イレグイ号クロニクル Ⅱ

魚釣りの記録と読書の記録を綴ります。

「弘法大師空海のことば100」読了

2024年01月12日 | 2024読書
福田亮成 「弘法大師空海のことば100」読了

我が心すでに空なり・・。それもテフロン加工でツルツルになってしまっているので悲しいけれどもまったく心に引っ掛かる言葉がなかった・・。
著者は真言宗智山派成就院長老という立場の人だそうだ。空海の著書から抜粋した様々な言葉について見開き2ページで解説なり著者の感想を書いている。だから、元々、人が真言宗的に生きるにはどうすべきかというような人生の指針を表す箴言というものでもないので心に引っ掛からなくても仕方がない。それに加えてやはり著作から抜粋されているということが余計にその文章の持つ意味をわからなくさせているようにも思うのである。
師の著作を取り上げた本も同じような感じであった。もっと、空海の思想について詳しく理解をしていたら、そうだそうだと納得したりもできるのだろうがそんな知識はもとから持ち合わせていないのだか仕方がない。

そして、これは僕の勝手な解釈だが、密教というのは仏教のようによりよく往生するためにはとか、人としてよく生きるにはというような倫理道徳を説いているのではなくて、世界の構造や人間の存在とはというような哲学に近いような思想のような気がする。胎蔵界と金剛界の曼荼羅というのはまさにその象徴であるのだし、人がその曼荼羅世界で生きるには戒律が必要でその戒律がどうも人が生きる倫理的な部分にうまく合っているし、密教を勉強している人たちも生きるためには糧を得なければならず、庶民にその倫理を説いてお布施をもらおうということになっただけではないのだろうかと思っているのである。

だから、空海の思想から自分がよりよく生きる方法を導き出すのはきっと難しいのではないかと思っているのである。ただ、世界の構造はこうなのであると理解すればよいのである。
もちろん、テフロン加工のツルツルの心では何も引っ掛かることはないのであるが・・。

コメント (2)
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