり
よくわからないな、という結論に落ちついたりします。
さらに、選挙の候補者や政党のマニフェストを読んでも、
たとえば10個の争点があるとしても、
4つ同意できる候補者や政党が最高値で、
7個も8個も一致する候補者などはいない
ということになることもまれではないですね。
ベターなのを選ばなければいけないという難しさ、
支持したくない意見にも目をつむらなければならない
気持ち悪さがあります。

本書は、そんな政治についての話にも答えてくれます。
そして、政治ってそもそもなんだろう?
という観点から話を始めていきます。
順を追って、議会制民主主義や議院内閣制についても
説明があります。
岩波ジュニア新書ですし、まだ選挙権をもたない
10代のひとたちを読者に想定して書かれていますが、
大人も十分に勉強になります。
というか、ある程度政治というものを考えてきたからこそ、
この本から得られる政治の基礎知識によって、
飛躍的に自身の政治知識が高まる人もいると思います。
なにかで読みましたが、基礎を最初からやるよりも、
ある程度、実践したり応用や複雑なぶぶんを見知ったあとのほうが、
基礎学習は役に立つそうです。
したがって、万人におすすめできる本ということになります。

序盤で、これは!と目に飛び込んできた文章が以下のものです。

_____

純粋な理想主義者ほど、
同じ理想を共有しない者に対しては
残酷になるという傾向があります。
理想主義者は、理想に逆らう者を排除することを
むしろ正義と考えています。
そこに、理想主義の落とし穴があるのです。
_____

行きすぎた脱原発論者にもいえることだなぁと思いました。

アメリカで黒人の差別がなくなっていく歴史、
どういう運動が世論を変えていったかを学ぶことが、
コリコリの脱原発派の人に必要なんじゃないかな、
なんて思ったりもして。
そういう学びと応用ですよね。

官僚についての考察、
族議員と呼ばれる人たちのこと、
などなど、とりあえず知りたいと思うことは
この一冊で足りるんじゃないだろうか。

整理された論考なので、
読むとスッキリするところも多かったです。

教科書のように難しくない、
読みものとしての政治を学ぶ本だといえます。


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