レイチェル・カーソン/著 リンダ・リア/編 古草秀子/訳 「失われた森 レイチェル・カーソン遺稿集」読了。
レイチェル・カーソンというと、「沈黙の春」という本が有名だが、かなり寡作の作家であったようで、生前に出版された本は4冊だけだったらしい。この本はそんな寡作の作家がどんな考えで作家活動を続けていたかを雑誌への寄稿や手紙、講演の記録から紹介しようとした本だ。
「沈黙の春」は第二次世界大戦直後の農薬の乱用が環境にどんな影響を及ぼすかということを書いた、エコロジーのはしりのような本だが、この本の余禄となるような文章も掲載されている。業界団体がどうやって農薬の乱用を容認し、世間からそれを暴かれないようにしてきたか。どうも今の、ここ1年の日本の現状に似ている。時代は繰り返すようだ。
そして、原子力の脅威についても語られている。当時は核開発の汚染物質を海洋投棄してたらしく、それが環境に及ぼす悪影響は計り知れなく、それも取り返しのつかないことになると、この時代にすでに警鐘を鳴らしている。
それはこの言葉に集約されている。「最近になって、人間の行為は自分達に害をなすこともある、とよく言われますが、それはかなり控えめな表現であり、そしてなにより、この原子力の時の産物にまちがいありません。私達は「進歩」を自画自賛し、「文明の利器」を誇りにしていますが、その一方で、人間は時として利口すぎて、かえってわが身を滅ぼそうとしているのではないだろうか・・・」作家は最後に、次世代の幸福を視野に入れたより幅広い責任感と調和させるべきではないのかとひとつの文章を講演の原稿として書き始めている。
おそらくは、人類が永く生き延びるためには原子力を御することは間違いなく必要だと思うが、利権や我欲だけでそれを行おうとするのは絶対に間違っていると改めて感じさせる1冊であった。
レイチェル・カーソンというと、「沈黙の春」という本が有名だが、かなり寡作の作家であったようで、生前に出版された本は4冊だけだったらしい。この本はそんな寡作の作家がどんな考えで作家活動を続けていたかを雑誌への寄稿や手紙、講演の記録から紹介しようとした本だ。
「沈黙の春」は第二次世界大戦直後の農薬の乱用が環境にどんな影響を及ぼすかということを書いた、エコロジーのはしりのような本だが、この本の余禄となるような文章も掲載されている。業界団体がどうやって農薬の乱用を容認し、世間からそれを暴かれないようにしてきたか。どうも今の、ここ1年の日本の現状に似ている。時代は繰り返すようだ。
そして、原子力の脅威についても語られている。当時は核開発の汚染物質を海洋投棄してたらしく、それが環境に及ぼす悪影響は計り知れなく、それも取り返しのつかないことになると、この時代にすでに警鐘を鳴らしている。
それはこの言葉に集約されている。「最近になって、人間の行為は自分達に害をなすこともある、とよく言われますが、それはかなり控えめな表現であり、そしてなにより、この原子力の時の産物にまちがいありません。私達は「進歩」を自画自賛し、「文明の利器」を誇りにしていますが、その一方で、人間は時として利口すぎて、かえってわが身を滅ぼそうとしているのではないだろうか・・・」作家は最後に、次世代の幸福を視野に入れたより幅広い責任感と調和させるべきではないのかとひとつの文章を講演の原稿として書き始めている。
おそらくは、人類が永く生き延びるためには原子力を御することは間違いなく必要だと思うが、利権や我欲だけでそれを行おうとするのは絶対に間違っていると改めて感じさせる1冊であった。