アナスタシア・マークス・デ・サルセド/著 田沢恭子/訳 「戦争がつくった現代の食卓-軍と加工食品の知られざる関係」読了
現代の加工食品のルーツのほとんどは軍事研究がもたらした成果であるという話だ。
常温保存が可能で不味くなくて運びやすい。そして栄養価も高い。それを追求した結果がスーパーの棚に並んでいるやたらと賞味期限が長い食品のラインナップであるらしい。
古代の戦場ではお肉は生きたまま連れ歩き、他のものは乾燥した食料が主なものであった。革命はナポレオンの時代に発明された缶詰であったが、極端に需要が増えたのが第二次世界大戦であった。1千万人を超える兵隊の食料を確保し、数千キロの距離、温度変化の激しい地域をカバーしなければならない事態になったときに開発されたのがKレーションという、1食分が340グラムというものであった。
フリーズドライ、溶けないチョコレート(M&Mというやつ。)カロリーメイトみたいなエナジーバーといわれるものもそうだし、僕も好きだったマックリブサンドややっぱりスーパーに売っているコロコロステーキのような合成肉(接着剤で肉を固めているらしい!)、プロセスチーズなんかも軍の食品研究の過程の産物らしい。ドライイーストまでも・・・
3年間腐らないサンドイッチも作ることができるそうだ。
プロセスチーズというのはそういう名前のチーズがあるのだと思っていたが、いろいろなチーズを溶かして分離を防ぐために乳化剤というのもを添加して作るらしい。
その後、レトルトパックやサランラップなどの包装技術も発達してきた。そして次の革命は高圧殺菌で、これらのすべての技術は現在は民間に開放されており、HACCPというような衛生管理基準も軍が考え出したということだ。
僕の認識では、あのやたらと長い賞味期限は得体の知れない添加物の賜物だと思っていたのだが、ほとんどの食材は水分含有量の調整や酸性度の調整など、意外と毒々しくない法方がとられているというのは少し安心だ。
しかし、レトルトパックやラップなどに使われているプラスチック素材の中にはその成分が食材に溶け出しそれが発がん性物質であったりするものもあるらしい。
著者は仕事を持つ女性であり、これらの民生化された食材に対して、問題を抱えていることを認識しながらも僕と同じようにある意味、肯定的に捉えている。これらの食材は時間のかかる家事から解放してくれるものであり、ビタミンやミネラルのバランスも悪くないという。
しかし、どうだろう。僕は食べても安全だとはいえ、極力こんなものは食べたくない。「胃は心に通じる。」という言葉がある。工業製品を好んで食べる人の心はどんなものなのだろうか。
世界の人のすべての食物が戦争の技術から生まれたものに関わりがあるとは思えないが、こんなものを食べなければ日常生活を維持できない社会というのはすでに戦争状態に陥っているとも言えるのであれば空恐ろしいような感じがする。
現代の加工食品のルーツのほとんどは軍事研究がもたらした成果であるという話だ。
常温保存が可能で不味くなくて運びやすい。そして栄養価も高い。それを追求した結果がスーパーの棚に並んでいるやたらと賞味期限が長い食品のラインナップであるらしい。
古代の戦場ではお肉は生きたまま連れ歩き、他のものは乾燥した食料が主なものであった。革命はナポレオンの時代に発明された缶詰であったが、極端に需要が増えたのが第二次世界大戦であった。1千万人を超える兵隊の食料を確保し、数千キロの距離、温度変化の激しい地域をカバーしなければならない事態になったときに開発されたのがKレーションという、1食分が340グラムというものであった。
フリーズドライ、溶けないチョコレート(M&Mというやつ。)カロリーメイトみたいなエナジーバーといわれるものもそうだし、僕も好きだったマックリブサンドややっぱりスーパーに売っているコロコロステーキのような合成肉(接着剤で肉を固めているらしい!)、プロセスチーズなんかも軍の食品研究の過程の産物らしい。ドライイーストまでも・・・
3年間腐らないサンドイッチも作ることができるそうだ。
プロセスチーズというのはそういう名前のチーズがあるのだと思っていたが、いろいろなチーズを溶かして分離を防ぐために乳化剤というのもを添加して作るらしい。
その後、レトルトパックやサランラップなどの包装技術も発達してきた。そして次の革命は高圧殺菌で、これらのすべての技術は現在は民間に開放されており、HACCPというような衛生管理基準も軍が考え出したということだ。
僕の認識では、あのやたらと長い賞味期限は得体の知れない添加物の賜物だと思っていたのだが、ほとんどの食材は水分含有量の調整や酸性度の調整など、意外と毒々しくない法方がとられているというのは少し安心だ。
しかし、レトルトパックやラップなどに使われているプラスチック素材の中にはその成分が食材に溶け出しそれが発がん性物質であったりするものもあるらしい。
著者は仕事を持つ女性であり、これらの民生化された食材に対して、問題を抱えていることを認識しながらも僕と同じようにある意味、肯定的に捉えている。これらの食材は時間のかかる家事から解放してくれるものであり、ビタミンやミネラルのバランスも悪くないという。
しかし、どうだろう。僕は食べても安全だとはいえ、極力こんなものは食べたくない。「胃は心に通じる。」という言葉がある。工業製品を好んで食べる人の心はどんなものなのだろうか。
世界の人のすべての食物が戦争の技術から生まれたものに関わりがあるとは思えないが、こんなものを食べなければ日常生活を維持できない社会というのはすでに戦争状態に陥っているとも言えるのであれば空恐ろしいような感じがする。