★Megu’s Sports
・先日、河田剛さん (https://www.huffingtonpost.jp/2017/03/07/story-about-kawada_n_15205384.html):
Stanford University Football Offensive Assistant Coachと会食する機会があった。彼の話は、San Jose State Universityの靍池教授から聞いていたけど、会った事がなかった。ベイエリアで、コツコツをと地道に活躍している、キャリアを築いている日本人がいると、嬉しくなる。特に、Sports/Fitness業界で、このエリアで生き延びるのは、容易じゃない。
さて、河田さんが、本を出版したと言うので、早速、読んでみた。彼言わく、アメリカにしばらくすんでいれば、彼の視点が理解できる、同意する事が多いでしょうとのこと。2016オリンピックで日本が獲得したメダルの数は、スタンフォードの選手が同オリンピックで獲得したメダルの数より、少ないということから始まり。2020年の東京オリンピックを迎えるにあたって、というよりも根本的に、 日本のスポーツ界における、改革が必要だと。
・Second Careerと教育制度:これは、私もずっと前にブログでタッチした事。日本のアスリート、文武両道があまり出来ていないって事。選手のレベルが高ければ、高いほど。河田さんの言うように、“一つのことに集中する”って事が美とされている文化が問題。
1)日本の大学、入るのは大変だけど、入ったらほとんど勉強せずに卒業できる(医者やエンジニアになる以外は)。アメリカの大学、本当に勉強しないとダメ。で、勉強した事が、将来につながる。 2)体育会に入ると、もっと授業にすら出ない事が多い =これって、日本の“企業”に就職して、会社が卒業した学部も関係なく、いちから“トレーニング”してくれるって風習が一つの理由であろう。3)日本では学校に戻るのが、容易でない。学校の制度的にも、組織からの支援という面でも。高卒でプロに行った選手など、自分でやっていたスポーツ以外に、キャリアを築ける専門知識と社交性にかける人が多いと思う。河田さんの使った良い例:多くの引退した相撲選手は、ちゃんこ屋など飲食業を始める人が多い。飲食業もEntrepreneurshipと言えばそうなんだけど、教師とか、弁護士になるとか、企業を始めるとか、そういう幅が見られない。また、先輩〜後輩、監督〜選手という限られた、日本の伝統的な“体育会系”の組織の中での人間関係。そこで、ネットワーキングやメディアなどに対応できるスキルを得る機会はあまりない。 4)“間違える事を恥ずかしと思わない、そして、思わせない教育” vs “間違える事が恥ずかしいと思わせる、間違えないようにする教育” これは、スポーツだけに限らないし、日本の経済停滞につながっている大きな風習的な問題。日本は、世間体を気にする人が多い。失敗したらまわりの人がどう思うか、みっともない、などなど。いくつものStart-upが集まってくるシリコンバレー。その中で成功できるのは、本当に一握り。一度失敗したからって、セカンドチャンスがないわけではない。失敗しないに越したことはない。だけど、逆に、失敗した経験から学んだことを、成功につなげると言う事の方が大切。このような、図太さと前に進んでいこうと言うattitudeを教えることって、大切。あと、国際化のためにも、間違えと世間体を恐れずに、自分の意思表示ができる人が出てきて欲しい。
・Sports Medicine Team- 役割分担:著者のおっしゃる通り。競泳日本代表のメンバーの詳細を見た。リストされているのは、団長、ドクター、監督、ヘッドコーチ、コーチ、そして選手。メディカルチームが入っていない。過去に“トレーナー”をリストで見た事がある。この“トレーナー”は、アメリカでいう、アスレティックトレーナーでもなければ、コンディショニングコーチでもない。マッサージ師なのである。マッサージ師は、メディカルチームにとって必要なポジション。だけど、怪我の評価をする人、リハビリする人、予防する人が、メンバーに入っていない。これは、アスレティックトレーナーやコンディショニングコーチへのキャリアとして、また、“専門家“としての社会的認識が低いということ。ゆえに、そのポジションにお金をかけないということ。選手のパフォーマンスの向上を考えたら、マッサージ師・整体師、アスレティックトレーナーやコンディショニングコーチ、また運動心理学者などを含めて、選手をサポートするメディカルチームを編成するべき。
・伝統と合理性:例に挙げられている、野球選手の声だし。そして、丸刈りの頭。私も教えられたことだけど、水泳の選手が、プールに入ってくるときにも、おじぎ。トライアスロンの選手が、フィニッシュラインで後ろを振り返って頭を下げる。おじぎは、何に感謝しているのかわかっていて、おじぎしていれば良いジェスチャー。日本人的で、Polite。甲子園児の声だしと丸刈。精神的なものなのか。チームを一つにするのに役に立っているのか。だから、パフォーマンスにつながるのか。疑問。 また、いまは皆さん、スマートになっていると思うけど、猛暑の中で、水飲まずに我慢するとか。日本のスポーツ界には、昔、我慢、辛い、上下関係、怒鳴られるなど、実際にパフォーマンスにつながらないネガティブな伝統が多かった。今でも、少しこれが残っているところもあるのだろうか。アメリカ人の、all about Work Hard, Enjoy, Have funとポジティブなVibeをスポーツ・教育の場に導入して見たらどうかな。
・河田さんの本、会話などの例を使ってわかりやすい話の進め方。で、日本とアメリカ、どちらがいいというわけではない。ただ、社会的・文化的な違いがあるという事。日本はアメリカに比べて、歴史と伝統が長い国。良い面も多くあれば、それがスポーツ界に限らず、事業・産業の面でも、1990年代から、足止めを食っている要因になっている。海外で、様々な分野で活躍している日本人が多くいる。日本の良いところを維持しながら、遅れている部分の改革ができるリーダシップを増やして行く事が、現在の課題。