ミチオ カク/著 斉藤 隆央/訳 「サイエンス・インポッシブル ~SF世界は実現可能か~」読了
SF小説や映画に出てくる武器や乗り物は現代科学で実現可能かということがテーマの本だ。要は、アメリカ人が書いた空想科学読本のようなものだ。(もう少しお硬く書かれているけれども・・)
まずは実現度合いを3つのステージに分けている。
実現可能度 Ⅰ:現代の物理法則に則って、科学技術が進歩すれば実現可能
実現可能度 Ⅱ:現代の物理法則の周辺にあるような際どい部分を使わないと実現できない。もし実現できたとしても数千年後の未来になるかもしれない。
実現可能度 Ⅲ:現代の物理法則では実現できないもの。まったく新しい物理法則の発見が必要。
となっている。
Ⅰのステージではスターウォーズに出てくる、ライトセーバー、スタートレックの転送装置、フェイザー銃、シールドなどなど。そのほか、宇宙エレベーターや恒星間飛行が可能な宇宙船などが取り上げられている。念力まで書かれているが、それは科学ではないような気もするが・・・。
Ⅱのステージではデススター、ワープ航法、タイムマシン、インフレーション理論で語られる別宇宙への旅行など。
Ⅲのステージでは永久機関や予知能力が取り上げられている。
どれもこれも途方もないエネルギー量(恒星数個分くらい)をコンパクトにして人が持てたり乗り物に積み込んだりしてできるもので、Ⅰのステージのものでも数十年先、数百年先に実現できるかどうかと書かれている。デススターが本当にできてしまっては困るのだが、今の物理法則に照らし合わせると作れないことも無さそうらしい。ただし、映画のような形ではなく、パルサーという放射線のジェットを噴出している星(超新星爆発を起こした星の残骸だそうだ。)のジェットの向きを変えて破壊したい星に照準を合わせるという方式になるそうだ。
ただ、そのときの人類が持っている科学技術力というのは、タイプⅢ文明という途方もなく高い科学力を持った文明に発展するまで待たなければならないようだ。
文明の進歩段階も4つのステージで分けて説明されているのだが、タイプⅠ文明というのは太陽エネルギーですべてのエネルギーをまかなえるようになった文明。タイプⅡ文明は恒星が持つエネルギーを余すところなく使いこなせる文明。タイプⅢ文明は銀河規模のエネルギーを使いこなせる文明。今の地球は主に化石燃料を燃やしてエネルギーを得ているのでタイプ0文明に分類される。
そのタイプ0の文明の最低ラインに位置している僕から見るとどれもこれも実現不可能に思えるけれども、すでに現在の技術の数々がかつては不可能だと言われてきたものであったそうだ。今までの科学技術の歴史を見てくると不可能やありえないということを克服してしてきた歴史でもあったのだ。
100年ちょっと前までは原子の存在さえも疑われていたそうだ。それが今はその原子を見ることができるようになり原子を構成する素粒子までも見つけようとしている。宇宙の始まりはそんな素粒子サイズだったというところまでわかってしまった。
そしてそれを利用して実際に今の生活が成り立っている。車が自動で走り始めるのも目の前に迫っている。そうなってくると、ここに書かれているとんでもないような乗り物や武器が実現しないとも限らない。
しかし、理論の裏付けと技術が出来上がっても、さて、それを誰のお金で誰のために作るのか。光速を超える宇宙船しかり、宇宙エレベーターしかり、世界の富のすべてを何倍すれば完成するのか・・。地球が亡びようとするとき、その宇宙船に誰が乗るのか。これはもめるぞ。
今でも宗教、民族紛争、格差、イデオロギー、世界の人々を分断する要因はいくらでもある。
だから残念ながらこの本に書いている科学の産物はすべて実現不可能になる可能性が限りなく100%のような気がする。
SF小説や映画に出てくる武器や乗り物は現代科学で実現可能かということがテーマの本だ。要は、アメリカ人が書いた空想科学読本のようなものだ。(もう少しお硬く書かれているけれども・・)
まずは実現度合いを3つのステージに分けている。
実現可能度 Ⅰ:現代の物理法則に則って、科学技術が進歩すれば実現可能
実現可能度 Ⅱ:現代の物理法則の周辺にあるような際どい部分を使わないと実現できない。もし実現できたとしても数千年後の未来になるかもしれない。
実現可能度 Ⅲ:現代の物理法則では実現できないもの。まったく新しい物理法則の発見が必要。
となっている。
Ⅰのステージではスターウォーズに出てくる、ライトセーバー、スタートレックの転送装置、フェイザー銃、シールドなどなど。そのほか、宇宙エレベーターや恒星間飛行が可能な宇宙船などが取り上げられている。念力まで書かれているが、それは科学ではないような気もするが・・・。
Ⅱのステージではデススター、ワープ航法、タイムマシン、インフレーション理論で語られる別宇宙への旅行など。
Ⅲのステージでは永久機関や予知能力が取り上げられている。
どれもこれも途方もないエネルギー量(恒星数個分くらい)をコンパクトにして人が持てたり乗り物に積み込んだりしてできるもので、Ⅰのステージのものでも数十年先、数百年先に実現できるかどうかと書かれている。デススターが本当にできてしまっては困るのだが、今の物理法則に照らし合わせると作れないことも無さそうらしい。ただし、映画のような形ではなく、パルサーという放射線のジェットを噴出している星(超新星爆発を起こした星の残骸だそうだ。)のジェットの向きを変えて破壊したい星に照準を合わせるという方式になるそうだ。
ただ、そのときの人類が持っている科学技術力というのは、タイプⅢ文明という途方もなく高い科学力を持った文明に発展するまで待たなければならないようだ。
文明の進歩段階も4つのステージで分けて説明されているのだが、タイプⅠ文明というのは太陽エネルギーですべてのエネルギーをまかなえるようになった文明。タイプⅡ文明は恒星が持つエネルギーを余すところなく使いこなせる文明。タイプⅢ文明は銀河規模のエネルギーを使いこなせる文明。今の地球は主に化石燃料を燃やしてエネルギーを得ているのでタイプ0文明に分類される。
そのタイプ0の文明の最低ラインに位置している僕から見るとどれもこれも実現不可能に思えるけれども、すでに現在の技術の数々がかつては不可能だと言われてきたものであったそうだ。今までの科学技術の歴史を見てくると不可能やありえないということを克服してしてきた歴史でもあったのだ。
100年ちょっと前までは原子の存在さえも疑われていたそうだ。それが今はその原子を見ることができるようになり原子を構成する素粒子までも見つけようとしている。宇宙の始まりはそんな素粒子サイズだったというところまでわかってしまった。
そしてそれを利用して実際に今の生活が成り立っている。車が自動で走り始めるのも目の前に迫っている。そうなってくると、ここに書かれているとんでもないような乗り物や武器が実現しないとも限らない。
しかし、理論の裏付けと技術が出来上がっても、さて、それを誰のお金で誰のために作るのか。光速を超える宇宙船しかり、宇宙エレベーターしかり、世界の富のすべてを何倍すれば完成するのか・・。地球が亡びようとするとき、その宇宙船に誰が乗るのか。これはもめるぞ。
今でも宗教、民族紛争、格差、イデオロギー、世界の人々を分断する要因はいくらでもある。
だから残念ながらこの本に書いている科学の産物はすべて実現不可能になる可能性が限りなく100%のような気がする。